アイテム番号: SCP-3000-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-3000-JPの周囲に収容サイト-81ANを建設してください。PAMWAC内BBSにでのSCP-3000-JPに関連する投稿を監視してください。
説明: SCP-3000-JPは高知県[編集済]に存在する異常な地下空間です。内部には不自然な色彩を持つ生物が生息しています。
ダンジョン内に生息する一部の生物及び無機物は不明な方法により日本語を話します。これらの生物は一定の行動を繰り返すため、意思疎通は困難です。
補遺1:発見 要注意団体GoI-093"アニメキャラクターと結婚するための研究計画局(以下、PAMWAC)"の内部BBSを調査していた走査botにより以下のスレッドを発見しました。
通報しますた
我々はモテないからアニメに逃げているのではない。心の底から惚れた相手がいるから結婚したいのだ。
それより俺が開発した仮想通貨自動売買ツールの██████使ってみ?
キャバクラでリアルのねーちゃんと遊べるぞ。
てか無事底に着いた。やっぱりここ幻想世界ぽい。
とりあえず遠くに扉が見えるから行ってみる。
暗闇の中に白い輪郭線だけが浮かんでる。白黒漫画の白黒を反転させたみたいな感じ。あの子にとって世界はこういうイメージなのかなー。
補遺2:第1次調査 発見したスレッドの内容について調査するため、Dクラス職員を派遣しました。
_第1次内部調査記録_
進行担当: 川上博士
調査員: D-816435
<記録開始>
D-816435: こちら816435。説明もなく廃墟に連行されてきたところだ。それで、何をしてほしいんだ?
川上博士: その廃墟を探索してくれ。何か違和感があれば口頭で説明するように。
D-816435: わざわざ肝試しを用意してくれるあんたらに違和感があるんだが、とりあえずドアから……。鍵がかかってる。ああ、空いている窓があるな。どうやらガラスの一部を割って鍵を開けたらしい。ありゃ自然に割れたんじゃなくて不法侵入の跡だな。肝試しにしては凝ってるじゃんか。
[D-816435が装備したヘッドカメラが窓から廃墟の内部に入る]
D-816435: 血の匂いまで漂わせるとはさすがにやり過ぎだろ、悪趣味だ。そろそろこれが何か説明してくれてもいいんじゃないか?
川上博士: お前には探索する以外の選択肢はない。
[カメラが廃墟の中を進み、廊下を映し出す。]
D-816435: 血の跡がある。まだ生乾きだ。裏口から始まってるが、鍵は閉まってる。犯人は死体を引きずった後、鍵を閉めたわけだ。この廃墟はなんだ、野生動物の巣ではないだろ?
川上博士: 血の跡を辿れ。
D-816435: だからなんなんだこれは!殺人犯でも隠れてるのか?どう見ても丸腰で来るようなところじゃねえ!俺は生贄か?
川上博士: 黙って行け。お前に選択肢はない。
D-816435: 死ぬとしても絞首刑だろ!人の命を何だと思ってんだ!ってまぁ、俺が言えたことじゃねえか。
[カメラが血の跡を追う。血の跡はキッチンに続いており、コンロ下の収納扉の前で途切れている。]
D-816435: 開けるしかねえよな。
[D-816435が台所にある錆びた包丁を手に取り構える。収納扉を開ける。]
D-816435: 中には何もない。いや、這いつくばればギリギリ通れるくらいの小さな通路になっているようだ。血の跡は通路の先に続いている。
川上博士: その通路を進め。
[カメラの視点が下がり、コンロ下の収納スペースを正面から映し出す。奥の壁面が壊されており、その先に通路が続いている。通路は緩やかに地中へと傾斜している。通路に入り、画面が徐々に暗くなっていく。]
D-816435: 全く先が見えない。どこまで続いてんだ?つーか自分の身体しか見えねえ。壁が光を反射してない?感触で進んでるのは分かるが……ってうわ!
[D-816435が滑り落ちる音に続き、風切り音と考えられるノイズが入る。カメラにはD-816435の足と穴の入り口が映っている。穴の入り口は徐々に遠ざかっている。カメラが反対側を向くと、完全な暗闇になる。D-816435が暗闇へと真っ逆さまに落下していることがわかる。]
川上博士: 状況を報告しろ。
D-816435: そうか、これは走馬燈だ。現実じゃきっと絞首台の上で首をくくって落下し始めたんだ。それならこのわけわからん肝試しにも説明がつく。にしても、何で過去の風景じゃなくてイカれた妄想を見せられてんだ?俺にも少しくらいはいい思い出があったはずだがな。
川上博士: 落ち着け、これは妄想ではなく現実だ。これからお前は生きたまま小さな扉の前に着地する。ただし頭からは落ちない方が良いだろう。
D-816435: もう30秒は落下してる。これが現実なら助からない高さなことくらい俺でもわかる。つまり現実にしろ妄想にしろ、俺はもうじき死ぬわけだ。ハハッ。
[D-816435が指示通り体をひねり、足から落下する体制を取る。カメラにはD-816435の体以外は何も映っていない。D-816435の体から徐々に色彩が失われ、輪郭線だけが白く浮かび上がる。同時にノイズも徐々に小さくなっていく。]
D-816435: いよいよ現実離れしてきたじゃないか。脳細胞が壊れてきたか?どうせならハッピーな夢を見れるように壊れて欲しいね。[無意味な発言を省略]
[D-816435の足が暗闇の上に立つ。落下音等は一切聞こえない。]
D-816435: マジか、着地できた。光と音がない世界に着いたみたいだ。ここが地獄か?
川上博士: それを調べて欲しい。扉を探せ。
[カメラが動き、暗闇の中に小さな扉が映る。扉は白い輪郭線のみが見える。]
D-816435: あった、というかそれしかない。ちなみに今度は匍匐しても無理なサイズだからな。
川上博士: テーブルはないか?
[カメラが振り向く。暗闇の中にテーブルが見える。その上には薬瓶と手紙が置いてある。]
D-816435: 確かにさっきまではなかったはずだが?暗くて見えないだけで、ここには色々あるのかもしれない。だけど、何で探した途端に出て来るんだ?気味わりい。
川上博士: 手紙を読んでみろ。
D-816435: ヘタクソなひらがなだ。「わたしのくにへようこそ!けれどごめんなさい。あなたはともだちになるにはおおきすぎるみたい。よければこのちいさくなるくすりをおのみくださるかしら?」だとさ。それで、今度はこいつを飲めばいいのか?
[D-816435が薬瓶を指差す]
川上博士: そうだ。
D-816435: はいはい。どうせ死ぬなら薬でもキメてハイになったまま死にたいね。
[D-816435が瓶の中身を飲む。直後に瓶を落とし、倒れ込むようにカメラの視点が下がる。しかし落下音等は一切しない。落とした瓶との比較から、D-816435の体のサイズは変わっていないことが分かる。倒れてから84秒後、視界の外側から紫色に輝く触手が伸びてくる。触手に引きずられ、D-816435の体がテーブルや扉から遠ざかっていく。16秒後に通信途絶。]
<記録終了>
補遺3-1:二次調査 一次調査での報告記録に基づき、機動部隊メンバーとDクラス職員によるチームを編成し派遣しました。
_第1次内部調査記録_
進行担当: アルファ
調査員: アルファ、ブラボー、チャーリー、デルタ(D-816614)
<記録開始>
[廃墟に侵入し、穴に続く収納扉の前に到着する。ブラボーが付近の柱の強度を確認し、ロープを括り付ける。そのロープとデルタのハーネスを結ぶ。]
アルファ: デルタ、コンロ下を進め。
デルタ: わ、わかりました。
[デルタがロープを持ったままコンロ下を進む。]
デルタ: うぇ!?
[デルタが穴を落下し始めてすぐにロープにしがみつく。]
アルファ: そのまま落下しても死なない。降下を続けろ。
[デルタがロープを掴んだまま降下を始める]
アルファ: そこは自由落下しても問題なく着地できる。ロープを放せ。
デルタ: で、でも、底が見えませんよ?もし思ったより深かったら……
アルファ: 余計な時間を取らせるな。命令に従わない場合はロープを切る。
デルタ: す、すいません。落ちます。
[デルタがロープを手放し落下する。映像から徐々に色彩と音が消えていく。32秒間落下を続けた後、デルタの足が暗闇の上に立つ。]
デルタ: あ、底に着いたみたいです。
アルファ: ブラボー、穴の深さは?
ブラボー: 84mだ。
アルファ:5000m以上はないと落下時間との計算が合わないが、重力異常か?良かったなデルタ、思ったより浅い。よし、ロープを引き上げろ。
[ブラボーがウィンチを回しロープを引き上げる。しばらくしてデルタがコンロ下から這い出て来る。デルタに異常が無いことが確認される。]
アルファ: よし次だ。デルタ、穴の底に戻れ。
デルタ: ……はい。
[デルタがコンロ下を通り穴から落ちる]
アルファ: 例の機械を操作しろ。
[デルタがポーチからスクラントン現実錨を取り出し、起動する。]
デルタ: 起動しました。あー、よく見たら遠くに扉が見えます。ってなんかこっちに迫って来てます!
アルファ: 機械を停止しろ。
デルタ: はい!あ、扉止まりました。すぐ近くです。
アルファ: その扉は迫ってきたんじゃない、サイズが変わったんだ。デルタ、扉を開けられそうか?
デルタ: えーと、鍵がかかってるみたいです。
鍵穴: 漏れ1に合わせて小さくなるのはさすがに想定外。もしかして財の者2ですか?
[カメラが声のする方を向く。鍵穴が喋るように動いている。]
鍵穴: 君、喋る鍵穴とか見るの始めて?
デルタ: あ、どうも、はじめまして……?
鍵穴: なるへそDの者3ね。まぁもちつけ4。ここはえっしぴ5よりマターリ6だから。いやそうでもないか。マターリだったんだけど最近オカ連7に目を付けられてね。あいつら酷いのよ、すぐ攻撃してくるし話通じないし。だから財の者キタコレ8みたいな。
デルタ: えーと、餅をつくんですか?えっしぴ?私はその、暗号とか詳しくないんですけど。
鍵穴: 漏れコミュ障過ぎワロタ9。いやね、漏れの役割がパムワカー10か見分けることだからしゃーないのよ。先生には逆らえないし。
アルファ: デルタ、通信をスピーカーモードに切り替えろ。
[デルタが通信機器を操作する]
アルファ: 声のみで失礼するよ鍵穴の者。我々は君たちが財の者と呼ぶ団体で間違いないが、「財の者キタコレ」ということはつまり、君たちは我々財団を歓迎してくれるのか?
鍵穴: 上の者キター!パムワカーはみんなえっしぴに収容されるのに禿同11だよ。もうオカ連とガチバトルするのは嫌なんだお……。つかさ、この前ここにDの者送り込んで、触手にハイエースされた12の確認しながら見捨てたよね。えっしぴ冷酷過ぎさすがにワロエナイ13。このおにゃのこ14も使い捨てでつか?
アルファ: 今回はその触手に対応するために機動部隊チームで来ている。しかし君たちが財団の理念に協力してくれるなら、不要な破壊活動をするつもりはない。ただし財団としても色々と確認して、人類を保護するために君たちをどう収容すべきか検討する必要がある。
鍵穴: わかりみ15。どうぞ、入って確認しなよ。
[扉が開く。中には庭園が広がっているが、色彩はなく輪郭線だけが確認できる。]
アルファ: よし、私とチャーリーもそちらへ降りる。ブラボーはここで待機。
[アルファとチャーリーがコンロ下を通り、穴から落ち、底に着地する。デルタがアルファの膝丈程度のサイズに縮んでいることが確認できる。]
デルタ: あれ?皆さんいつの間にそんなに大きくなられたんです?
アルファ: お前がヒューム値変動による空間圧縮に巻き込まれて小さく……、まぁ気にするな。もうあの機械は使うなよ。
デルタ: え……?
鍵穴: 大きいお友達もいたのね。よいしょっと。
[扉が巨大化し、人が通れる大きさになる。アルファたちが扉を通る。]
鍵穴: それじゃ、ゆっくりしていってね!!!ノシ。
[扉が閉まる。庭園にある草木の陰から兎がやってくる。]
兎 はじめまして。財の方々ですね?この地下空間が持つ異常性を確認したいとの件、伺っております。それでしたらハートの女王とお会いいただくのが良いかと思いますが、女王はまだお休みになられている時間です。ですのでその前に、ぜひとも私たちのお茶会にご参加ください。
アルファ: 時間の余裕があるのか。不思議の国の兎にしては余裕そうだな。
兎 私たちは現実的なスケジュールで動くべきです。大人ですから。
[兎が腕時計を確認する。腕時計には蓋が付いていて、開けるとアナログ時計の針が剥き出しになっている。]
アルファ: 視覚障碍者のための腕時計か、珍しい。
[兎はアルファの子ごとに気付いていない様子で話を続ける]
兎 それでは、こちらへ。
[兎が庭園の奥へと歩き出し、アルファたちがそれに続く。デルタも走って付いて行こうとするが、縮小しているため追い付けずに徐々に話されていく。]
デルタ: あの…ちょっとペースを落としてもらえませんか…?
[兎が立ち止まり、振り返る。]
兎 これは気付かず、失礼いたしました。もちろん構いませんよ。急に小人にされてお困りでしょう。しかし残念ながら、現実とは様々な不都合が付き纏うものです。そして私たちは、それを受け入れ適応することで大人になって行くのです。
[兎が腕時計を確認しつつ、再び歩き始める。]
兎 このくらいでよろしいですか?
デルタ: はい、ありがとうございます。
兎 急ぐことはありません。話をしながらゆっくり歩きましょう。これから会われるハートの女王のことですが、実は……?
[進行方向の空中に笑っているように見える顔の輪郭が浮かび上がる。胴体は確認できない。]
アルファ: あれはなんだ?
兎: 私にもわかりません。ここは不思議の国ですから、大人には理解し難い非現実的な現象が頻発するもので。
笑顔: 待ってたにゃ、傲慢にゃ財団の諸君。
アルファ: 今度はチェシャ猫か。
笑顔: にゃぜ俺をチェシャ猫だと思う?猫はにゃーにゃーと鳴くから?本当かにゃー?
[笑顔は挑発するように舌を突き出す。笑顔の周りに犬のような耳と胴体の輪郭線が出現する。]
アルファ: 犬だってのか?
笑顔: にゃぜ俺を犬だと思う?犬のように見えるからか?本当かにゃー?俺はこの国で生まれた、ただ一つの幻想でしかにゃい。そして人の心が幻想を求る限り、幻想は永遠に産まれ続ける。にゃらばお前たちは、にゃにを収容するつもりなのかにゃ?
アルファ: 我々はお前と哲学を語りに来たんじゃない。他所でやってくれ。
笑顔: 君たちおとにゃは役割のことしか考えて無いにゃ。問題があっても見ない振り。あの鍵穴と同じだにゃ。
兎: 優先順位を忘れないのが大人というものだよ。
笑顔: 優先順位?それって本当に忘れちゃいけないものなのかにゃ?にゃあお嬢ちゃん。君はにゃんのためにそんなに小さくにゃったんだ?
デルタ: これは、機械を操作したらこうなってしまっただけでして、何かのためじゃないし、むしろ戻りたいです。
笑顔: 君にとっては元のサイズに戻ることよりも、こいつらに付いて行く方が大事なのかにゃ?
デルタ: どうなんでしょう、わかりません?
笑顔: 優先順位を忘れたのかにゃ?君は駄目なおとにゃだにゃー。
[笑顔がデルタの周りを飛び回る。デルタが巨大化し、元のサイズに戻る。]
デルタ: あ、ありがとうございます。
笑顔: これからあれに参加するんだろう?なんだっけ、無垢な茶々会?
アルファ: 無茶な苦茶会16のことか?
笑顔: 結婚式に向かうはにゃ嫁じゃにゃいんだ、白い服だけじゃみすぼらしいにゃ。だけど残念、この幻想は色が少ないんだにゃ。色って難しいからにゃ。だから教えて、色って何かにゃ?
アルファ: さっきから何の話だ。
笑顔: 見えないものはわからない。わからないことは知りたくなる。だから教えて欲しいんだにゃ。この景色に足りない色は、何があるかにゃ?
デルタ: えーと、空は白じゃなくて青色だと思います。
笑顔: 青色ってどんな色?
デルタ: えっと、寒くて寂しい色、でしょうか?
笑顔: それってこれかにゃ?
[白かった空が突如真っ赤に染まる]
アルファ: これじゃ緋色の空だな。
[兎が腕時計を確認する]
兎: 夕方になってしまった。これではお茶会に間に合いません。しかしこういう時こそ落ち着いて解決策を探すのが大人というものです。ほら、あそこを飛んでいるのはジャバウォックさんではありませんか。空に色が付いたおかげで見付けやすくなりましたね。おーい!
[空に羽の生えたトカゲのような巨大生物が飛んでいる。巨大生物はこちらに気付き、近付いて来る。]
ジャバウォック: 今北産業17
兎: こちらの方々は財の者です。お茶会に案内しようと思うのですが、このまま歩いては間に合いません。もし良ければ背中に乗せて行ってもらえますか?
ジャバウォック: 把握。
[ジャバウォックが身をかがめる]
兎: それではお言葉に甘えて。皆さんどうぞこちらへ。
[兎がアルファたちをジャバウォックの背中へ誘導する]
アルファ: 信用しよう。全員乗れ。
[全員がジャバウォックの背中に乗る。ジャバウォックが羽ばたき、空を飛ぶ。]
アルファ: ふむ。思ったより、というか全く風圧を感じないな。
笑顔: ここにはプレッシャーはにゃにもにゃいのさ。羽の音もにゃいんだから。そんにゃことよりこれ、方向が違うんじゃにゃいか?
兎: 本当ですね。ジャバウォックさん、いつもの会場はこちらではありませんが、どこへ向かっているのですか?
ジャバウォック: ハートの女王。
[進行方向に巨大な花畑が見えて来る。花畑には前翅長2m程度の巨大な蝶が飛んでいる。蝶は胴体部が人のような形をしていて、頭部に仮面を被り、無数に生えた触覚を二つに束ねている。蝶も輪郭線のみが確認できる状態だが、触覚だけは金色に輝いているように見える。ジャバウォックが蝶がいる場所へと降下する。]
蝶: こんばんはー!待ってたよー、財の者たち。
兎: これはどうも、こんばんは。
[アルファたちがジャバウォックの背中から降りる。兎と蝶が花畑の中心に向かって進み始める。アルファたちがそれに付いて行く。]
兎: 今日はお茶会だったのではありませんか?
蝶: あれは何でもない日を祝うパーティだからねー。でも今日はお客さんがいるから何でもなくない日だ!
兎: そうだったのですか。毎日開催されるものかと思ってました。
蝶: 毎日開催するよー。ここには何でもない日しかないからねー。
兎: そういえば、オカ連という組織が攻めてきた日は開催されませんでしたね。
蝶: そうなんだ!だから財の者は歓迎するよー。ほら、「敵と味方は見方」ってやつ!
兎: それを言うなら「敵の敵は味方」では……?いえ、敵が二人いるなら、比較的良く見える方を味方にするべきということですね。実に現実的な言葉です。
笑顔: にゃあ、蝶々さんよ。このお嬢さんにその色を分けてくれにゃいか?せっかく来てくれたお客さんの色を奪っちゃ失礼ってもんだにゃ。
蝶: たしかにねー。それじゃーどうぞ、遠慮なくもらってってよ!
[デルタの髪が金色になる]
デルタ: あの、私黒髪だったんですけど……?
ジャバウォック: 金髪は良いぞ。
蝶: ツインテールならなおさら良い!
デルタ: はぁ、どうも……。
蝶: どうせなら服もおしゃれな色にしよう!不思議の国に迷い込んだ女の子と言えば、やっぱり青だよねー。
[デルタの装備が赤色に染まる]
デルタ: これは赤では……?
笑顔: 赤?赤ってどんな色かにゃ?説明して欲しいにゃ。
デルタ: えーと、情熱的で、エネルギーに満ちていて、みたいな?
笑顔: それって、ほら、あの色ことじゃにゃいか?
[目の前の地面から紫色に輝く触手が生えて来る]
蝶: 先生だ!
触手: なんで財の者と戯れてんの……?
蝶: それはー、ほらー、オカ連の攻撃がきついじゃないですかー?だったら財の者と手を組んだ方が……。
ジャバウォック: もうだめぽ18。
触手: 財の者は正常性がどうとか言って、私達の理想を邪魔する団体じゃん。
蝶: そうは言っても、死にたくないですし……。
触手: もういい、ひとりでやる。
[周囲の花畑から無数の触手が飛び出す。]
蝶: ひえー!
[蝶が逃げ出す]
ジャバウォック: マンドクセ19。
[ジャバウォックが飛び去る]
笑顔: 交渉決裂みたいだにゃー。
[笑顔が消える]
アルファ: 敵性行動と判断、攻撃開始!デルタ、これを使え。
[アルファがデルタに拳銃を渡す。アルファたちが触手への発砲を開始する。銃声は聞こえない。銃弾を受けた触手は動きを止めるが、またすぐに別の触手が出現する。]
アルファ: キリがないな。
[デルタの足元から触手が出現する。]
デルタ: ひっ!
[デルタはその触手を銃撃しようと構えるが間に合わず、腕を触手に絡めとられる。そのまま地面に叩き付けられ、動かなくなる。デルタの服と髪が紫色に染まっていく。]
触手: 私はこの理想世界を創るために、多くの犠牲を払ってきた。多くのものを奪ってきた。いまさら財の者が出てきたところで引き返せないんだよ。
アルファ: まずいな。
兎: あの頭が付いた触手を狙ってください!そこを破壊すれば完全に殺せます!
[兎が指し示す方向に生首のついた触手が見える。生首は上下さかさまになっていて、頭頂部から触手が伸びている。生首の目が忌々しそうに兎を見る。]
アルファ: なんだお前、逃げたんじゃないのか。
兎: ええ、あの触手こそが私の敵でして!
[兎が触手から逃げ回りながら答える。]
アルファ: チャーリーは本体への攻撃に集中しろ。こちらに来た触手は俺が迎撃する。俺のリロードで交代だ。
チャーリー: 了解!
[アルファとチャーリーの足元に出現する触手を、アルファが的確に破壊する。その間チャーリーは生首付きの触手へフルオート射撃を続ける。生首付きの触手を守るように他の触手が出現するが、徐々にその壁は崩れていく。]
アルファ: リロード。
チャーリー: カヴァー!
[アルファのリロードの隙を狙った触手をチャーリーが破壊する。アルファとチャーリーは連携を続けながら触手の壁を破壊していく。]
触手: あの子のためにも……。
[生首付きの触手は地面の穴に潜り始める。アルファが生首付きの触手が潜っていった穴に走り寄り、その穴の中に手榴弾を投げ込む。衝撃で地面が揺れるが、爆発音は聞こえない。周囲の触手の動きが一斉に止まったことから、本体を撃破したことが分かる。]
兎: お見事です、財の方々。
[アルファがデルタに近付く。デルタの首や手足の骨が折れていることが確認される。]
アルファ: この紫色は血の色らしい、もう助からないな。先に進もう。それで、あの触手がハートの女王か?
兎: いいえ、あれはハートの女王を惑わし支配してきた「先生」と呼ばれる化け物です。ハートの女王はこの花畑の中心にいます。
[兎が先導し、一行は花畑の中心に向かう。カメラの片隅で笑顔の犬が触手の一部を噛み千切っている様子が映る。]
<記録中断>
警告: 以下のファイルはレベル3機密情報です
このファイルにレベル3権限または管理官の承認無しで行われるアクセス試行は記録され即時懲戒処分の対象となります。
付与予定タグ: scp jp