CRITICS_ハブ: 拡張された世界観(UNEPS)

■歴史
1948年の国際連合休戦監視機構(UNSTO)を切欠として、国際連合安全保障理事会(UNSC)の"法的に国際連合加盟国を拘束する権利"を国連の総意として保証する必要性が認識されました。軍事参謀委員会はUNSTOの枠組みと活動を下地としてPeacebuilding & Conflict Prevention Office(PCPO)の設立を提言しました。これは、UNSASに基づいて結集される国連軍の司令部機能を常設化する事で、国連による国際平和維持活動の一貫性と公平性を担保する事を目的としていました。

安全保障理事会ではなく国際連合緊急総会の決議に基づく1956年の第一次国際連合緊急軍(UNEFⅠ)の招集によって、安全保障理事国自身がが紛争当事国である場合であっても国連の総意による平和維持活動の実行が可能とされた事で、国連が独自の平和維持活動の為の実行力を保有する事の実現性が裏付けられましたが、同時に第三次中東戦争の勃発を阻止できなかった事、その後のソ連軍の消耗戦争に対する直接介入、更には第四次中東戦争やベトナム戦争に於ける米ソの対立が表面化のいずれにも国連が状況をコントロール出来なかった事実は、 Conflict Preventionの概念が強化されると共に、国連はその能力を持たず、仮に持っていたとしても法的・倫理的根拠が欠如している事を示しました。また、ビアフラ戦争を切欠として中立と不干渉の原則が障害となって他国或いは国連による介入が阻まれた事は、武力紛争及びその被害によって国家の庇護から外れた個人、集団或いは領域に対するHumanitarian Interventionの概念を生み出しました。これらと共に、新興国を始めとする第三国を中心としてそれらの能力を法的にも、物理的にも国連に求める提言が続き、米ソの対立緩和がそれを後押しする形で、当時国際連合平和活動局の担当事務次官であったブライアン・アークハートはPCPOと国連準備制度と統合した上で、Emergency Peace Reserve Service(EPRS)構想として再構築し、提唱するに至りました。

EPRSは国連安保理によって招集された1974年の第6回緊急特別総会によって決議され、UNEPRSとして正式に発足し、国際連合キプロス平和維持軍、国際連合兵力引き離し監視軍、国際連合レバノン暫定駐留軍にPKFに代わって派遣され、それらの大半を引き継ぐとともに、UNSTOにも武装警官隊を派遣しています。但し、UNEPRSは戦力の醸成と維持、及びその存在と交戦権の根拠となる法整備に極めて長い期間を要し、結果として冷戦下に於いて目立った活動を行う事は出来ませんでした。

■組織
UNICASE(United Nations Independent Corps Administration for Stabilization and Enforcement: 国連安定化執行独立部隊)は国連が独占的に保有し、運用可能な戦力集団です。非武装の文民を中心とする停戦監視調整団(Truce Observer Adjustment Group/TAG)や、司法/警察業務を行う治安介入部隊(Sequrity Humanitarian Intervention Police Service/SHIPS)と共に、UNEPS(国連緊急平和部隊: United Nations Emergency Peace Service)を構成します。UNICASEは独立した平和維持軍を編成する事が可能であり、国連総会決議第377号に基づき、国際連合緊急特別総会がUNEPSの招集及び派兵を決定する事が可能です。国際連合平和活動局隷下のGlobal Stability Enforcement Commissionによって戦力化・指揮されます。

UNICASEは国際法上認められた、国家に所属しない唯一の軍事組織です。安保理は各々の国連加盟国の地政学的な地域グループに基づいて戦力の配置を各国と交渉する権利を持ちます。

UNICASEは単独で、或いは国連緊急即応待機旅団(SHIRBRIG)や国連待機制度(UNSAS)によって供給される加盟各国の軍隊と共に国連平和維持活動に従事する為の平和維持軍を編成・展開する機能を持ちますが、超常コミュニティに於けるUNICASEに対する関心は、それがGOCの通常戦力及び人員を必要とする際の主要な供給源であり、ISMPに基づき締結国の超常戦能力を持つ軍隊、及び108評議会の加盟機関が有する紙幣と共に正常性維持軍(NKF)を編成し、指揮するという点に基づくものです。

UNEPSの戦力は国連の地域グループ毎に配置されたAdministration of Deployment Prepparedness(ADP)によって管理されています。ADPは戦力供給源であり、実際の活動に際してはこれらから抽出された人員・装備によって中隊~旅団規模の部隊を展開します。

アフリカ諸国グループ/GAFS
アジア及び太平洋小島嶼開発途上国グループ/GAPSIDS
東ヨーロッパ諸国グループ/EEG
ラテンアメリカ及びカリブ海諸国グループ/GRULAC
西ヨーロッパ及びその他の諸国グループ/WEOG

地域グループの管理下にある部隊はInternational Regional Specified Unit/IRSU(国際地域特定兵科部隊、又は国際地域連隊)と呼称され、地上戦力として8個IRSU(3個歩兵、1個装甲騎兵、1個戦車、1個砲兵、1個空中騎兵、1個工兵)、3個航空群(2個戦闘、1個空輸)が各地域グループに配備されています。

IRSUは管理単位であり、常設の司令部機能は存在しません。平時の運営に関しては、地域グループ毎に設けられた地域戦力総支部から分遣された部隊管理部を通じて各大隊を指揮します。作戦行動に際してはGlobal Stability Enforcement Command/GSECが戦略階梯の指揮統制を行い、作戦階梯以下はGSECによって指名された指揮官及び司令部要員、ADP及びIRSU管理部から派遣された追加の実務要員によって構成されるEmergency Dispatch Forces Commandが部隊を指揮します。派兵部隊はUNDF、又は単にディスパッチャーと呼称されます。

単一、又は複数のIRSUのみでUNEDを編成する事は可能ですが、IRSUは兵站を含む後方支援能力はほぼ持たない事、固有の輸送力も非常に限定されている事から、連続した作戦可能期間は5日程度であり、展開できる範囲も地域グループ内に限られます。地域グループ内での政情不安定或いは低烈度紛争への事前介入・監視・治安維持を
主任務とする場合、地域グループ内の有志国によって展開及び後方支援手段が提供される事があり、その場合はProvinsional Unit,Regional Unified Deployment(PURUD)と呼称されます。

PURUDは地域グループ内の合意のみで招集し、出撃する事が可能ですが、事後24時間以内に紛争当事国又は地域グループの任意の代表国によって事務総長に緊急特別総会の開催を要請し、
同時に軍事参謀委員会、執行統括部への報告が求められる上、その後の活動は緊急特別総会の決議によって左右されます。PURUDの指揮権は暫定任務司令部(Provinsional Mission Command Office)が
担当しますが、出動そのもの、及び活動の内容に正統性が認められないと判断された場合、PURUDの指揮権は執行統括部に移管され、30日以内の戦闘終結及び撤兵が義務付けられています。

■任務と装備
UNICASEは、世界で唯一の合法な非国家主体が有する軍事組織であると同時に、防衛すべき主権領域とその利益を持たない唯一の軍事組織でもあります。UNICASEの主要な任務は国際連合の総意に基づき、武力紛争への強制介入によって"保護する責任"を行使する事であり、それらに特化した装備を有しています。原則として引き離しには地上戦力の投入が必須であり、航空戦力及び洋上戦力はそれらを(直接・間接を問わず)支援する役割に主眼が置かれています。

UNICASEの装備形態に於いては、国際社会の総意である国連の意志によって認可され、運営される軍事組織であるという前提に基づいて整備され、運用されます。即ち、UNICASEに敵対する勢力は原則として国際社会から非合法な武装勢力と看做され、国連加盟国によって彼らが支援される事は有り得ないと考えられます。従って、UNICASEが想定する敵は、主にブラックマーケットから入手できる兵器によって武装しており、近代的かつ複雑な兵器システムを組織的に運用する能力は持たないと看做されており、UNICASEはそれらの活動に対して迅速に展開し、最小限の被害によってそれを阻止する事を念頭に置いて軍備と運用システムを整備しています。

冷戦後の世界情勢から、UNICASEは同時期に複数の地域紛争が発生した場合にもそれぞれに戦力を展開できる程度には一定規模の戦力を維持し続ける事が求められていますが、これらの前提に加え予算上の制約が装備の陳腐化・旧式化に伴う更新を遅延させる要因ともなっています。

・地上戦力
地上戦力の大半は各地域グループに分散配置されており、単一兵科から構成される連隊級の集団を管理単位としています。これらは執行統括部が派兵要請に基づいて招集するミッション毎の司令部によって任務群を編成します。その規模は状況に応じて変動し、最小では中隊規模、最大では歩兵グループに他兵科グループから抽出された各種部隊を加えた旅団規模の戦闘団となります。但し、地上戦力は独力での戦略機動能力を持たないため、長距離展開が求められる場合は執行統括部隷下の長距離航空輸送部隊及び戦力投射艦部隊がそれを担当します。展開範囲が地域レベルの場合は地域グループ隷下の輸送機或いは輸送艦艇が用いられ、必要に応じてこれらは統合運用されます。

・洋上戦力
総海部は1975年、アメリカ海軍から退役した4隻のデ・ソト・カウンティ級戦車揚陸艦を切欠として、洋上戦力輸送と展開を主任務とする部門として創設されました。その後は主に航路の安全確保を主任務とする哨戒艦艇とフリゲートを中心に戦力の拡充を図ってきましたが、フォークランド紛争を切欠として航空母艦による洋上からの航空機による火力投射と空域確保の利点が地域紛争の介入に際して極めて重要な役割を果たす事が再確認された事、またハリアーSTOVL戦闘攻撃機の実用化とそのプラットフォームである軽空母の運用成熟により、それらの手段をアメリカ海軍が保有するような大型空無しに実現し得る事が明らかになった事によって、1990年代には軽空母2隻及びそれらの直営戦力となる艦隊防空艦艇群の配備に至りました。

水上戦闘艦艇群の能力は戦力投射の洋上拠点となる沿岸地域に於いて脅威となるミサイル艇を始めとしたFACや攻撃機、或いはSSM陣地、小型潜水艦や戦闘泳者による襲撃への対処を主眼に置いており、外洋に於けるASM群の飽和攻撃に対処できるほどの能力は要求されていません。これは、そもそも洋上戦力自体が沿岸域からの戦力投射を主目的として整備されていることに加え、外洋での対艦攻撃能力を持ち得る海軍を保有する国家はいずれも国連安全保障理事国及びその友好国のみであり、それらがUNICASEに対して敵対行動を取り得る事はあり得ないという組織としての前提が存在する為です。

地域グループに配置されている輸送艦艇を中心とした任務群は、地域グループに配備されている地上戦力を地域内、或いは他の地域に展開或いは輸送する際に用いる為に用いられます。

・航空戦力
地上戦力の投入が武力紛争への強制介入に於ける最も効果的な手段である事は、純軍事的な実効性以上に政治的な示威効果を達成します。これには迅速な展開が必要不可欠であると共に、展開領域に於いて地上部隊が活動を継続するための補給線の確立にも重点が置かれます。その為、UNICASEは極めて充実した航空輸送能力を有しています。半面、戦闘用航空機は地上戦力の作戦支援を主眼に置き、その用途及び能力は戦術的な航空偵察や近接航空支援、及び空域封鎖と監視に限定されています。

航空戦力のうち、執行統括部には長距離展開支援用の大型輸送機群があり、これらは地上戦力が地域グループを跨いで展開する必要がある場合に使用されます。空中指揮管制機及び早期警戒機群は、一定規模の航空戦力を展開する必要がある場合に執行統括部から分遣されます。地域グループ隷下の航空戦力は主に戦闘機と戦術輸送機を主体としており、後者は同地域グループ内隷下戦力への補給を担当すると共に、戦域内航空輸送の主軸、更には地域間展開の支援も担当します。地域グループ内の航空戦力は、空中給油能力によって最低限の自力展開能力を備えており、地上部隊の投入に先立って航空戦力を現地に展開することが可能です。

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