アキヴァ関係をザッとまとめたものです。
アキヴァ放射はやや定義が曖昧で、原案者であるスパイク・ブレナン自体、① 信仰エネルギーの強さ から、② 神の恵みの尺度 という枠組に移った節があります (一応、後者はより広義の定義と言えるかもしれません)。
神学工学に不慣れな読者のために: アキヴァ (ラビ・アキヴァより命名) は信仰度を表すISU単位です。アキヴァを測定するには、適切に較正された奇跡測量機の3メートル前に被験者を配置します (銀や、大理石等の一部無機物といった奇跡反射表面は正確な測定を妨げる可能性があるので、それらから離れた環境で測定を実行するように注意)。
- SCP-1844ディスカッション、spikebrennan、2012
https://scp-wiki.wikidot.com/forum/t-602687/scp-1844#post-1653460
まあ、アキヴァはSCP-1844の折りたたみで隠されている部分で言及されているので、見逃してしまったのかもしれませんね。
ともかく、新鮮な気持ちでいきましょう。アキヴァは神の恵みを表すSI組立単位であり、光源から放たれる可視光の総量を計測するSI組立単位であるルーメンに相当します。音声関係のSCP対象に関する記事で“デシベル”が何を意味するか説明しないのと同じ理由で、記事中では明示的に説明していません。
一般に、宇宙マイクロ波背景放射 (CMB) があるのと同様の形で、バックグラウンドレベルのアキヴァが宇宙に遍在しています。特定のものがアキヴァ源になることもあります──特定の遺物、聖地、人物など。
奇跡測定器はアキヴァを計測する装置です。
- スパイク・ブレナンの提言vディスカッション、spikebrennan、2017
https://scp-wiki.wikidot.com/forum/t-3493152/spikebrennan-s-proposal#post-3581256
いずれにせよ、アキヴァ放射は神、信仰、宗教、奇跡/魔術に密接した観念です。他にもいくつかの説明が試みられており、奇跡論や多神論などと併せた定義を考えた事例もあります (元はアブラハム系の唯一神遍在論の影響がデカい概念です)。
基本的には、アキヴァ放射=神聖な事物/信仰性から発される放射線、アキヴァ (および1/100単位のセンチアキヴァ)=アキヴァ放射の度合いという使われ方でしょうか。世界には基準アキヴァ (=唯一神の遍在的干渉) があり、基本的にはゼロではありません。
後発の“全ての戦線で戦え”カノンでは以下の独自理論が展開されています。これはやや特殊な解釈ですが、ヒュームやEVEといった類似概念と共存しつつ差別化できる定義です。
第五主義者たちは、これに対する反論として、怪獣たちがEVEに加えて、アキヴァ放射を発していることが知られているという点を挙げる。彼ら曰く、それこそ怪獣たちが神性を有する証拠だというのだ。しかし、これはアキヴァについてのよくある誤解の現れだ。それは信仰の産物であれど、神性の産物ではない。アキヴァはEVEと同様、意識的な知覚の産物であり、その違いは、アキヴァは観測者によって放出されるのではなく、被観測者によって放出されるという点にある。聖なるものとして知覚されるものは全てアキヴァを放出する。敬虔な人が多ければ多いほど、そして彼らの信仰が敬虔であればあるほど、アキヴァは強くなる。そして、怪獣に対する第五主義者達の崇拝は、その上昇したアキヴァレベルを説明するのに十分であるかもしれない。怪獣は、大切な数珠が天使ではないのと同様に、「天使」ではないのだ。
- 『怪獣海』、DrChandra、2018
http://scp-jp.wikidot.com/the-kaiju-sea
また、SCP-4612では (脚注に出てくるだけですが) 以下の説明が試みられました。個人的にはこの説明が一番好きです。
アキヴァ: 根源的な奇跡力の物理的定量化指標。“神の加護”の証拠ではないかという論議を呼んでいる。
http://scp-jp.wikidot.com/scp-4612
- 『SCP-4612』、Grigori Karpin、2019
これらの背景を受けて、JPの1998年カノンでもアキヴァとは何か?という議論が行われました。この議論の結果として、以下の情報がハブに追記されました (しかし、やや改善の余地があるかもしれません)。
アキヴァ: 意識/信仰に基づく意思エネルギーの物理的定量化指標。記号はAkであり、SI単位系に準拠する。対象に信仰が集まるほどアキヴァも高まっていくため、神格存在の強度測定によく用いられる。
http://scp-jp.wikidot.com/1998-hub
- 『1998年 ハブ』 (2020年の改訂で追記)
また、今年に入り作成された合作エッセイ『SCP用語集』 (未翻訳) では、以下の説明が提示されています。ある意味、これぐらい緩い定義が一番扱いやすいのかもしれません。
アキヴァ放射 — 祈りや神の干渉に関連する放射線であり、センチアキヴァにより測量・定量化が可能です。アキヴァ放射レベルが高い場所は神が訪れたか触れたところであり、対してアキヴァ放射が低い場所は神に忘れられたか見捨てられたと見なされます。ユダヤ教の律法学者にして宗教的指導者であるラビ・アキヴァから名付けられました。
- Glossary Of Terms、Jerden、2022
https://scp-wiki.wikidot.com/glossary-of-terms
ちなみに1:
実は2014年にJekeled氏 (代表作: ヒュームって何?) がアキヴァ史のオリエンテーションを出していたのですが、2018年辺りに自主削除されていたりします。“信仰度=アキヴァ”時代の1解釈として、こちらも参考になるかもしれません。
https://web.archive.org/web/20170904074635/http://www.scp-wiki.net/this-url-will-explain-akivas
ちなみに2:
JPにアキヴァの概要がよく伝わっていないうちに、“アキヴァ放射により消失した生物が残す異常な灰” (カック灰) という斬新な (?) 設定が出てきたため、1998年カノンのアキヴァはやや独自概念化しています。