1998年とは、何か?
『1998年』カノンは、その名の通り1998年に発生したヴェール崩壊をきっかけに、次第に変貌していく世界を描く作品群です。ジャンルとしては、一種の歴史改変SFに当たるでしょう。
「ヴェール」とは、財団や世界オカルト連合、複数の国家の間で意思決定されてきた、異常な事物を一般社会から隠蔽するという政策・方針のことです。財団や連合が、SCPオブジェクトに関わった一般人に対して記憶処理を行なったり、現実改変者を殺害してきたのは、この基本方針の下に平穏な人類社会を存続させるためでした。
しかしながらこのカノンにおいては、1998年にポーランドで発生した大事件のせいで、ヴェールは失われてしまいました。財団や異常の存在は知れ渡り、これまでの日常・非日常はともに新たな局面へ移り変わりつつあります。
この変化の良かった面としては、異常事象を基にした技術の台頭による科学技術の急速な発展や、これまで異常存在として抑圧されてきた人々・種族の社会進出がありました。
一方で、我々の日常に害を及ぼしてきた様々な物事もまた、異常な側面を持つようになりました。邪悪な神の降臨や、大都市を標的にした超常テロなどの大きな災厄がセンセーショナルにテレビに躍り出る傍ら、市中では異常疾患や、これまでの基準では「異常」であった人々の迫害・対立などが社会問題になっています。
未知の災厄と隣り合わせに、未だかつてない速さで変遷していく世界。そんな中でも、人類はまだ見ぬ未来へ進んでいこうとしています。
カノンの共通項
『1998年』はある世界を様々な時代、舞台、立場から描いていく、巨大かつ多面的なカノンですが、所属作品にはいくつかの共通項が存在しています。あなたが著者である場合、これらの共通項を守って執筆する必要性はありませんが、把握しておいて損は無いでしょう。
Ⅰ. ヴェールは失われた。しかし、財団は……
異常の存在を隠し通す方針、通称“ヴェール・ポリシー”。1998年にそれが消え去った結果、世界は大きく様変わりしました。かつて“異常”として排斥されていた物品、生物、人物、種族、技術といった諸々は、次第に我々の社会にやって来ています。
もちろん、全てが一挙に開放されたわけではありません。危険なアノマリーについては、変わらず財団やGOCといった、かつての“正常性維持機関”が対処を続けています。彼らの在り方は闇の中の秘密組織から、公然の対超常機関・人類守護組織へと変わり、前時代の非人道的なやり方は徐々に見直されつつあります。
両者は超常の警察・監督として振る舞い、各国政府機関と共同で、様々な超常関連問題の解決に当たっています。とはいえ、時を下るに連れて、彼ら“正常性維持機関”の在り方は更に見直されていくかもしれません。
Ⅱ. テクノロジー・ビッグバン!
通常科学の延長線上にある、超常や魔法を組み込んだ技術──“パラテクノロジー”。通称パラテックとも呼ばれるそれは、ヴェール崩壊からほどなくして全世界に広まりました。特に大きなきっかけとなったのが、プロメテウス・グループの存在です。
プロメテウスは冷戦時代に一大勢力として栄えていた世界最大のパラテック・メーカーでしたが、1991年のソ連崩壊と冷戦終結により、経営に支障をきたしました。1998年には分解が目前に迫っていましたが、そんな状況で発生したのがヴェール崩壊でした。財団・GOCは、このタイミングでプロメテウスが空中分解し、未管理のパラテクノロジーが全世界的にバラ撒かれるのは問題だと考え、プロメテウスに出資して延命させることにしたのです。
結果、ヴェール崩壊後間もなくして訪れた第二次パラテックバブルにより、プロメテウスの業績は大きく回復。そしてこれをきっかけに、次第に各国の超常技術産業も拡大していきました。これまで隠されていた技術が明らかになったことで人類知は急拡大を迎え、社会には次第にパラテクノロジーをベースにしたモノが増加しつつあります。
Ⅲ. 異なるものが出会うとき……
ヴェールとは即ち、異常と正常、過去と現実、魔法と科学、神話と政治、亜人と人類……そういった異なる二者を切り分ける存在でした。しかし、ポスト・ヴェールのこの時代、それらは共に入り交じります。異なるものが出会うとき、当然、そこには諍いが生じるでしょう。しかし、時の流れとともに緩やかに、それらは奇妙な融合を遂げていくのです。
ヴェール崩壊の後、社会にはこれまで“人ならざるもの”だとされてきた者たちが現れました。異能力者、超常疾患患者、悪魔、獣人、妖怪、亜種族、知性化存在……。社会がまだ彼らに対応できていなかった頃は、彼らが社会的に不遇を受けたり、市民から差別の眼差しを受けることも往々に見られました。特に、2010~2020年代はヘイト犯罪などもしばしば見られ、ある種の暗黒時代であったと言えます。彼らの長年に渡る権利運動により、そうした問題は2040年代頃から次第に希薄化を見せつつありますが、それでもまだ完全な解消には至っていません。
未来へ進んでいくうちに、「人類」の概念はこれらの存在を内包するかたちに変遷しつつあります。また、2050~2060年代ともなれば、異常性という単語も段々と使われなくなってきました。代わりに台頭してきているのは、「要素」の概念です。これは各人の持つあらゆる性質を、その人物を構成する要素と位置づけ、種族や異常の範疇を超えて、より多様な性質を表せるようにしたものです。近未来の社会は、高度技術に支えられて、次第にこうした多要素社会の実現に漸近しています。
Ⅳ. 騒乱に溢れた世界
ヴェール崩壊後、異常存在の発見件数は年々増加の一途にあります。単に誰もが異常を知るようになって見つけやすくなったせいなのか、あるいは他の何かが異常を呼び起こしているのか……その理由は判然としていません。そしてただ増殖するだけでなく、異常はより巨大かつ激しいものになりつつもありました。
ヴェール崩壊と共に、これまで要注意団体に指定されていた組織たちは公然と活動を始めました。巨大企業として発展するもの、過激な宗教結社としてテレビを騒がせるもの……彼らの辿る道は様々です。加えて、世界各地に広まった超常の存在は、これまでごく普通の犯罪組織であった者たちにも渡りました。今や国際犯罪シンジケート、邪神崇拝教団、過激派政治結社、悪徳企業といった面々が、その異常活動のため財団にマークされています。
故に、この世界は事件・災害に事欠きません。国家、都市……それに世界が存亡の危機に瀕することは、それほど珍しいことではないのです。嗚呼、無辜の市民に成すすべはないのでしょうか?
Ⅴ. 人類はどこまでも進んでいく。
……否。この世界の人類は滅びません。彼らの技術、団結、勇気によって、世界の終焉は最終的に回避可能です。たとえ巨大な災厄に見舞われても、彼らは何らかのかたちで着実にその生を繋げていくでしょう。
人類の歩みが止まる日は訪れません。あらゆる苦難を乗り越えて、彼らは前に進み続けるのです。
#1998年
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