「ごぼごぼ」
俺はその奇妙な音と共に想像もしなかったような生物を見た。
「なんだこのスライムは…」そう思いながら部屋に入った。
俺は博士からSCP-999の世話を任された時俺は人生はほぼ終わったも同然だと思っていた。
なにしろ最近は顔を見たやつを殺しに行くバケモンや絶対に死なないチートみたいなトカゲとかのレポートを書いていた。
俺はそいつらと対面しないだけまだマシだと思っていたが、今日ーーついにそいつらのようなバケモノと対面することが決まったのだ。
…と思っていたのだが…
「なんだコイツは」
思わず声が出た。
オレンジ色のスライムのような生き物が急に飛びかかってきた。
そいつは俺の首から下をすっぽりと覆った。
「やっ、やめろ」と言おうとしたが、すっぽり包まれて声が出ない。
途端に俺は耐えられず笑ってしまった。どうやらくすぐられているらしい。心地良い匂いもしてきた。すごくリラックスできる。触るだけで幸福感が俺の中で広がった。
こいつにもうやめてくれと言った後、博士からもらった、もらった時はもう俺は死ぬかと思ってたから見なかった、書類に目を通した。
ああ、なんだ、こいつは全然安全じゃないか。俺は風船から空気が抜けるように気が抜けた。
その日、俺は一日中ソイツと遊んで過ごした。一緒にボールで遊んだり、ただくすぐられたりもした。
最後別れを告げ、俺は収容室を出た。
・・・
あくる日、アイツはいなくなっていた。理由は分からないが突如逃げていってしまったらしい。
数年後…
アイツは戻ってきた。俺はアイツに真っ先に会いたくて、収容室に急いで入った。
そうするとアイツはどこにもいない。代わりにデカいムッキムキのおっさんしかいない。ソイツは興奮した様子で俺につっこんできた。
「なんだ、お前、スライムをどうしっ、う、うわー!」
・・・
「今何か聞こえませんでしたか、博士?」
「いや、なにも」
「そうですか…」