Enginepithecus共著Karathh

「猿児さん、SNSのお友達とやり取りですか?」

「……んお、晴明博士。えぇ、彼とは実に趣味が合いましてねぇ。」

時は午前の11時。昼食にするつもりの弁当を右手の袋に提げて、晴明博士はオフィスルーム左端のドアを潜ってやって来た。購買が混む前にと買ってきたのは、割といつも通りのシャケ弁。

猿児のデスク周りのラックには、相も変わらず特撮怪人等のクリーチャーデザイン画集が詰まっている。晴明博士はそのラックの端から覗いた表紙にチラリと目をやると、そのまま視線を猿児にスライドさせて彼に話しかけたのだった。

「ん……?このスイング、最終回オーロラ必殺verか……?」

対してこのエージェント、猿児秀楠は自前のPCを堂々開き、一般人たるネッ友とのリプライ会話に興じている。今現在の彼の職務は "捜索中のオブジェクトの情報を受け取り次第、いつでも出られるように待機する" 事……。その情報が入る通信機は充電フルで卓上にしっかり置いてあるので、一応職務上最低限は、問題無いと言えば問題は無い。

("臨戦態勢でくつろぎ中" という訳ですね……。)

感心してるのか呆れてるのか、晴明博士が自分でも判別のつかない感想を抱いている中、猿児は自前PCの画面に向かって身を乗り出して貼られた画像を凝視する。

猿舞怪人

……オーロラ必殺ver!?
これは良いものを……。

ヤードライ

(・∀・)b! イエス!
これ、当時ガチャマシン10台くらい巡って回しまくった末にGETしたんだよ!

猿舞怪人

お見事ですな……!こうして実物の写真を見ると、かなり劇中エフェクトカラーの再現度が高いというね。マジョーラ塗装が効いてる。

晴明博士は画面横から覗き込み、猿児のネッ友が挙げている "スイング" ──即ちデフォルメ頭身の特撮ヒーローキャラを象った4cm程のフィギュア型のストラップ──の画像に猿児と同じく驚嘆する。

「……これ、今もう通販サイトとかでも高騰しまくってるやつですよね猿児さん……!?」

「ご存知でしたか。実に羨ましい、良い品ですよ。」

\ピロロン。/
リプライ再び。

ヤードライ

生で見ると更に凄いぞ(・∀・)b

【何らかの展開をここに追記】



「怪人態のデザインに統一感があるのが良いな」

「多分ガルグイユ・ブロンズ倒すのにあれ使うな。」

「やっぱ変身者、青梅か?」

昼下がりの休憩室。エージェント・猿児と晴明博士が、タブレットで何やら見ながら話し込んでいる。内容はまるで分からないけど間違いない、特撮ヒーロー作品について語ってる。

「…………。」

柱の影から、少し離れて二人を観察。私自身は、別段ヒーロー番組に関心は無い。んだけど……

『えーお姉さん知らないのー?』

……同年代や少し上くらいの同僚の中には、ちょくちょく子持ちになる人も出始める。そして仲良い数人が、正に4歳、5歳の男の子を連れている。そして彼らと子供たち込みで会食に行って喰らった言葉がこれである。……私は、子供たちと会話可能な話題を、何一つ持っていなかった。

(あの子たちから、"つまらない人" 判定は喰らいたくない……!)

私、エージェント・牧野春は、今日こそあの2人を捕まえて教示を頼もうと決めている。このサイトに於ける私が知ってる範囲内にて、間違いなくあの2人こそが求める知識にトップクラスで精通してる。

……柱の影で深呼吸。よし。休憩室奥の自販機近く、丸テーブルの座席に並んで座る背中に話を切り出す瞬間を……


……あれ?


今のところ休憩室には、私と彼らの3人だけで。多分私に気づいてないな、って感じの2人ではあるけれど、だからといってこの私、話しかけるのを躊躇するような人見知りでは……



「この撮影場所よく見ますよね。」

「えぇ、ここはサイトからでも、電車で数駅行けば着く場所ですよ。」

「マジですかそれは知らなかった……!」

「運良ければ遠巻きに撮影してるの見えますねぇ。」






(……そもそも話しかけるタイミング、無いじゃん!)

タブレットに齧り付き、2人で私に背を向けて、趣味の会話は途切れるという事が無い。しかも現在進行で再生されてる映像を見ながらなんだから当然……

(……え、何?再生終わるまで待つ?しか???)



そのタイミングで、猿児と晴明博士は動画の、戦闘シーンの視聴を止めた。猿児のポケットの中の端末が、調査中オブジェクトの出現を知らせる着信を受け取ったからだ。同じく私の端末からも、「ビリリリ!ビリリ!」と着信アラームが鳴り響く。

「動向を追っていたHERO構成員と思われる実体が現れた。場所を伝える、大至急現場に向かってくれ。」

「「アイツ、何処に出たんです?!」」

私と猿児がほとんど同時に声を上げ、耳に押し当てた端末からは、今の配属で私達の上司にあたる天倉博士がその出現ポイントを告げる。

これで猿児は漸く少し離れた柱近くに立ってる私に気付いたが、未収容状態のオブジェクトが出たとなっては最早、それどころでは無くなってしまった。







「障壁粉砕救命士ティル・ローズレッド、ですか。」

眼前に濛々と広がる黒煙は、この広いアーケード街の奥端にある四角いビルから吐き出されていた。路の左右に立ち並ぶ、甘味やコンビニ、ジャンクフードや服飾の店から雪崩のように人が此方へと逃げてくる。

「こちらエージェント・猿児。現場に到着、火災の煙で問題のビル周辺は、えぇ。かなり視界が悪くなるかと。」

私は通信機のマイクに向かって報告を入れつつ、同行の女性エージェントである牧野春との連携のためハンドサインを送る。耐火服の装備とカバーストーリーの補助を兼ねて消防士に扮した我々は、現場ビル手前のここで二手に分かれる。牧野はアーケード中央を直進するルートで接近し、その間に土地勘のある私はメインルートを外れビル建物の裏側を固める。双方共に、それぞれ同じく消防隊姿になった機動部隊を伴って。

「……オフ以外でここに来るとはね……。」

全く勘弁して欲しいものだ、と私はメインアーケードとは対象的に狭く入り組んだ横道をリズミカルに疾走する。右へ、左へ、斜め左へ……、7人規模の"消防隊"が建物の隙間を縫っていく。……そもそも私がここに強い土地勘を持つのは、アーケード奥の大規模なエリアに特撮関連、並びにその他サブカル関連の店舗が極めて充実している為だ。故にここ一帯は私にとってオフの象徴たるものであり、そこで暴れる、しかもよりにもよってHERO実体というのは醜悪な冗談以外の何物でも無かった。

(牧野春君の桃髪は、こんな状況に耐火服、でさえなければ此処のサブカル感によく馴染んでたでしょうね……。)

そんなどうでもいい思考を振り払い、アーケード終端とサブカル領域の境目に聳える3階建ての服飾店の前に、否、裏口に立つ。

……既に非財団関係者の消防隊による救助は行われつつも、まだ何人かの生存者を上階に取り残したまま状況は膠着している様だ。彼らとてプロフェッショナル、例のHERO実体さえ出てこなければ既に全員を救助できていただろうに……。


「何……?えー、えぇ。爪を持った不審者が、と。はい。酷く混乱してるようで、はい。」

「兎に角、中にいる生存者の有無は!!?」


現場消防隊員の混乱したやり取りが私達の周囲を飛び交う。左手にチラリと見えた隊員たちは、10歳ほどの少女の手当をしながら安心させようと語りかけ、号泣と混乱に混ざる声の中から証言を汲み取らんと必死だ。


「隊長、現在の状況は?」

対して我々、"偽物"の消防隊の一群。機動部隊の長が私を"隊長"と呼び、カバーストーリー上でその立場にある私はいかにもな姿を演じつつ声を張る。……救護用の物資を抱えて駆けていく本物の若い消防隊員からの、尊敬と羨望めいた眼差しにバツの悪さを感じつつ。

「状況は現在、服飾店1階が炎上中。逃げ遅れた要救助者と"問題"の位置は2階もしくは3階、これは救助済目撃者の証言から明らかだ。」

こういう場合、会話でオブジェクトの注意を引き付ける役割も想定した上でエージェントたる私が形式的には突入隊長のポジションに就く。別に立場的に偉い訳では全く無いが、隊を纏める号令をかけるのは"隊長"の仕事なのでそれを果たさねばならない訳だ。


……さぁ、……突撃だ。


【エージェント・牧野春視点の描写】

・彼女達の一団は表口から、既に気付かれることなく潜入に成功している。そして既に入口付近のフロア内に構える階段を登り、2階の探索をしている。

・2階の、店内奥まったスペースにローズレッドと思しき実体がいるのを遠巻きに視認。ローズレッドは、「【電子音声によって再生される何らかの台詞。"行く手を阻まれた君を今、助けられるのは僕しかいない"、的な内容。】」という音声を発しながら、両腕の鍬状の装備によって閉じた防火戸やその周辺の床に損壊を加えまくって破壊している。これに対して牧野春は、「あいつ滅茶苦茶じゃないか」との感想を口の中で呟く。(本来なら、逃げ遅れた人を救助するのに防火戸を破壊する必要は皆無である。 参考: https://life-info.link/fire-shutter/ )

・直後、物凄い音がして防火戸と周辺の床、壁面等が破壊される。




「……こうなりましたか。」

崩しかけたバランスを、コンクリ壁に右肘を突いて取り直す。1階奥の、狭いスペースを通った先に開けた階段スペースに閉じ込められた形だ。

……一先ず状況を整理しよう。我々は火の手の上がる1階から突撃し、耐火服の耐えうる30秒程度の時間の内に、その炎の中を駆け抜けた。"突入隊長" の私を先頭にして。そこまではいい。

「で、問題なのが……」

コンクリ壁に突いた肘、続けて添えた同じ右手の掌に体重をかけ両足で再び立ち上がる。向き直る背後に火の手は無いが、その代替であるとばかりに崩れ落ちてきた瓦礫の壁だ。……早い話が、後続の機動部隊と完全に分断され出口を塞がれた。

……障壁粉砕救命士ティル・ローズレッド。思考の中でその名を反芻し噛みしめる。上階の床から天井ごと崩れるように落ちた粉砕鉄筋コンクリは、どう考えても至極普通な二次災害の類いではあるまい。

「…………ッ。」

意図的か偶然か。ローズレッド例の問題のブツはこっちに気付いてるのか?……尤も、いずれにしても取るべき対応は変わらないだろう。

「……エージェント・牧野春。聞こえるか?」

断熱ケースから取り出した通信機に口を押し当て小声で、別動隊もう片方に連絡を取る。

「【エージェント・牧野春の台詞】」

「あぁ、えぇ。最悪の場合気付かれた可能性。」

「【エージェント・牧野春の台詞】(勘付いての行動には見えなかった、という言及。)(しかし同時に、勘付かれている可能性への警戒を怠るべきではないだろう、という言及。)(自分達は表口から、気付かれることなく潜入に成功している、という言及。)」

「……分かりました。じゃあこうしましょう。私も単独で、ローズレッドブツに接近をかまします。気付かれてるなら囮として注意を引けるでしょうし、……そうでなければ万々歳なんですがね。」

「……なるほど?……オーケー、上手く行けば合流だ。勘付かれてたらその時は、すまない、全力で奴の注意を私達から逸らして。」


物音を殺して通信機を口から離し、一挙一動に注意を払って階段を登る。踊り場の折り返し部分で身を潜め、密かに上階へと観察の目を向ける。先程の瓦礫崩しから大きく動いていなければ、問題のHERO実体はこのすぐ上にいる。

…………。

·
·
·

「必ずだ、君の命の灯火を!障壁粉砕救命士、このティル・ローズレッドが消させはしない!見よ!両腕のテリジノ・クローを!僕がこの場に駆け付けた時、どんな命も──」


……ビンゴ。照明の落ちた暗がりの中で恐らく濃紅色なのだろう装甲服の実体が、自分で崩した鉄筋コンクリート片の山から "被害者" を引きずり出そうと悪戦苦闘している。その倒れてねじ曲がった身体は階段側に投げ出され、瓦礫の奥で電子音声に合わせて動いているらしきそのローズレッドとは違い、斜め下踊り場スペースの陰から至近距離で見上げる姿勢の私にはその正体がよく分かる。

(……要救助者とマネキンの区別がついてないんじゃ、恐らくあのHEROは既にどこかの機能がイカれてそうだな……。)

しかも両前腕部の鍬が如き巨大な3本爪はどう考えても邪魔になるだろう、要救助者の付近で振り回していい代物じゃない。

(本来あれも、折り畳んで収納する機能とか付いてて然るべきじゃないのか……?廉価版玩具でもあるまいし。)


「君が助けを呼ぶ限り、諦めることは決して無い!例え何が行く手を阻もうと、如何なる障壁が立ちはだかろうと、無敵の両手で打ち砕く!──」




何れにせよ少なくとも、こちらの存在に気付かれている可能性は元の予測より遥かに低そうだ。それならば一度階段の影に降りて……


……と、そう考えて、私は上体を動かし階下へと視線を移そうとする。



ダンッ、ダンッ、ダンダンダンダン……

私から見て反対側、ローズレッドを挟んだ向こう側からの轟音に反射的に振り向いた先にあったのは、バランスを崩しこちら側へと瓦礫もろとも転倒してくるHERO実体の姿だった。

突然の、建物全体に響き渡るが如き轟音は、HERO実体とは別の大柄な影が猛スピードで突進してくる音だった。




【エージェント・牧野春視点の描写。二足歩行のサイ型アノマリーがローズレッドに突撃する。】

・そのアノマリーは両肩に追加の角を備えた二足歩行のサイ、といった姿で、ローズレッドに突進していく。

・サイ怪人はローズレッドによる返り討ちにあい、肩の角を一本折られつつも、これによってできた隙を突いて、まずエージェント達と機動部隊はより危険度の高いローズレッドを確保する。(サイ怪人より強いのは見れば分かったため)

・上記の際にエージェント・牧野春とエージェント・猿児は(さっきのマネキンとは別に)本物の要救助者が同階に(物陰に隠れるように倒れていたために見つかりにくい形で)存在していた事に気付き、並行してこの要救助者も救助する。(要救助者は単独ではなく、幼い子供、もしくは弟or妹を連れていると "大勢の要救助者が元々存在したのだな" と印象付けられて良いかもしれない。後で要救助者に紛れてヤードライが出てくる関係上。)

・・・・・


・その後、Fと猿児を含むエージェント達は多数の要救助者の救護にあたる。その中で、猿児はSを救出し、その鞄のスイングから彼だと気付く。(この時、読者の気を散らしてS=サイ怪人と気付かせないため、他の要救助者の外観や言動もSと同レベルで詳細に描く)

・あれから暫く経ち、Fは苛立っていた。あの後機動部隊は「サイの様なアノマリー」を取り逃がして足取りすら掴めなかったとの事で、彼女はそのサイアノマリーを捜索するエージェント達のリーダーポジションに、「現場で一度本物を目撃している」との理由から選抜されてしまっていた。しかし捜索は実を結ばず、折られた後回収されていたサイアノマリーの肩の角の匂いを嗅がせての警察犬を使った捜索(匂いの残留時間限界から、これはサイアノマリーを見失ってから5時間以内に行われる必要がある。また、有識者からツッコまれない様、"踏み荒らされた現場の状況から足跡臭を追えず、浮遊臭のみが頼りだった" 事をそれとなく示す必要あり)や【周囲の監視カメラからの記録の回収や奇跡論周波の検知】を行うもどれも不発であった。(警察犬の場合、途中までは足取りを辿れるものの特定のポイントで立ち往生してしまう)(この為エージェント・Fは、サイアノマリーには転移能力があり、それ故に現場から痕跡を残さずに消えたのではないか、との仮説を立てている。)

・また彼女は、「こんな状況なのに休暇を取りまくり、 "要救助者の中にいたネット友達" の家に入り浸っているエージェント・猿児」にも苛立っていた。

・【晴明博士が「こういう状況だからこそ休憩を取って備えるべき」と諌めるも、Fが「何を言ってるんだか」とはねのけ、自身の業務に戻るよう言う。】

・猿児はSの自宅で、Sと共に怪人のクリーチャーデザイン原画を纏めた画集を眺め話に花を咲かせている。

・Sとの話は、尽くマニアックであったが尽く噛み合った。(ここ、読者を置いてけぼりにしないように上手い描写をせねばならない。1度私がベースを書いてみたものを、カラスウタさんの視点から見て一般的に分かりにくい表現を指摘して適宜修正版に更新していく形で書きたい)

・猿児は「彼とはもっと趣味人同士、交友を深めたいもんだ。仕事なんざ忘れて。」と心底思い、また追加で休暇を取るための連絡を上司に入れる。(←ここ、結末を知ってるか否かで文の意味が変わって見えるミスリード描写)

・早朝、Fはチームの他のエージェント達を集めて対策を話し合っていた。すると、そこに一本の連絡が入る。「サイアノマリーの目撃情報アリ」。地下鉄構内の、特定のポイントにて目撃され、目撃直後に構内の階段下へと移動。目撃者はその場に立ち止まった為そこで見失ったという。

・チームは現場へと急行する。Fはいい加減頭にきて猿児にも連絡を入れるが、彼はSとの待ち合わせがあると言って電話を切ってしまう。

・猿児は、駅前の待ち合わせ場所でSと合流する。

S「先行ってても良かったのに」

猿児「私の目的の画集の方は、在庫に余裕があるからね。何なら通販もあるし。」

S「俺に合わせてくれてたのか?」

猿児「なくなる前に行くぞ!」

・二人は駅前の家電量販店の6階玩具売り場へと行き、Sの目的だった「ブロンズチェンジチップ」を手に入れる。(関連商品6000円以上で限定配布、無くなり次第終了の品)

S「ふぅ~。限定配布とはいえ怪人側のアイテムも出してくれるのは良い時代になったな。」

猿児「やはり、怪人あってこそのヒーローですからね。影の立役者は彼らですよ。」

・二人はその後書籍売り場で猿児の目的の画集を入手し、更に会話を続ける。

・二人は、途中で近くの飲食店に入る

・猿児は「幼少期、ヒーローと同じ規格でアクションフィギュアが発売されないのがとても不満だった」という話をし、Sはそれに対し「自分も怪人キャラへの思い入れが強かった。造形的な部分にも惹かれたし、もしかしたら、自分はどう考えてもヒーローの器じゃないから怪人に自己投影してたのかも。」と応じる。

・その後の続いた会話の流れで猿児が「一回実際のスーツとか着てみたいけど、撮影に使われる本物はメチャクチャ重いって言うし、それに機会も無いわなぁ。(←補足: 人事ファイルの設定で、猿児はコスプレとしての怪人スーツを着た経験自体はある)」と話を振ると、Sは意味ありげに「【後で内緒で良いもの見せてやる】」、と言う。

・ドリンクをズズーー、とストロー咥えて一気に飲んでいた猿児は、Sのその発言に対して「悪い、お手洗い何処だっけ?」という発言で返す。そこにあった、と教えてくれたSを席に残し、猿児はお手洗いへと向かう。

・電話。

猿児「……恐らく私は今、貴女がお探しのブツと一緒にいます。」

・Fは「は?どう言う事だ説明を……」、と言うが、猿児は「じゃ、彼を待たせてるのでまた。」と言って電話を切ってしまう。

・Fは先の駅への展開の後、尚も周囲の張り込みを続ける最中で【晴明博士が突然合流してきた。Fが問い詰めると、上部にわざわざ申請して本来の業務から外れてやってきたとのこと。】

・晴明博士はFに、猿児からの依頼だと前置きした上で人間態の概念を説明。

F「何を馬鹿な事を。証拠も無いただの思いつきの推察で……というか、それなら何故私に報告をしなかったんで……」

晴明博士「証拠も無いただの思いつきだからですよ。」

・続けて晴明博士は「でも、きっと何かを掴んだんでしょうね。」と言い、Fはもし人間態の仮説が正しければ、これまでの不可解な消失に全て説明が付く、と思い返す。

・【晴明博士が持っていた、何らかの装置がブザー音をビービー鳴らしながら光っていた。晴明博士は「猿児が見つけたようです」と言い、Fは困惑するも、場所をGPSから場所を特定する。】

【・少し遡って、Sが離れの小屋に猿児を誘い、そこにある様々なスーツを見せる。猿児はその光景に感動を覚えるも、直ぐ様我に返る。

・幾つかのスーツを説明した後、Sは猿児に所属団体「Scalpel」を大まかに紹介し、仲間にならないかと誘い込む。

・猿児は信号を送るボタンをこっそり押しながら、「申し訳ないがその誘いは断る」と話し、自分の本当の目的を暗喩する形で言う。(「自分は怪人達が使うような力を封じ込める任務がある」etc.)】

(ここでScalpelについての説明を入れる)

・猿児に裏切られていたと知った(気付いてしまった)Sは、動揺しながら何度も猿児に「本当なのか」、「質の悪い冗談だろ?」、「おい、本当なのかよ!」と次第に怒気を帯びながら何度も問い正す

・猿児は、この時彼に返すための言葉が見つからず、土下座でもしようかと思った。が、その無意味さは彼自身も認識する所であり、結局棒立ちで俯いたままでいた

・Sは猿児に「テメェクズだ!完っ全なクズ野郎だよ!」と吐き捨て、猿児は「あぁ。……言えてるな。私はたった一人の大切な友人と大勢の大切な同僚達を天秤にかけて。」「一人しかいないお前を切り捨てた。クズ野郎だな。本当に。」と返す。

・Sの表皮がゲル化し、着衣の外側へと滲み出し、肥大化変形する全身の骨格に合わせて再硬化され……Sはサイ怪人へと変貌する。

・Sは猿児に突進を繰り出し、猿児はそれを避ける。その避けた猿児の顔のすぐ隣の壁にサイ怪人のパンチが炸裂し、凹んで人間の5倍はある太さの三本指の手形が付く。

・暫く、猿児とサイ怪人の描写が続く

・猿児はローズレッドに立ち向かったサイ怪人を思い返し、「コイツは人を傷つけようとする奴じゃなかった。」「……私は、それだけの事をやった訳だ。」と思考する。

【・Fや機動部隊は車に乗って小屋に急いでおり、晴明博士もFの隣に座っていた。

・Fが晴明博士に猿児の行動の説明を求め、晴明博士が釈明し始める。

・「サイ怪人は普段は普通の人間として生活していることを猿児は見抜いていた」「故に親しくなることで油断させて、情報を引き出すなり捕まえやすくするなりしようと考えた」と語った。

・「何故その事を黙っていたのかのか」と問い詰めると、「この作戦は失敗すればセキュリティ違反や情報漏洩に繋がるリスクが高い上、この話に馴染みがないFの許可が降りにくいと考えた。(ただし、上に報告済)」「ただ、猿児には個人的に思うところがあったのが一番大きいかもしれない。」と答えた。

・目的地に近づくと、大きい打撃音が複数聞こえた。】

・猿児は銃を取り出すが、サイ怪人の突進を避けた際に取り落としてしまう。直後猿児は振り返ったサイ怪人の腕が体に当たり(突進された訳ではない)、向かいの壁まで吹っ飛ばされる。

・銃は、サイ怪人の足元に落ちた。彼は、「やっぱそうだ。気付いたよ。なんで俺が怪人になりたかったか。【お前みたいな裏切り者がいるから俺達弱者は泣き寝入りしなきゃならねぇんだ!分かるか!?だからよ、やられても大人しく黙ってなくて良いように、俺達自身が自分を護る守護者にならなきゃならねぇんだよ】……!」と言う。

猿児「……誰かに裏切られる度に、そいつを殺すか?」

サイ怪人「あぁそうだよ。怪人ならそうする筈だ。」

・猿児は、「最悪だな……。」と呟く。これには、状況の他に、自身の行動が最悪だ、という意味も含まれ、更にその最悪な行動というのは銃を落とすヘマと、友を裏切った行為の両方を指す。「その最悪もこれで終わりか……。」

・「あぁ。終わりだよ。」サイ怪人は、その銃を足で踏み潰す。そして、突進。

・猿児は寸前でかわし、サイ怪人は正面から壁に突っ込み、その後上から崩れ落ちた大量の瓦礫によって動けなくなる。

・エージェント達と機動部隊が到着

猿児「……結局、最悪を終われなかったじゃねぇか」

猿児「あの時人間に戻って銃を使えば勝ててたぞ。」

猿児「でも分かるぜ。サイ怪人ならあぁするよな。」

猿児「……役に飲まれちゃお終いなんだよ。」

……。

…………。

…………そうさせたのは、私だ。

【・数日経ち、猿児と晴明は休憩室で特撮を見終えた所だった。

・「あともう少ししたらサイト-8171に移動してサイ怪人にカウンセリングするわ」「アイツ調子大丈夫かな」「収容してから間もないし、まだだいぶ荒れてる。ちょくちょくお前への恨み言言ってて気が滅入りかけた」「お前にもアイツにもすまないことしたな」「お互い仕事だから仕方がない。アイツは……考えが合わなかったのが不幸だった。ここで働いてなかったら、あんたとあのサイ、良い友達になれただろうに」

・Fが休憩室に入り、猿児を呼ぶ。この1件により、猿児は今回新たに確認された要注意団体の調査における重役に就くことになっていた。猿児は晴明に別れを告げると共にサイ怪人をよろしくと頼む。彼の耳から特撮のエンディングのテーマ曲が離れなかった。】

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