大昔、今は栄華を誇る大和の大地が未だ穴だらけで満ち足りない時がありました。北方に時欠ける場所。南方に熱覆う場所。内海の村々は鮫人が棲む。その甚だ完全には程遠い大和の地には、三つの家がありました。一つは、大蛇を殺したものの子孫で、一つは、大地の病を治したものの子孫で、一つは熊を娶ったものの子孫でした。今では彼らのことを日奉、薬師寺、翁鳥と呼んでいるとのことです。
神裏記 神枷神亀著
日奉
神を殺す一族。神を自分の体に下ろすことで人の体に卑しめ同格に落としてから其れを弑いてきた。蒐集院にて神を封印し利益を守ろうとしてきた。他の3家にも言えることではあるが、「日奉」であることと戸籍姓が日奉であることは必ずしもイコールではない。
4家の中でもっとも戦闘力が高い。持つ術式は最もハイスペックで、雨を降らす法、匂いを追う術などがこれまで確認されている。式神を使うものもおり、これまででは蛇を振るうものや鳥を使うものが見られている。
平坂、花寺、大崎、雨野、伊勢山の名を語ることがある。
薬師寺
借りる一族。神に力を借りて治す一族。戦後には既に一族が離散状態にあってほぼ壊滅していたが、裏社会に沈む形で徐々に勢力を得たと考えられている。ヴェール外世界においては、広範な影響力を持つことが多い医務団体を構成することが多い。
戦闘力はほとんどない。というのも、一族総出で薬漬けであり、まともな方法で戦うことはない。しかし稀に「忌子」が生じることがあり、これは非常に暴力的な性格と能力を伴うことがあるのだと言う。曰く、さまざまなものを治してきた彼らの大きな揺り戻しである。
薬の扱いに長け、体の動きに精通し、不可思議な力によって死の運命を避ける。吹き飛ばした腕を治したという噂さえある。一説によれば、光源氏の瘧病を治したのは彼らによるものだという。