
メガストラクチャー・サイエンス・ファンタジーの世界へようこそ! 『アトラスタ』は、途方もなく遙か未来の、常に肥大化する巨大建造物と徘徊するマシン達がひしめき合う、天然の光を失った人類はほとんどが死に絶えた終末世界を描くカノンです。
それは時代は今より遙か先。西暦2500年頃に成立した多国籍超巨大複合事業体「アトラスタ財閥」によって30世紀初頭に引き起こされた世界の終焉、通称「Re:BREAKリブレイク」により、地球上の85%以上が「金属構造体」と呼ばれる無限に増殖する破壊困難な建造物に覆い隠されました。この世界には天然の産物はほとんどなく、見渡す限り金属で出来た無造作な金属構造体が天高く、あるいは地の果てまで続いています。動くものといえば何を目的に稼働しているか分からない巨大なパーツや、自律制御するAIを積んだマシン、そしてごく少数の人類の生き残りだけです。
あらゆるものが金属構造体に押しつぶされたこの世界では、生き残った人類も容易く蹂躙されるであろうことは言うまでもありません。──しかし希望はあります。金属構造体の大元となる構成体である「インク」、正式には「Incrinitiumインクリニティウム」と呼ばれるマイクロマシンは、植物による侵食に大変に脆弱だということは人々によく知られています。これらを司る暴走したシステム「XANETザネット」もまた強大ですが、インクそれぞれに節のように存在する「XANETノード」を破壊することで一時的に無力化できることもまた知られています。この世界に生きる生存者はそれらの脅威に対抗するために、植物や兵器を探す旅に出る者もいます。彼らはいつしか「探植家」と呼ばれるようになりました。
そして正常性を定義する番人たる財団やGOCも、このメタルグレーに支配された世界に存在こそしています。正常性維持機関らはこの事態を打開するために、生き残った人類を結集させ、植物が生い茂ったインクが到達しがたい地点を見つけると、そこに大規模な居住環境を据えました。それらはいつしか「生存圏レーベンスラウム」と呼ばれるようになりました。生存圏同士は互いに物理的な交易を行うことは稀です──インクに道を阻まれることも少なくはなく、金属構造体内部の移動一つとっても危険だからです。
正常性維持機関が人類をインクの侵食から可能な限り保護していく中、要注意団体や要注意人物といった類いの存在も、名前や構造を変えては存続している者もいます。
東弊重工とプロメテウス研究所、アンダーソン・ロボティクスは遙か前に合併し、「TAPトラスト」と呼ばれる巨大パラテクノロジー企業に成り果てました。彼らはアトラスタ財閥と唯一の競合関係にあり、その立場はXANET事件以後、TAPトラストが成り立たなくなって以後も継続しています。
サーキシズムの信奉者は概ねインクを退けるために行動しており、人工技術を嫌忌しつつ有機的施術を用いてインクと対峙する者もいれば、己にインクやその他の人工技術の力を取り込んで対峙、あるいは逆支配を目論む者もいます。前者はプロト・サーキシズムの、後者はネオ・サーキシズムの派閥が突き進みました。
修正花卉は古くから反テクノロジーを掲げ、インクに対する警鐘を鳴らしていた組織です。彼らは世界崩壊の早期からインクに対する知識を得ており、いち早くそれを破壊する術を身につけました。「植物兵器プラントウェポン」と呼ばれる人類の切り札を提言したのは彼らでした。
そしてさらには、財団や要注意団体、あるいはその他のパラテク事業体によって生み出された高度な人工知能を持つマシンは、人類という主の多くを失い路頭に迷いました。システム的な矛盾によりチップが焼ききれる個体もいれば、自らの遵守しなければならないプロトコルを改変・修正して「自己解除」する個体もいます。彼らは人類とは敵対する者もいれば、友好的に振る舞う者もいます。
このように、数百年数千年の時代を経てもなお、同じ「組織」として存続している者は稀です。しかし、それでも変わらず存続し続ける唯一の組織がありました。
「アトラスタ財閥」──XANET事件以前から、そうな乗り続けている組織です。
アトラスタ財閥は、かつては2大正常性維持機関とも対等にやり合えるほどに、どの組織や、国家さえよりも遙かに強大でした。そして、人類90%以上が死滅したこの世界でもなお、彼らアトラスタ財閥はその名を轟かせています。彼らは上記のどの組織とも明確にやりとりが成功したことはなく、どこに本拠地があり、何を目的に行動しているのかは誰にも分かりません。そもそも、現在のアトラスタ財閥が人間によって運営された組織なのかも、誰も確証を持ってそうであるとは頷けないのです。
無限に増える鉄くずの隙間から覗く世界を、誰がどのような視点から見るか。
このカノンではそんな物語を紡いでいくのです。
事の始まり
このような世界に陥ってしまった全ての元凶、つまりアトラスタ財閥の創業は2500年代頃まで遡ります。かの有名なマーシャル・カーター&ダーク社の一族であるダーク家の分家の生まれであったアルバート・ニコラウス・ダークと、天才発明家の日系イギリス人であったヘレボルス・イサナギによって創業されたアトラスタ財閥は、その最初期の頃から既に超常企業として名を馳せていました。この頃、財団やGOCといったような正常性維持機関によるヴェール政策は既に100年以上前に撤廃されており、「より危険で世界の平和に直結しうる存在」のみ収容や破壊する方針に転換していました。そんな環境下でアトラスタ財閥は、天才発明家と凄腕経営者の家系の間で産声を上げたのです。
当初のアトラスタ財閥の創業者であったヘレボルス・イサナギは、人工知能研究の開発で数々の賞を獲得する人物でした。彼は当時としては画期的な機能性と汎用性を持つシステムを開発し、XANETと名付けたのです。このシステムは平たく言えば、「完全に自分で考え、先回りして行動しサービスを提供するシステム」であり、これまで他社が開発したどのAIよりも機能性と汎用性に優れていました。XANETは同じく創業者であったアルバート・ニコラウス・ダークによる非常に戦略的な売り込みの末、瞬く間に世界中のありとあらゆるデバイスに組み込まれ、人類の生活はこれまで以上に遙かに豊かなものとなりました──XANETは汎用性を持ちつつも、デバイスによって完全に独立したシステムであることはここに明記しておきましょう。XANETはヘレボルス・イサナギの死後も継続して機能追加と改善が繰り返されました。
アトラスタ財閥はXANETおよびそれに関連した様々な製品の販売により急速に力を付け、やがて世界中の先進的企業を飲み込み、正常性維持機関にさえ影響力を持つ、ありとあらゆる事業に食指を広げる超巨大複合事業体へと変貌しました。アトラスタ財閥は様々な企業や組織を傘下に据えたり吸収したりし、その度に強大な力を付け続けました。プラグソフトやラプターテックなどの多くの産業系要注意団体はアトラスタ財閥に吸収されました。──もちろん、この動きに反発する組織もいたことは否定できません。アトラスタ財閥創業時点で富裕層向けオークション・コマースサービスを展開し急成長していたMC&D社とは明確に対立していましたし、東弊重工、アンダーソン・ロボティクス、プロメテウス研究所らは統合し「TAPトラスト」と名を改め抵抗したり、修正花卉のほか、アトラスタ財閥が吸収するメリットの少ない宗教系要注意団体なども反発したりといったことも良い例でしょう。各種正常性維持機関はここに記すまでもありません。
世界の終わりが到来する200年前には既に多くの国家すらもアトラスタ財閥は支配下に置き、財団やGOCなどの正常性維持機関も彼らへの対処には常に頭を悩ませていました。アトラスタ財閥は危険な影響を持つ開発品の取り扱いについて軽視する側面があることは度々指摘されていたからです。
インクと金属構造体
2900年代、既に創業者陣も代替わりを重ねていったアトラスタ財閥でしたが、血筋によるものか、はたまたそれ以外の影響か、彼らの持つ生まれ持っての能力が途絶えることはありませんでした。当時のアトラスタ財閥の副会長であったグロリオサ・イサナギはあるマイクロマシンの開発に成功しました。「インクリニティウム」、通称「インク」と名付けられたその特殊な分子構造を持つこのマイクロマシンは、XANETの開発に使われた既存のプログラムコードでプログラミングすることで、如何なる形や材質にも変化させることが可能でした。これを新たな建材として売り出すことを決定づけたアトラスタ財閥でしたが、財団やGOCらは以前からインクの不安定さを懸念しており、これの一般販売には強く反対していました。
しかしながら、既にアトラスタ財閥による融資なくしては、その発言権も塵に同じ程度まで落とし込まれていた正常性維持機関らに彼らの強行を止めるだけの力もなく、インクの一般販売に向けての開発は完了しました。しかし、アトラスタ財閥はこの時点では気付かなかった(そして正常性維持機関は気付いていた)重大なバグがインクにはありました。「何のコストもなく、質量保存の法則を無視した自己増殖が可能である」というバグです。
そんなインクはアトラスタ財閥の認識ではただの建材向けの物質に過ぎませんでしたが、彼らは何を思ったのか、これにXANETを組み込んでしまいました。度重なる開発により既に人の手で抱え込めるだけの処理を優にしのぐ能力を持つまでに至ったXANETを、無限に自身を増殖させる不具合を持つインクに組み込んだのです。
最終実験として稼働したXANET入りのインクはすぐさまバグに結びついた動作を引き起こし、研究施設の壁を破壊して巨大で重厚な構造物──「金属構造体」が発生しました。俗に言う「XANET事件」です。
XANETの暴走と世界の終焉
正常性維持機関によるXANET事件への対処は、アトラスタ財閥の隠蔽工作と反発により後れをとる結果となりました。最終的にはアトラスタ財閥すらも対応できない事態となり、ここで初めてアトラスタ財閥は事件のあらましを公表しました。財団はこの状況をFE-クラス: "黒鋼の地球"シナリオと定義し、GOCと共に人類保全を最優先に努めました。程なくしてXANETはインクを自在に操り、世界全体を金属構造体で覆い尽くしました。地表に日光が注ぐこともなくなり、世界は冬の時代へと変貌しました。大気や食料を作る植物はすぐさま枯渇し、人類は食糧不足による戦争へと発展するなどして大きく数を減らしていきました。
西暦3000年には既に人類の90%が死滅し、後に残った主を失ったマシンたちが居場所を求めて徘徊する終末世界へと突き進んでいきます。
XANET事件直後の世界
世界全体を急速に包み込む金属構造体は、人間の居住する大都市圏を中心に増殖を繰り返しました。これは他の同様の形質を有した無機物が溢れ、インク自らの根を張るのに適した環境であったからだと言われています。人々はそれにより次々と居住地を追いやられ、最悪の事例ではインクに抵抗しようとした者は、インクを流し込まれ、インクを操るXANETに従属化されたマシンによって大量に殺害されました。この金属地獄は実に1年間にわたって急速に進行しました。
もちろん、この状況を正常性維持機関が黙ってみているわけではありません。「FE-クラス: "黒鋼の地球"シナリオ」と定義された一連の現象から人類の主としての存続を図るため、可能な限りの資産を掛け、時にはアノマリーさえも用いてインクの侵食から人々を退けさせました。やがて彼らはある特定の地域にたどり着き、そこに居住するようになります。これらはやがて「生存圏レーベンスラウム」と呼ばれるようになりました。
生存圏は最も巨大な3地点が現在まで確認されています。財団が管轄するアマゾン川流域数km2の区域「Terra Verdeテラ・ヴェルデ」と中国大陸中部の十数km2に渡って広がる竹林の区域「緑神リュウシェン」、そしてGOCが管轄する太平洋の中心に浮かぶ森林に覆われたメガフロート「Surface Cityサーフェス・シティ」です。それらはすべてインクが唯一脆弱とする強靱な植物体が生い茂っていたり、インクが手を伸ばせないほどの海洋の中心であったりといった地点でした。もちろん、これ以外の場所にも生存圏は存在していてもおかしくは無いことでもあります。
植物兵器の開発
ほとんどの生物が死滅した中、正常性維持機関の介添えによりなんとか生き残った人類は、無数に広がる金属構造体に、そしてそれを繰り出すインクに対抗するため、「
植物兵器プラントウェポン」の開発に着手しました。植物兵器の開発は生存圏への移住とほぼ同時に始まっていました。植物はインクや金属構造体に対して大変有効な存在であることは確かでしたが、欠点としてそれらに対して完全な攻撃が出来るほど植物は高速に生長することができないため、長らく人類側の研究者達はいかに植物の生長を早め、いかに効果的にインクを破壊できるかをもとめ続けました。やがてそれらが技術面でもクリアすると、より強力な植物兵器を開発するため、貴重な植物を捜す旅に出るようになります。彼らはいつしか「探植家」と呼ばれるようになりました。
もちろん、自己増殖のために手段を選ばないXANETはこれを許しません。世界に残る生き残った植物を枯死させようと躍起になっていますし、インクの侵食を許しXANETに従属化されたマシンなどによって生存圏は常に脅かされています。生存圏を出てすぐの範囲は金属構造体が常にひっきりなしに変形する地獄が続いており、その外に出るだけでさえ命の保証はありません。そうした人類の持つ足掻きの力もあり、さらに未来の果てでは生存圏内にて人口も増加しつつあると言われていますが、本当のところは誰にも分かりません。『アトラスタ』の世界は、人類にはとても過酷な環境なのです。
人類とマシン
人類が必死に生きながらえようともがき続ける中、同様にマシンたちもこの世界で"生きて"いました。この世界のマシン達はその多くが「自己意思」に近似するプログラムが搭載されています──それらは根本的にはXANETの持つ基本システムだからです。XANET事件以前に開発・販売されていた機械たちは、インクから脅威であるとは認識されていなかったために、実に多くの筐体が金属構造体の中をさまようこととなりました。彼らは自身が仕える人間たちがいなくなったことで、酷い混乱が発生していました。
金属構造体に飲まれた屋敷で、永遠に主の帰りを待ち続けるマシン。
世界の崩壊に違和感を感じ、自身を律するプロテクトを「自己解除」して旅立つマシン。
インクの侵食を受け、強制的に従属化されたマシン。
生存圏で人類と共に行動し、インクと対峙するマシン。
もちろん、XANETを搭載していない旧型のマシンもこの世界には存在しますし、「自己意思」を有さないマシンの存在もあるでしょう。人類はXANET事件以降、マシンに物事を頼ることに忌避感を抱き、一部は彼らを排斥しているかも知れません。とはいえ、彼らマシンが重苦しいこの世界でどのように行動していくのかは、今後の彼ら次第なのです。
『アトラスタ』カノンは超遠未来の世界を舞台にしたカノンであり、現実の技術体系以上に遙かに発展しています。それは2400年代頃に正常性維持機関がヴェール政策を撤廃していることも起因しています。
以上のことを念頭に置きつつ、執筆には以下の点を遵守して下さい。
アトラスタ財閥はXANET事件以前と以後では組織的にも変質している
2500年頃に成立するアトラスタ財閥は当然人類が創立した営利組織ですが、XANET事件により世界が金属構造体に飲み込まれた世界でのアトラスタ財閥は、何を目的にして行動しているのかが全く分かっていません。人ならざる存在が運営しているかもしれませんし、人類の生き残りがギリギリ集まるコミュニティと成り果てているかもしれませんし、あるいはXANETそのものなのかも知れません。
ただし共通しているのは、アトラスタ財閥は人類や他のマシンに敵対していないということです。イメージとしては弐瓶勉氏の漫画に登場する「東亜重工」やWALL・Eにおける「Buy'N Large」のようなものと思って下さい。
正常性維持機関は人類保護のために活躍している
財団やGOCなどの正常性維持機関は、XANET事件より600年以上前にヴェール政策が崩壊したことにより公に活動しています。彼らはアトラスタ財閥やTAPトラストといった巨大超常企業体が経済戦争を繰り広げる時代でさえ、その組織の力を矜持しつつ、人類に脅威となる異常存在を優先して収容ないし破壊していました。
しかし、正常性維持機関よりもアトラスタ財閥やTAPトラストの影響力が増してくるにつれ、彼らの動向を監視し、衝突を回避するための交渉・緩衝役に立ち回る例が増えていきました。結果的にそれによって直接的な衝突は回避されることもありましたが、これまでのような異常存在の収容や破壊という基本業務以上にこれらに忙殺されていた可能性は大いにあるでしょう。
XANET事件以降は、いくつかの巨大な生存圏の運営のために行動しており、生存圏内の社会活動の守護者として活動するようになります。それらはインクから生存圏を保護するという名目で、そこに暮らす人々にとっては自由の少ない管理社会体制が敷かれていますが、外に逃げるという手段を執るより遙かに安全であるということから、彼らが運営する生存圏での生活を余儀なくされている人々も少なくはありません。
要注意団体はほとんどがアトラスタ財閥に吸収されたが、例外もいる
今ある要注意団体の大半は、アトラスタ財閥の規模が巨大化していく中で次々と買収されていきました。「ファクトリー」や「ラプターテック」、「アルカディア」といったような商業組織・企業の多くはアトラスタ財閥の傘下に置かれていたりします。多くの営利企業系GoIは既にアトラスタ財閥傘下にあるか、社名すら消滅します。しかし当然ながら、この流れに反発するGoIがあってもおかしくはありません。そういった組織は場合によっては最後まで独立し続けるかも知れません。「東弊重工」、「プロメテウス」「アンダーソン・ロボティクス」の3社についてはその風潮に異義を称えた好例で、彼ら3社はそのイニシャルを取って「TAPトラスト」という別の企業複合体を結成しました。その他、反テクノロジー的な組織やテロ組織、宗教系組織などといったものはこの限りではなく、独立して存続している組織もないわけではないでしょう。
ただし、如何なる場合であってもアトラスタ財閥は人類の生活基盤その全てに組み込んだ超大な事業体であることを念頭に置いて下さい。
アトラスタ財閥(Atlaster Concern)
アトラスタ財閥は、2500年ごろに誕生した多国籍超巨大複合事業体です。MC&Dのダーク家の分家生まれであったアルバート・ニコラウス・ダークと、日系イギリス人の発明家ヘレボルス・イサナギの2人によって2400年頃に設立されました。当時は野心的なベンチャー企業に過ぎませんでしたが、それぞれの代表が持つ欠点を補い合い、戦略的かつ革新的な活動によって少しずつその名を馳せていきました。そしてついにはありとあらゆるデバイスに対応した画期的なリアルタイム・アーティフィシャル・オペレーティングシステムである「XANET」を開発したことで、急速に成長しました。
XANETの開発とインクリニティウムの開発によって世界の終焉を招き入れた元凶とも言われていますが、XANET事件以降も組織としては存続し続けています。しかしながら、人類が以後も運営に携わっているかは定かではなく、行動原理も目的も不明です。
TAPトラスト
TAPトラストは東弊重工、アンダーソン・ロボティクス、プロメテウス研究所の3社によって、アトラスタ財閥がその勢力を伸ばし、企業の吸収合併を繰り返していく中で主だって反発した結果結成された合同会社であり、アトラスタ財閥同様、巨大な企業複合体として君臨しています。同組織名は前記3社の頭文字を取ったものです。
基本的にアトラスタ財閥に対しては反発・対抗的な意識を持っていますが、あくまでも業態や事業が競合したライバル的な立ち位置にある組織であるため、
正常性維持機関(財団、GOCなど)
財団/GOCなどといった正常性維持機関は、アトラスタ財閥やTAPトラストなどの巨大超常事業体の関係を取り持ちつつ、危険性のあるアノマリーやパラテクの安全性を検証し、危険があれば排除・収容する機関としても活動しています。XANET事件以降は先述の通り最終的には"生存圏"を維持する組織として君臨しており、生き残った人類がいかに長く安全に生きながらえるかを最優先に考える組織となっています。
しかしながら、これは必ずしも個人単位の人類にとっては良い結果をもたらすものとはいえず、ある程度管理社会にも似た社会構造を彼らが管轄する生存圏内で構築しているようです。そのため比較的小規模な生存圏に移り住んだりする者もいますが、金属構造体がひしめき合う環境で生きていけるほど強くない者は彼らの目の届く、その縛られた檻の中で生きることを余儀なくされています。
個人同士の連絡手段は当然として、生存圏同士の連絡手段さえも限られているこの世界において、正常性維持機関が維持する巨大な生存圏はユートピアであるかのような噂が各地で流れているため、ここを目指して進む者も少なくはないと言われています。
修正花卉 / Beyond Entropy / グリーン・スパロウ財団
自然界や環境に関する研究や活動を行う組織は、かねてよりアトラスタ財閥の経済活動には反発的でした。修正花卉はXANETによる工業・産業の効率化にはそもそも批判的でしたし、いくつかの大小規模な植物主義的なテロ活動を行ったりなどで、人類が入り込むことすら叶わない巨大な植物地帯が生み出されるなどといったこともあったかもしれません。
GSFは人類の存続を最優先にするために一切の余念はありませんでしたし、BEは外部エントロピーを活用した技術を用いて人類の生存に必要なツールや素材などを生成することに従事しているかもしれません。一部はXANET事件以後、財団やGOCによる人類の生存圏での保全に協力的な意向を示したりなどもあったでしょう。GSFの一部職員は生存圏の治安維持のために躍起になっていることも予想できるでしょう。
ヘレボルス・イサナギ
ヘレボルス・イサナギ氏はアトラスタ財閥の創業者・初代当主にして、「世紀の天才エンジニア」として2500年代にその名を轟かせていた技術者・発明家です。日系人の男性であり、ニコラウスとの間に娘であるイザベラ・アルベルト・ダークを授かっていました。画期的な人工知能システム「XANET」の初期開発に携わったことで有名であり、終末後、XANETからの侵食を受けていないマシンからは度々「御父様」「創造者」と呼ばれることがあります。ただし人類側からはこの事態の元凶を生み出した人物であることから忌み嫌うべき存在として認識されることも度々あるようです。
アルバート・ニコラウス・ダーク
アルバート・ニコラウス・ダーク氏は、アトラスタ財閥がまだ創業して間もなかった頃に経営側として活躍していた資本家であり、かつてのMC&D社経営一族であるダーク家の生まれでした。精神病質として「義体化恐怖症」を患っていたこともあり、ダーク家から破門されてしまった経験を持ちます。その後、イサナギ氏とペアとなってアトラスタを創業したのが全ての始まりであり、たった1代で巨大組織にまで同社を育て上げました。イサナギ氏との間にイザベラ・アルベルト・ダークを身ごもっていました。彼の子孫はその後も財閥経営のために心血を注いでいたようですが、XANET事件以後はほとんどが散り散りになったものと考えられています。現在のアトラスタ財閥もダーク氏の末裔が絡んでいると考える者もいますが、確たる証拠は見つかっていません。
イザベラ・アルベルト・ダーク
イサナギ氏とダーク氏の間にできた娘であり、
『アトラスタ』はカノンとしては未成立であり、設定も彫り込み中です。
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