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アイテム番号: AO-█████-JP

説明: 電池がないにもかかわらず動作している、異常な破壊耐性を持ったアナログ時計。表面に静電気を帯びている。

回収日: 20██/██/██

回収場所: 東京都██区████

「それでは、AO-█████-JPの実験を開始します」

俺はそう宣言した。
とはいえ、ここにいるのはたった4名。
白衣を着た俺と、実験を監督する上司。
オレンジ色のつなぎを着たDクラス職員と、そいつが暴れたときに抑えるための警備員。
回収時点で特に変わったことは起きていない。ミーム汚染や情報災害の可能性がないことも確認されているので俺が被験者をやっても良かったのだが、たまたま予定のないDクラス職員がいたのでやってもらうことにした。
研究員として初めての実験。地味だが、これもまたヴェールを守ることに繋がっていると思えば、誇らしい。

「D-█████、AO-█████-JPを持ってください」
「それだけでいいのか?オレぁてっきりもっと死ぬようなことやらされるのかと……」
「私語は慎むように」
「……へいへい」

Dクラス職員がおそるおそる時計の枠に触れ、そっと持ち上げた。
掌に収まるほどの小さな時計は、カチカチと音を立てて時を刻んでいる。

「何か変わったことはありますか?」
「いや、特に……」

そう言って、彼が文字盤の表面を覆うガラスに触れた瞬間、パチッと音が鳴った。

「痛ぇ!」
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