1998年
夜明けの先へ。
略称/愛称: 1998、98、98カノン
①Tark_IOLによるカノンハブの要約:
カノン-JP『1998年』はカノン-EN『壊された虚構』や『第三法則』の流れを汲む作品群です。当カノンは以下の特徴を持っています。
1998年に発生した衆人環視下の大規模収容・排撃作戦によって、アノマリーを隠蔽・偽装するヴェール政策は放棄されました。財団や世界オカルト連合は「正常性の守護者」から「世界の守護者」に変容し、いまや異常の存在を公然と認めています。しかし依然として彼らは、多数の称賛と非難を受けながら人類を護る最前線に立ち続けています。ヴェール政策の廃止とプロメテウス・ラボの再興は、超常技術/パラテックの普及と発展にも大いに貢献しました。革新は更なる革新を呼び、文明は急加速していきます。貴方が思い入れる要注意団体は、社会において有力な団体として活動しているかもしれません。
また、ヴェールが失われてから、世界には無数の異常が出現しだしました。異常疾患や超常災害、パラテロリズムといった新たな概念は人類社会に新たなる試練として襲い掛かっています。しかし人類社会は「未来への希望」を胸に、決して屈しません。ワンシーンだけ切り取ってみれば、絶望や悲哀に満ちている作品も数多いですが、カノンは最終的にそれらを乗り越え、明日へと向かっていくことをテーマにしています。
さて、当カノンは架空史を取り扱う都合上、あまりにも広大です。先に述べられた大枠の中では、様々な小テーマや世界観が描写されていますし、中には記事間で時間軸を異にする作品も存在します。故に読者と新たな執筆者のために私たちは設定資料集やDiscordチャンネル等いくつかのバックアップの用意があります。詳しくはカノンハブ下部、カノンガイドと背景情報の項をご覧ください。
②O-92_Malletのアドバイスの抜粋:
- 世界の変遷には必ず理由がある。
ヴェールが開け放たれた世界では正常と超常の垣根が低くなり、これまでの人類とは全く違う様々な存在が世界へと広がっていきます。我々の知る「ヒトのヒトによるヒトのための社会」が大きく変革を遂げる過程の中では、1998年カノンを代表する超常事件に留まらず、見知らぬ新たな友人たちとの細やかな軋轢もまた多く現れることでしょう。
貴方には大きく分けて二つの選択肢があります…一つは、近未来を生きる人々の心情にフォーカスし、超常との個人的な触れ合いに関する物語を紡ぐこと。もう一つは人々が築くより大きな社会体制に目を向け、彼らが超常社会の中で抱く感情の理由づけを行うことです。
1998年カノンのトーンとテーマの項を思い出してください。流線型にシルバーの理想的な近未来が舞台であったとしても、ある特定のワンシーンを切り取れば、そこには往々にして世界の裏面、陰惨な情景が広がっているものです。しかし、描かれているトーンの傾向としての正負に関係なく、それらのシーンには必ず「それが存在する理由」があることを意識してください。
毛皮を持つ友人はなぜ虐げられるのか?テロ組織が真に守り抜きたかったイデオロギーは何か?人類は何を基準に前進する方向を定めているのか?貴方にはそれらを自由に発見し、描き出す権利があります。
- 超常社会の先進性とSCP世界の不条理さを両立する。
1998年カノンの作品も、SCP財団に投稿されることを忘れてはいけません。そう、「普通でないもの」を取り扱うクリーピーで不条理な作品群が集うSCP財団です。貴方が作ろうとしているものが、ほかのSFファンタジー作品投稿サイトでは代替し得ない独自の特色を持っているのであれば、SCP財団を利用する多くの読者たち(彼らは往々にして、一つのカノンよりももっと広い範囲の記事を読み歩きます)にとって貴方の作品はより魅力的に映ることでしょう。
このカノンでは「異常」は誰でも手に取れる身近な存在であり、それらに対する学問も大きく発展しています。しかし未だに、それらの完全な性質が解き明かされているわけではありません。異常が隠されていないことは、異常によって引き起こされる理不尽な物語のジャンルを狭めることを必ずしも意味しません。アプローチ方法は無数に存在します。貴方の作品が、1998年カノンの作品である以上に、SCP財団の作品として優れた見識を示すものになることを期待しています。
③H0H0のDiscordに関するアドバイス:
要約: 1998年に興味があるならDiscordサーバーに入ろう!
- 1998年とDiscord
1998年はDiscordとともに発展してきました。2020年2月、SCP-JP公式チャット上に#1998年が作成されてからそこでは数多の会話が為されてきました。1そして#1998年で交わされた会話から生まれた記事は到底数えることができません。2
あなたが1998年に興味があるならとりあえずSCP-JP公式チャットに入ってみましょう。このリンクから参加できますよ。「どの記事から読んでみればいい?」「この記事のここが良く分からない。教えてください!!」「このシーズンを書いてみたいんだけど、何をすればいい?」こんな感じの疑問をお持ちならぜひ#1998年にお越しください!書き込まないとしても、ちょくちょく覗いているとこれから1998年に打ち立てられる大きなシリーズの予兆を見つけることができるかもしれません。
- 余談
1998年カノン関連のDiscordにはもう一つ、1998年運営会議場があります。#1998年では98鯖や運営鯖と呼ばれることが多いです。ここではハブの改定、シリーズの制定、ログを残したい設定考証、その他投票などが行われています。あなたが1998年カノンに記事を投稿しようと思っているならこちらにも参加しておくと得ですよ。#1998年に招待リンクがピン留されています。そちらからどうぞ。
④Dr_Kasugaiによる読み方の話:
ハウディ! Dr_Kasugaiです。ここでは特にカノンの構成にスポットを当てて、記事の読み方と世界のあらすじについて話してみようと思います。
まず、1998年カノンの作品は、大きく2パターンに分けられます。「シーズン」と「幕間」です。
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シーズンはこの世界のターニングポイントとなった事件を中心に、その事件の流れや付随する社会情勢の動きなどについて取り上げた作品群です。各シーズンは独自のテーマを有しており、それぞれに固有の特色があるので、ある意味ではこの1998年という大きなカノンの中にある、ひとまわり小さなカノンたちだと言えるかもしれません。
シーズンは、事件を描く/そのシーズンの基本情報を担う「根幹記事」と、それ以外の物語を描く「補足記事」に分けられます。大筋を掴みたければ根幹記事から手にとってみるといいでしょう。
シーズンはこのカノンのメインストーリーにあたります。基本的には、シーズンで描かれる中心事件が全て発生しているとされるのが一般的な解釈です (ただし、作品間で細かい解釈に差異があることもあります)。
- 1998年: ワルツの夜
すべての始まり! ショパンゴジラものです。1998年のポーランドで、奇妙なカルトが呼び出した異貌の神が大災害を引き起こします。この神と財団やGOCといった人々が繰り広げる戦いや、その後の後日談が主に取り扱われます。
原点となったヴェール崩壊を描く『SCP-1710-JP』、カノンのテーマ的土壌を築いた『1998年、初夏』がここに在籍しているので、どこから読み始めるか困っているならば、まずはここから読んでみることを勧めます。
- 2001年: 合衆国の一番長い日
マンハッタンものです。1998年のヴェール崩壊から3年後、世界は次第に落ち着きを見せつつありました。しかしそんな中引き起こされた大規模テロにより、ニューヨーク・マンハッタン島は文字通り地獄へと崩落します。膨大な悪魔や様々な超常存在が入り乱れるこの地で、立場の違う多数の人間が解決に向けて奔走していきます。
1998年カノンでも特に熱い展開が多く、またあらゆる要注意団体・キャラクター・アノマリーが集うオールスター的な傾向があるので、サイトでも人気の高いシーズンです。俗に銀翼三部作と呼ばれる『SCP-2910-JP』『SCP-2911-JP』『SCP-2912-JP』は、派手で明るい作品を読みたい方におすすめでしょう。
これ以後、異常・超常が本格的な社会進出を始めだし、激動の2010年代へと突入していきます。この頃から、カノンの歴史は独自性を強めていき、徐々に現実から離れだします。
- 2009年-2015年-2037年
アニマリーものです。この3シーズンは動物特徴保持者 (AFC)、通称“アニマリー”について焦点を当てており、彼らの権利闘争・反差別運動などが重要な主題となっています。このあたりは社会派の作品が多く、扱う主題も相まって暗めの作品もよく見られるので、よく言われる「98カノンは熱血だ!」などの風聞から来た方は少し戸惑うかもしれません。しかし、このカノンの間口は実際には広く、異なる角度から前進というテーマを捉えた作品や、朝へと向かう過渡期の夜を描く作品もまた受け入れられています。
……そしてカノンの後半になってくると、「人類」という言葉はより広い枠組みを指す言葉へと変わっていきます。
- 2017年: 東京事変
東京事変ものです。2017年〜2043年にかけて発生した東京現実崩壊性広域災害 (通称“東京事変”) は、東京都およびその周辺を荒廃させました。これをきっかけに群馬県へ移動した臨時政府は、その地を新たな首都として日本の復興を開始していきます。
東京事変はこの世界の日本における大きなターニングポイントなのですが、それゆえにこの設定を採用していない (東京事変が起きていないとする) 記事も幕間などにちらほらと見られるので、そこを把握しておくと混乱を防げることでしょう。
また、最近では東京事変を単なるディザスターもの・社会ものとして扱うだけではなく、より異なる角度から掘り下げようとする向きもあります。いくつかの拠点都市を中心に東京を探索するトレジャーハンターや、事変発生時に地下に逃げ込んで地下鉄網で暮らしている人々などの話も見ることができるでしょう。
- 2041年: 病院の窓から覗いた朝
近未来の日本を舞台にした医療ものです。全世界的に発生し始めた異常疾患、それを“治療”しようとする財団、鎬を削る巨大企業連合……などといった要素が登場し、世界観が段々と未来SFに近しいものになってきました。特にこのシーズンの根幹記事である『SCP-2041-JP』は、98カノンの世界観的な礎を形作った記事であるので、長いですが一読しておくと理解度が深まるかもしれません。
そして2040年代以後は超科学、魔術、亜人種といった存在がほぼ完全に日常へと組み込まれ、ポスト-サイバーパンクとアーバンファンタジーをミックスしたような空気感の世界が訪れることとなります。ハロー、未来!
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幕間はシーズンから離れながらも、何らかのかたちでこの世界と関わっている作品群です。そのため、幕間作品の性質はとても広範です。試しに色々漁ってみると、面白いものが見つかるかもしれません。たとえば……以下などはどうでしょう?
- 隔壁は未だ健在なりや — 日常のなか、何かが変わることを待ち望んでいた者の小話。短くサクッと読むことができます。
- 大黒工業七名労災死亡事件 労基法違反等の書類送検で調整 厚労省 — 98カノンでは、こうした社会情勢を描く新聞記事が多数投稿されています。短いものが多いので、軽く読んでみるのに向いているかもしれません。
- SCP-2042-JP - Agt.野町の花籠をひっくり返す/黒の蛇使いと熱狂的スクール — ヴェール崩壊後、異常性を持つ子どもたちのために生まれた「花籠学園」。同校は植物を悪魔工学に利用するガーデンシステムの研究施設でもあるものの、その影にはどこか怪しいものが垣間見え……。東京事変が存在しない場合を描く作品です。
- 2057年の帝都大学大学院理学研究科数学専攻に所属している教員達の簡素な紹介ページ — 時は2057年。日本最大の学術機関である帝都大学では、我々からは奇妙奇天烈にも思える先進的研究が日々進められています。
- 進望淵旅 — 先程も紹介したような作品間の解釈の差異について、作中世界から描こうとする試みの1つです。オムニバス形式で、様々な物語の始まりが描き出されます。
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シーズンと幕間の話はこれでおしまい! ハブにはオススメの記事をまとめたニュービーガイドも存在するので、そちらも読書のおともにどうぞ。あるいは記事一覧から適当に気になったものを読んでみるのもいいでしょう! これだけたくさんの記事があるのですから、きっと1つは気に入るものが見つかるはずです。
それではご拝読ありがとう! カノンを楽しんで!
ポーランドは明日、世界に先駆けて新たな一歩を踏み出します。ヴェールの先へ、闇へ立ち向かうために。ポーランドに未来あれ。
ヴェール崩壊後の世界において、それまで異常をひた隠しにしていた財団や連合は、いまや異常の存在を公然と認めている。しかし彼らは人類に牙を剥く危険なオブジェクトたちを決して野放しにしようとは思わない。
ありがとうございます。最後に、ここに来るであろう未来の人々に一言。
人種と存在のるつぼ、マンハッタンへようこそ。あなたがどのような個であろうとも、我々はあなたを歓迎します。
SCP-2912-JP - 我らの壊れたる機動精神 ブロークン・ガンダム
我々は前に進まねばならないのです。その歩みが遅々たるものであろうと、曲がりくねった道筋であろうと、我々は前へ進み続けねばなりません。
きっと人類はこれからもこの賑わう世界を進んでいくだろう。誰の意思にもよらず、自分達の足で。
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