2015/8/13 15:02:07 (UTC+2) |
スペイン王国 カスティーリャ・イ・レオン自治州 ソリア市 郊外 |
「4時方向に標準を合わせ……今だ、撃て!」
一匹のカワウソの強請が上がった、その直後に後方から砲弾が放たれる。その砲弾は大小様々な"超常生物"の群れに直撃し、肉片へと変えていく。その超常生物の群れはイベリアの地に降臨した偽神が開けた"空間の穴"より這い出てきたものであった。それが各地で"小動物たち"を襲っていたおり、その牙がソリアにも向かおうとしていた。
「報告通りだ。アイツらオーストラリアの怪生物にそっくりだ!」
「ここを突破されたら市民やフランシアフランスの核投下から逃げてきた避難民が危ない、阻止しろ!」
小動物の兵士たちはこれからやるべきことについて声を荒らげている。それはさながら戦場のようでもあった。
「くそっ!数が多い!」
「元の身体のままだったら重火器でぶちかましてやるのに」
「グレシアギリシャとイスラ・ファンタズマ幻島から供給してもらった武器で我慢しろ!今は使えるものがあるだけでもありがたいんだぞ!」
「そこのファウンダーとゴックス!ボヤいている暇があるなら手を緩めるな!」
財団=GOC=スペイン軍合同軍事施設──ソリア基地──に所属している者たちは悪態を付きながらも手を緩めない。兵士たちは統率の取れた動きで軍事的行動手順を繰り返していく。だが、慣れない新たな身体と超常生物の数の多さで少しずつ押されつつあった。その時──
「……なんだ、プロペラの音?」
「もしや、来たのか」
カワウソの指揮官が何かに思い当たったところで通信機に少女の声のものらしき伝言が入る。
「こちら、コールサイン"アヒージョ・ヴォラドルAjillo Volador"・ナビゲーター、対地攻撃の許可を求めます」
「やはりか」
「閣下、どうしますか?あの子たちはまだ」
副官のカワウソが言い切る前に指揮官が遮るように答える。
「分かってる。……アマリア、だったかな」
「はい」
「座標情報をそちらに送る。ポイント4Bが敵対生物が一番密集している場所だ、そこの爆撃を頼みたい」
アマリアは一瞬だけ息を呑み、次の言葉を出す。