当カノンについて
カノン「1998年」は、その名に冠する1998年に発生したヴェール崩壊をきっかけに変貌していく世界を描く作品群です。
1998年の初夏、怪しげなカルトがポーランドで悍ましき神を呼び起こします。この神格存在は不完全ながらも強大で、町々を踏み砕き、完全体になるべく聖地を目指し進軍していきました。SCP財団、世界オカルト連合、ポーランド政府は協力して実体の討伐に乗り出し、苛烈な戦いの末に成功します。しかし衆目下での大規模戦闘、そして実体討伐時の奇跡論的バックラッシュでポーランド南部がまるまる吹き飛んでしまったことで、財団や異常の存在は露見、「異常」と「正常」を分かつボーダーである「ヴェール」は失われてしまいます。
さて、通常ならここで「壊された虚構」の世界線へと突入していくのですが、このカノンでは更なる変遷がありました。人類全体が異常を認知したことで、その認知から成り立つ現実構造そのものが変化しだしたのです。更にはメインカノンでは滅びたプロメテウス・ラボの生存とそれに伴う第二次パラテックバブル、混迷期でインサージェンシーが起こした超常テロ等も相まって、メインカノンからも、壊された虚構からも、世界は大きく分離していくこととなります。
現在、当カノンに属する記事は40を超えており、その傾向もそれぞれです。ですが、ある程度共通の基盤が存在します。
上述のように、1998年の出来事によって虚構は崩れ去りました。ヴェール廃止は段階的に進められ、そして段々と異常にも市民権が与えられ始めます。世界は変貌していきました──オフィスビルに結界が使われ、獣人が中学校へと通う。そんな世界へと。
かつての”正常”はもはや失われました。しかし財団やGOCといった守護者はまだこの地にその足で以て立っています。彼らは正常の守護者ではなくなりましたが、しかし依然として人類の守護者であるのです。
ポーランドの一件は、財団・GOCに当時倒産間近だったプロメテウスを復権させる方向に舵を切るよう決断させました。この”ポーランド特需”、続く第二次パラテックバブルに伴いプロメテウスは舞い上がり、世界は超常産業に沸き立ったのです。急速に発展する超常技術(=パラテクノロジー)は、通常技術の進歩も加速させ、かつて夢見るしかなかった未来をその手元にまで手繰り寄せています。
この世界はどんなカノンよりも異常で溢れかえっています。先程述べた人類の認知の変化によって、世界には次々と異常が姿を表しだしました。そして何か大きな異常事態が起きるたび、世界は更なる変化をきたします。また、これにより異常な疾患が各所で確認されだすようになりました。
異常の多発、そして世界各地での異常のミキサーは、大規模な超常事件を続々と引き起こしました。この中には大規模収容違反、更にはK-クラスシナリオにさえ相当するものも多数あります。普段ならそこで終わりですが──この世界は違います。それは乗り越えるべき壁であり、試練であり、そして世界のターニングポイントです。
どれほど大きな苦難にぶつかろうとも、この世界の人類は決して諦めることはありません。発展したパラテクノロジー、そして黄金の精神性を決め手として、人類はあらゆる苦難を乗り越え、歩みを進めていきます。その歩みが途絶えることは、おそらく無いでしょう。
トーンとテーマ
「1998年」の全体的なトーンは「未来への希望」です。ワンシーンだけ切り取ってみれば絶望や悲哀に満ちているものも数多いですが、カノンは最終的にそれらを乗り越え、明日へと向かっていくことをテーマにします。
しかし、カノンのあまりの広大さから、それ以外の大小さまざまなテーマも多数存在します。いくつか例を挙げてみましょう。
考えられるお題は無限にあります。
カノン内シリーズ
マンハッタン・クライシス ― 次元崩落テロ事件の真っ只中、ありとあらゆる超常が跋扈するマンハッタンを舞台にしたシリーズです。
外部シリーズ
壊された虚構 ― 当カノンはもともと壊された虚構のIfとしてスタートし、後に分離・独立した経緯があります。そのため両カノンには強い互換性が存在し、1998カノンでは差別化のためにカノン内での設定共有が積極的に行われています。
第三法則 ― パラテック方面に関して多数の繋がりがあります。しかしながら向こうと違い、こちらではプロメテウス・ラボが現役なことには注意してください。
linkAge ― ヴェール崩壊、およびそれによるパラテクノロジーの発展に伴って、マクスウェリズム教会はその勢力を大きく拡げました。電脳デバイスは既に一般人口にもある程度普及している模様です。
信濃中央新聞 ― 当カノンでたびたび使用されるフォーマットであり、ハブにも当カノンにおける信濃中央新聞社の設定が書かれています。
白色家系図録 ― 当カノンの登場人物の一部は白乃瀬家に属しています。
守らねばならないこと
- 投稿した記事には必ず「1998」のタグを付けてください。「壊された虚構」のタグは基本的には付きません。
- 記事を投稿し、少なくとも30分以上削除通知が来なければ、ハブの”記事一覧”にそのページのリンクを掲載してください。
リストへの記事の追加・削除・移動は著者本人であれば自由に行っていただいて大丈夫です。投稿から2日経ってもハブに掲載されていない場合は、後述する管理委員によって代替的に掲載されます。
推奨
- 既存設定との矛盾点はなるべく減らしてください。下にある”背景情報”を参考にしてみるといいでしょう。不安な場合は、後述するDiscordチャンネル/サーバーや、WikidotのPMで有識者に相談してみてください。
- 親ページとしてこのハブを紐付けるのが望ましいです。親ページ設定しなくとも構いませんが、何らかの形でリンクがあった方が読者にとってはありがたいでしょう。
有識者によるアドバイス
Tark_IOLのアドバイス:
こんにちは、Tark_IOLです。
私が『1998年』カノンで執筆している作品は、GoIフォーマットや新聞・雑誌形式のTaleなので、ここではそれらの執筆への関連事項について、僭越ながら助言をしたく思います。
- あなたのアイデアの面白さを新聞・雑誌フォーマットが十分に引き出してくれるか一考する
98カノンの新聞・雑誌フォーマットは、ヘッドカノンを編むことさえできれば、形にすることはそう難しくない型です。
しかし、ここで思い出すべきなのは、基本的に新聞が第三者の視点から、一般的な「事実」を端的に効率よく伝えることに特化したメディアだということです。
これを踏まえると、あなたが感情に訴える記事を書きたい時に、新聞フォーマットを選択するのは最善手とは言えません。その事件にドラマティックな場面・あなたが伝えたい感情があるなら、その場面の前後を書き込んで、登場人物自身に語らせたtaleの方が、読者を引き込めるより良いアイデアの昇華の仕方ではないでしょうか。
- 自らの政治的主張・思想を直接的に表現することは避ける
98カノンは、架空史を編纂する遊びでもあります。そこは現実を下敷きにした出来事が数多く発生し、一方で次第に現実から乖離していく社会でもあります。
ここで注意したいのは、あなたの主張や思想(場合によっては現代社会や日本で普遍的なものを含む)を直接的な表現として記事に残すことです。それ自体は記事への面白さには寄与しないばかりか、世界観構築のノイズとなるやもしれません。
創作する以上、その主張や思想から絶対に逃れることは出来ませんが、出発点や根底に隠れた主義主張を、昇華し、あるいは希釈、圧延することで、文芸作品としての面白さを得られましょう。
(※この項の助言は同じく架空史を編纂するカノン-JP「扶桑紀」から、ハブ執筆者のhey_kounoike氏と、彼と私がリスペクトするseafield13氏の言を、「私的に」解釈したものです)
無論これは『クロスリンクガイド』や『クロスリンクについて』といった先人の優れたエッセイを読んだことを前提とした助言ですが、当カノンにおいては積極的に、他記事のありとあらゆるネタを盛り込むことが行われるべきだと考えています。これは98カノン記事とのリンクだけではなく、カノン外も含まれます。
通常カノンのGoIフォーマットでも言えることですが、多くの場合98カノンで描かれるのは、秘密主義で閉鎖的で超常社会からもほど遠かった財団ではなく、多くの超常が露わとなり、関連性を持っている社会です。
ですから、貴方の記事に登場するだろう人物・ガジェット・背景にクロスリンクを仕込むことは、98カノン社会の中に記事を位置付けることで、背景に広がりを得られる有効な手立てです。また、カノン外からクロスリンクを引張ってくることは世界観の拡張に貢献する行為でもあります。
個人的には新聞フォーマットの広告欄が一番ワクワクする場所です。あれ程他記事のネタを詰め込んだり伏線を張れる場所はありません。The社会といった感じですね。
O-92_Malletのアドバイス:
ヴェールが開け放たれた世界では正常と超常の垣根が低くなり、これまでの人類とは全く違う様々な存在が世界へと広がっていきます。我々の知る「ヒトのヒトによるヒトのための社会」が大きく変革を遂げる過程の中では、1998年カノンを代表する超常事件に留まらず、見知らぬ新たな友人たちとの細やかな軋轢もまた多く現れることでしょう。
貴方には大きく分けて二つの選択肢があります…一つは、近未来を生きる人々の心情にフォーカスし、超常との個人的な触れ合いに関する物語を紡ぐこと。もう一つは人々が築くより大きな社会体制に目を向け、彼らが超常社会の中で抱く感情の理由づけを行うことです。
1998年カノンのトーンとテーマの項を思い出してください。流線型にシルバーの理想的な近未来が舞台であったとしても、ある特定のワンシーンを切り取れば、そこには往々にして世界の裏面、陰惨な情景が広がっているものです。しかし、描かれているトーンの傾向としての正負に関係なく、それらのシーンには必ず「それが存在する理由」があることを意識してください。
毛皮を持つ友人はなぜ虐げられるのか?テロ組織が真に守り抜きたかったイデオロギーは何か?人類は何を基準に前進する方向を定めているのか?貴方にはそれらを自由に発見し、描き出す権利があります。
「1998年」ハブ上の作品リストに導入されているシーズン制は、特定の大事件を直接的に描く「根幹記事」と、事件の周囲で発生する細かな物語たちに分類されます。根幹記事は文字通りシーズンの根幹となる記事で、その存在は人類社会の進む向きを規定するほどの甚大な影響を物語世界に与えます。
貴方が根幹記事の執筆に挑むのであれば、以下の要素のいずれかを含ませることを頭に入れておくと良いでしょう。
- 多数の人物を登場させる。彼らはその時点の世界情勢から何らかの影響を受けており、その上に各自の意見と意志を築き上げている。そして、それらの人物の相互作用は新たな物語の種になる。
- 独自の技術系統にフォーカスしてみる。そして、人類(財団だけではありません)がどのようにしてそれらの技術を開発し、世界の前進の一助としたかを考える。あるいは新技術に付随する様々な事故、副作用、あるいは癒着した利権の存在などに想いを馳せてみる。
- 貴方がシーズンのトップバッターとして根幹記事を投稿する予定であれば、後続の著者が執筆しやすいように人物設定のいくつかは敢えて手を付けずに残しておいた上で、開示可能な部分を用いて人々の感情や世界趨勢を描く。逆にシーズンの総まとめとして根幹記事を投稿するなら、先駆者により投稿済みの記事群に目を通し、その中で特定の主題を用いた複数の記事を読み込み、それら全ての設定を成立させることが可能な事件のストーリーを組み上げる。
ちなみに、カノン設立から現在までに投稿された根幹記事は、概ね非常に「長い」です。しかしながらこれは「根幹記事は常に長大な文量を要求するものである」という意味ではないことに留意してください。重要なのはどのような事件が起こり、世界の考えがどのように変化したかです。
- 超常社会の先進性とSCP世界の不条理さを両立する。
1998年カノンの作品も、SCP財団に投稿されることを忘れてはいけません。そう、「普通でないもの」を取り扱うクリーピーで不条理な作品群が集うSCP財団です。貴方が作ろうとしているものが、ほかのSFファンタジー作品投稿サイトでは代替し得ない独自の特色を持っているのであれば、SCP財団を利用する多くの読者たち(彼らは往々にして、一つのカノンよりももっと広い範囲の記事を読み歩きます)にとって貴方の作品はより魅力的に映ることでしょう。
このカノンでは「異常」は誰でも手に取れる身近な存在であり、それらに対する学問も大きく発展しています。しかし未だに、それらの完全な性質が解き明かされているわけではありません。異常が隠されていないことは、異常によって引き起こされる理不尽な物語のジャンルを狭めることを必ずしも意味しません。アプローチ方法は無数に存在します。貴方の作品が、1998年カノンの作品である以上に、SCP財団の作品として優れた見識を示すものになることを期待しています。
シーズンを追加するには?
先程の記事一覧を見たあなたは”XXXX年: タイトル”という記事の集合体に気がついたでしょう。これが「シーズン」です。シーズンは何らかの超常事件を軸に展開される物語群であり、ある意味このカノンの”メインストーリー”とも言いかえられます。
新たなシーズンを作成するには、そのシーズンに所属する記事を3作以上用意する必要があります。この中にはシーズンの軸となる事件を直接的に描いた「根幹記事」が1作以上含まれていなければなりません。
これらの要件を満たしたならば、次タブに掲載されている「1998年 運営会議場」まで持ち込んでください。有識者間での投票が行われ、その結果問題なければシーズン申請者へのハブ編集許可が出されます。シーズンの作成は複数人で行っても大丈夫ですが、全員がシーズン化に同意している必要があることには注意してください。
運営体系
ハブ、そして後述するDiscordチャンネル/サーバーの管理を円滑化するため、当カノンでは役職を導入しています。とはいえ簡素なものです。
管理委員
ハブ、そして後述するDiscordチャンネル/サーバーの管理を担うユーザーです。ハブへの新規記事の追加や「1998年 運営会議場」での議論・投票結果の反映、「#1998年」の延長申請、「1998年 運営会議場」の管理・治安維持・議論統括がその仕事です。
メンバー:
有識者
メインサイト(SCP-JP)にて"1998"タグの付いた記事を1本以上持っている方は自動的に”有識者”となり、「1998年 運営会議場」での運営議論・投票に参加することが可能です。
メンバー:
#1998年
SCP-JP公式Discordサーバ内に存在するチャンネルです。当カノンに関する話題全般を扱っており、その世界観に関する雑談が主です。当カノンに触れるのが初めて/触れたばかりの方はまずここを覗いてみるのがいいでしょう。
このチャンネルは「稼働中プロジェクト」のカテゴリに属しているため、数カ月ごとに#discord運営ご意見板でチャットオペレーターに延長申請を出さなければなりません。この業務は主に建主であるDr_Kasugaiが実行しますが、不在の場合は管理委員の方に代行してもらいます。
参加
以下のページを参照してください。
ディスコードに関するルールとポリシー
1998年 運営会議場
当カノンの運営や設定調整、専門的な批評を取り扱うサーバーです。当カノンに興味がある方であれば誰でも参加可能ですが、発言可能なチャンネルには制限があります。詳しくは外部サイトの『カノン「1998年」関連Discordガイド』をご確認ください。
参加
同じく外部ガイドをご確認ください。