エクソダスプラン 2036年度第2次進捗報告
概 略
エクソダスプランは、財団および国際連合とその加盟国の緊密な協力の下で2021年より開始された、人類種の地球生物圏からの離脱を目的とした計画である。これは上記の関係諸機関が、以下の共通認識に至ったことで実現された。すなわち、我々が文明を維持していくにあたりED-Kレテ・イベントの影響は著しく、同時にその原因は地球そのものに存在し物理的に除くことができる類のものではないという現状、その解決にはムーンショット的解決策の実現が肝要である。
本計画は、人類の大多数を宇宙空間へと送る技術と運用方法の確立を目的とする『プロジェクト・エヴァキュエーション』と、宇宙空間における人類の生活圏確保を目的とする『プロジェクト・クレードル』の2つから成る。本計画はCoCoHaCがその遂行に中心的な役割を担い、2040年代に人類生活の拠点と文明基盤を地球外に移転することを最終的な目標とする。
状況概要
プロジェクト・エヴァキュエーションは計画全体の85%が完了している。軌道エレベーターは技術の確立後、現在までにモルディブのインド洋東方沖300km地点・キリバスの太平洋東方沖700km地点・オーストラリアのパース沖800km地点の3か所に建造された。これは現時点での人員と物資の搬送には支障のない規模だが、本格的な移住にあたっては物資のピストン輸送が不可欠となることから、太平洋上に1基を増設したうえで現在の3基は複線化される。計画の完了は2039年度中を予定している。
プロジェクト・クレードルはその計画進捗の70%が完了している。地球環境の再現や家畜生物と植物系の移転による食糧確保等の基礎技術の確立ならびにその応用研究が完了し、太陽系の惑星間空間に遊動型コロニー『バイオスフィアⅢ』群が建造され運用が開始された。関係者による大規模移住試験として、プロジェクト・クレードルのスタッフと財団関係者、およびコロニー運用のスタッフが2034年より順次移住している。現在、エクソダスプラン関係者の95%、財団職員の60%の移住が完了しており、本計画および財団の本部機能は地球からコロニーへ移転された。本試験終了後、一般人を対象とした大規模居住試験が2年間実施される予定であり、本計画の完了は2041年度を予定している。
上記からエクソダスプラン全体として、最終目標である地球外への文明基盤の移転は2040年代中頃と見込まれる。