やあ! 購入者諸君。CLAGLA株式会社の最新作、『少年少女地底紀行』をご購入いただきありがとう。このゲームは二人のキャラクター……地底世代の少年『タイヨウ』と、地上から落ちてきた少女『ソラ』を操作して、地上を目指すアクション・アドベンチャーだ。
そして僕はNPC、タキオリ。彼らの冒険を、つまりは君たちプレーヤーの冒険をサポートする役割だ。この3人組が新宿駅で出会い、地上を目指して地下東京を旅していくというわけだな。
このゲームは史実の出来事を元にしている。とはいえ……そのままゲームにしても、そんな面白くないだろ? そういうわけで脚色が入っている。いや、実は入っていないという噂もある。本当のところはわからない。僕も、スタッフも。まあ史実のこと知りたいやつはこんなアホゲーとかしてないでさ、図書館で借りてこいよ。いい感じの本。
実在人物の許可? ……たぶんとったんじゃないかな?
東京。それはかつて──少なくとも2017年までは──日本の首都として、政治・経済・メディア活動、その他諸々の中心地だった。人口密度もピカイチ、土地代なんかも高い高い! 世界にも大変名のしれた都市だったわけだ。だがそれも、2018年には全部崩れ去ってしまった。なぜかって?
“東京事変”。あるいは、東京大異災、東京広域現実崩壊性災害、トーキョーディザスター、大災。2017年12月17日、冬も深まりつつあり、クリスマスに向けて親は忙しく子供もワクワクドキドキ忙しい中に、そいつは起こった。
災害だ。文字通りの大災害だ。
その被害者数については未だ議論が絶えないが、少なくとも当時の政府発表によれば、死者350万人以上、行方不明者600万人以上。東京都全域ならびに南関東の周縁地域が被災で壊滅。逃げ込んだ国内難民によって周縁地域は治安が悪化、物資も不足する中、命からがら逃げ延びた残存政府勢力は群馬県前橋市に臨時政府を置くに至った。
それから前橋は日本の新たな首都として、パラテクノロジー、ブラック企業、魔術カルトやアノマラス極右が混在するサイコーサイケ都市となっていくわけだが、それはひとまず置いておこう。気になるやつはCLAGLAのNEO CITY 2040を買ってくれよな。
さて、ドカンと壊滅しちまった東京。みんな死んじまったと思ってた……んだが、実はそうでもなかったんだよな。当時、東京地下はあまり被害が激しくなかった。何故かはよくわかっていないんだが、そうなんだ。噂じゃナマズが喰っちまったとかいう話もあるがね、どれほど信頼していいもんなんだか。
ともかく、災害当時地下にいた人間、幸運にも地下まで逃げ込めた者たちがいた。だがそのまま……閉じ込められちまったんだな。災害は続いたままだし、全然出られやしない。過度に境界線に近づくと“ブチン”だ。それでも、人間は光を求め続けた。
時は2037年。大災から20年目のある日のこと、地底生まれで地上に憧れる少年“タイヨウ”は、偶然にも地上から大穴に落ちてきた自称探京家の少女“ソラ”と出会う。そこに現れた怪しい商人“タキオリ”とともに、3人は地上にたどり着くため、東京駅を目指してトロッコ列車に乗り込んだ……。
メインメンバー
タイヨウ
「僕は太陽を見に行く」
新宿駅中層上部で生活する少年。地上に憧れているが、脱出が如何に実現性のない夢かもよく知っていたため、一歩を踏み出すことができなかった。ある日少女ソラ・商人タキオリと出会ったことで、もしかしたら地上に行けるかもしれないという糸口を掴み、彼は二人と東京駅へ向かう。
“森”での出来事の結果、彼の腕はデンシャと融合し、駅やデンシャの声を聞けるようになった。しかしそれゆえに、六本木教団に目を付けられることになる。
ソラ
「探京家って言うんだ」
探京家に憧れる少女。軟禁状態の実家を嫌がり、倉庫にあった叔父のODSE探索装備を勝手に持ち出し、探索者たちの車に勝手に搭乗。東京地上部まで到達するも、壁から開拓都市へ向かう道のりで時空間嵐に巻き込まれ、最終的にオオウツロへ落下、タイヨウの網に捉えられる。この際、彼女の外骨格の現実制御装置は故障し、そのままでは地上に変えることができなくなった。
割と男勝り。
タキオリ
「やあ少年」
真中で分けたややベタついた髪に、指紋跡がついた丸眼鏡。薄汚いジャケットに、下手な笑み。強烈な怪しさをまとった自称“ギンザの商人”。ソラの噂を聞きつけてやって来た。最初は外骨格を買い取りたいと申し出、それを拒否する少女らに地上に出ることが如何に無謀かを語るが、二人に何か思うところがあったのか、東京駅まで直しに行く旅の同行を許可する。
デンシャの死骸を加工して造った自前の列車に乗っている。実はその正体は商人ではなく、そのフリをして東京駅と仲が芳しくない駅に探りを入れている東京駅エージェント。他方、スパイ活動の他にも、個人的に東京脱出の方法などを調査しているらしい。
青年団メンバー
カスガイ
「もう駄目なんだ。私は何も繋ぎ止められない」
東京駅の技術者・研究員。毎回オリエンテーションで説明役をしている。長めのベタッとした黒髪とゴーグルが特徴的。かつて東京脱出青年団を率いて地下鉄網を介した地上脱出を企てたが、艱難辛苦の先に出た千葉地上部は既に壊滅状態であった。資材も団員の心身の損耗も激しいなか、カスガイはなおも前進することを主張したが、タキオリに諌められ地下への帰投を選ぶ。なお、それ以上先に行っても地上財団が次元封鎖をした後だったので、やはり脱出は不可能であった。
帰還後はやや暗くなり、タキオリとも疎遠になった。現在はある程度回復し、東京駅の主要職員の一人として活躍している。しかし、内心脱出の夢は捨てきれていないらしい。
殿を務め死亡。
シマさん
「……」
東京駅職員。寡黙な人物であり、前髪で隠された片目は常に包帯で覆われている。事変時、片目に超高精細のカメラが融合した結果、右目が常時高倍率になっているため、普段はこちらを隠している。地下では貴重なスナイパーであり、背にライフルを持ち歩いている。
カスガイとタキオリの間を取り持っている。あったかいものとあまいものが好き。殿を務め死亡。
モリタケ
「放っておけ。クソ野郎は文字通りのクソになっちまうのがお似合いだ」
財団が健在だったころ、職業Dクラスとして活動していた人材で、事変時もサイトにいたため助かった。短髪の黒髪で、見た目はほぼ完全な一般人。地上にいた頃、ある女性と同棲していたが、現在その生存は絶望視している。
最近地下で、どこか彼女と面影が似た少女と出会った。
スミオカ
高身長で寡黙な、黒い長髪の男。目が死んでいる。路線上に鋼線を張り巡らせ、デンシャの肉を削ぐのが得意。モリタケやミーシャとともに、東京駅外部の探査を行っている。
ミーシャ
低身長、金髪緑眼の猫耳少年。事変時に飼っていた猫のミーシャと融合してしまい、その状態のまま固定されている。なので実年齢は普通に30代くらい。何事も手帳に記録する習慣があり、彼が残した記録や注意書きが地下東京中に散在している。
ナナシ
目に生気のない男。事変で記憶喪失になったと主張しているが、素性を示すものが何も見つからなかったため暫定的に“ナナシ”と呼ばれている。あまり人と喋らないが、仕事は黙々とこなすので東京駅ではそこそこ活躍している。
実は人間ではない。彼は駅の断片が何故か人間のように振る舞っている存在であり、薄皮の下にはコンクリートと鉄がある。彼の検診を行っているミクニだけがこのことを知っている。ただし、ナナシ本人は人間でありたいと思っている。
イバラ
六本木教団・首領。白い肌、腰まで伸びる白い長髪、美麗な顔と声。変形駅員服を着用し、頭上にはSuicaを切り刻んだ茨の王冠を被っている。元青年団員であり、道中で死亡したと思われていたが、別の駅に行き着いていた。そこで彼はかつて作家志望だった青年と出会い、ともに六本木教団を設立する。以後、教団の勢力を度重なる侵略で拡大し続けた。
大崩落から20年以上経っても若いままだが、これは彼が駅の心臓を取り込み、駅構造保持力の対象となっているためである。デンシャ人間の主人公に対する駅人間。最終的にデンシャに喰われて死亡。
ホギワラ
金髪ホストかなんかじゃないすか
リュウドウ
「俺は探すよ。地上への道を」
コイワ
「東京駅へようこそ!」
その他
タイヨウの父
「……お前は辿り着くんだ。あの日差しの中に」
タイヨウの母
「いいかい、地上なんて行くんじゃないよ。ここでの暮らしには辛いこともあるかもしれないけど、私たちにはお似合いなんだ」
長老
「……」
ボス
「……お前が決めろ。お前の道だろうが」
ハグル
「……それがよぉ。昨日から変なやつが来ててさ」
契約者
「君たちは生贄だ」
新宿駅
東京駅
通称“鉄道狂信”。“鉄道聖書”を教典とする、中〜大規模の宗教・文化集団。“車掌”や“駅員”による独自の階層構造を有し、頂点にはセカンド・ハヤカワことイバラ (イバラ・トキ=meltrose) が座す。前述したように鉄道聖書を中核とするものの、実際にはイバラによる支配のほうが強く、鉄道聖書の教えは便利な引用として利用されることが多々ある。
その信仰はある種のカーゴ・カルトに似る。かつての駅活動を儀式めいて模倣することで、神の使いたるデンシャを招聘する。鉄道聖書では宇宙の創造時、既に人類の誕生より先にデンシャが天の川を駆けていたとされ、デンシャは人よりも神に近い、人と神との媒介者のように扱われている。
“地下鉄の父”こと早川徳次をキリストが如く賛美し、ことあるごとに“おおハヤカワよ!”のように声を上げる。集団のトップであるイバラは彼の再臨であると教えられている。早川は神の命を受け、地下鉄をいずれ人類が逃げ込む方舟として構築した。超常技術の発展で神への信心を失った東京を神が破壊されると、地下へ逃げ込んだ人々が方舟の中に閉じ込められた。
彼らはかつての発展した反神的な
彼らの教えにはまだ未解明な部分も多いが、
- 鉄道教会
- 鉄道聖書
- 駅中輪廻教会
- デンシャ
- ブルーランプ
- トロッコ列車
- 群霊
- 探京家
- 東京障壁
- ギンザ同盟
- オオウツロ
- 銀河鉄道
- ジムシ/IJAMEA
- 大災
- 恋昏崎新聞社
- 東京脱出青年団
- “博物館”
- 地中海
『少年少女地底紀行』へようこそ。これはカノン『1998年』内の、シーズン2017『東京事変』内の、そのまたシリーズ『地下東京』の中に存在するシリーズです。
おっと! でもそんなに怯えないでください。『地下東京』は普段の1998世界から隔絶された空間が舞台ですし、『少年少女地底紀行』は単独でも十分に機能します。
……というよりも、このシリーズは他の地下東京記事からは独立しています。これはDr_Kasugai独自の地下東京解釈に基づいており、carbon13やO-92_Malletといった他のメインライターの解釈からは大きく離れています。例えばこれらの著者とは地下財団の解釈が大きく異なっています。地下財団は狂った集団ではなく、サイト-81GBは存在しません。
このシリーズのポイント:
- ロマン、冒険、胡乱! 陰険な物語もいいですが、このシリーズは1998年の魂へ立ち返ります。児童小説のような空気感で進めていくことが目標です。
- 少年少女! そう、我々は少年少女の物語が大好きです。シリーズ内では主にタイヨウとソラがフィーチャーされますが、時には他の子供が取り上げられることもあるかもしれません。
- 自由への渇望! このシリーズにおいて、地下東京は檻です。抑圧です。夜の世界です。他の1998年カノン作品のように、彼らは地上への脱出を、自由を、太陽を、青空を、朝の世界を渇望し、進んでいきます。
- 青年団! 青年団はこのシリーズにおける重要な存在です。彼らの在り方は多様ですが、物語においては基本的に少年少女のサポーターや後押し、あるいは黒幕として機能することでしょう。
まとめると、このシリーズは夢破れた怪しげな大人たちと少年少女が、驚異と脅威のあふれる地下世界を旅しながら地上を目指して進んでいく話です。