note:doa-and-kaktusverse-archived

*扉が開く音*

はじめに

怪奇部門 (Department of Abnormalities、通称DoA) とは、2018年にdjkaktus氏とCroquembouche氏が連名で投稿した作品、「SCP-3790 - 怪奇部門」で初登場した存在だ。SCP-3790はロンドンの廃倉庫地下に存在する、放棄された財団施設っぽい何かである。その入口の扉には「SCP財団 怪奇部門」と書かれているのだが──ここで一つ問題がある。怪奇部門などという部門が財団に存在した記録はないか、あるいは表面上そういうことになっているのだ。

施設は計7つの階層を有しており、各階層には様々な怪異が収容されている。それらはどことなく他の異常存在や都市伝説、神話などを思い起こさせるものだが、第七階層にはアクセス不能になっており、最深部に何が潜んでいるのかは誰もわからない。更に、報告書の大部分はO5機密になっており、読者は否応なしに、この奇妙な施設と部門について思考の渦に叩き落されるのである。

短くまとまっていながらも、ミステリアスな雰囲気が人を引き付け、SCP-3790は高い評価を得ている。当時のディスカッション欄やTwitterでは様々な考察が飛び交い、また、その空気感に魅せられた人々が次々と自身流の怪奇部門作品を投稿していった。こうして現在では、怪奇部門にはそれは多くの関連記事と解釈が存在している。

それはそうと、SCP-3790と怪奇部門は、その後のカクタス作品にもたびたび言及されている。怪奇部門やその関連人物の登場。あるいは、怪奇部門が収容する物品との関連──。

一部のカクタス作品が共有している世界観、俗にいう「カクタスバース」を読解していくうえで、怪奇部門は重要なピースの一つである (「プロジェクト・パラゴン」シリーズはカクタスバースの一部である)。そこで今回は、怪奇部門とカクタスバースの関係性について考えていく。なお、カクタス以外の怪奇部門解釈については、ここではあまり取り上げない。

関連作品

本ノートを執筆するにあたり、以下を参考にした。

SCP-3790 - SCP財団 (wikidot.com)「怪奇部門」 (Department of Abnormalities)。概要は上に述べた通り。当然ながら、カクタス怪奇部門における最重要作品である。

To Never Again See The Light Of Day - SCP Foundation (wikidot.com)現在未翻訳。カクタス本人が執筆した、在りし日の怪奇部門に関するTale。もっとも、話の大部分はワンダーテインメントとマーシャルの話に割かれているが。終盤で怪奇部門とアダム・ブライトが登場する。

SCP-4760 - SCP Foundation (wikidot.com)「An Eye for an Eye」。現在未翻訳。怪奇部門そのものとは関係ないが、途中の世間話のシーンにおいて、怪奇部門とアダム・ブライトについてのちょっとした言及がある。この内容は「To Never Again See The Light Of Day」と関連する。

DJ・カクタスの提言III - SCP財団 (wikidot.com)「終焉の在り方」 (The Way It Ends)。アダム・ブライトについて断片的な情報があるほか、部分的に怪奇部門を想起させる施設が登場するシーンがある。

SCP-4812 - SCP財団 (wikidot.com)「憤怒」 (Wrath)。怪奇部門そのものとは関係がないが、その収容物品の中にこれと関連しそうな物品が存在するほか、何度か文中で言及するのでここに載せておく。

SCP-4840 - SCP財団 (wikidot.com)「魔性のランスロットと空中都市アウダパウパドポリス」 (The Demon Lancelot and the Flying City of Audapaupadopolis)。怪奇部門そのものとは関係がないが、その収容物品の中にこれと関連する物品が存在する。なお、文中に怪奇部門を想起させるシーンがあるが、この点は後述。

SCP-6666 - SCP財団 (wikidot.com)「魔性のヘクトールと恐怖のティターニア」 (The Demon Hector and the Dread Titania)。怪奇部門そのものとは関係がないが、最後の補遺で怪奇部門第七階層について一文だけ触れている。

プロジェクト・パラゴン - SCP財団 (wikidot.com)年表でSCP-3790の第七階層について一文だけ触れている。また、第七階層について極めて重要な部分があるが、後述。

SCP-5935 - SCP Foundation (wikidot.com)「Blood and the Breaking of My Heart」。現在未翻訳。怪奇部門そのものとは関係がないが、会話中に第七階層にあるものの核心について触れている部分がある。詳しくは後述。

SCP-4008 - SCP財団 (wikidot.com)「苦蓬」 (Wormwood)。カクタスの作品ではないが、SCP-3790とうっすら関連しており、また後にカクタス自身がその設定を取り込んでいる。

および、本ノート執筆時点で閲覧可能だった下書き2本: 「These Wretched Strings」「The Abnormality」、サイト上でのディスカッションポスト、TwitterやDiscord上での発言についても参考にしている。

なお、SCP-3963については一般に怪奇部門関連作品とみなされる場合が多いが、本作品の投稿時期はSCP-3790の投稿よりも早く、同作品が怪奇部門と関連付けられるようになったのは別著者の作品 (SCP-3220 by A Random Day) が原因であるので、今回は考察材料に用いない。

アポリオンの冠

「アポリオンの冠」 (Apollyon's Crown) は、SCP-3790の第6層・部屋4に収容されている物品だ。

プラカードの名称: アポリオンの冠 (Apollyon's Crown)説明: 銀色の鍵付き箱が部屋の中央のテーブルに置かれています。留意点として、ドアの外装は何かが入室を試みたかのように引っ掻き傷で覆われています。

SCP-3790

そしてこの物品の正体については、既に答えが明らかになっている。「原初の人間」アダム・エル・アセムが他世界より取り寄せた鉄冠だ。人類に悪徳と争乱を齎した、この世界における原罪の象徴にして、プロジェクト・パラゴンシリーズにおける全ての元凶である。

それは冠だった。彼はその冠を別の世界から、別の存在から取り、我こそは 全ての然るべきものの王 (King of All That IS) であると宣言した。ISが最初に見出されたこの場所で、彼は権力の座を築いた。彼はまだ優しく美しかったが、さらに多くを渇望した。彼はこの欲求に魅入られ始めた — 自分が懇願と呼び掛けへの答えを求める大いなる宇宙以外の何事も考えられなくなった。

SCP-4840

少年だった頃、まだ若い宇宙の夜空を見つめていた俺は、父に俺一人だけの星を求めた。父は手を伸ばして俺のために鉄の冠を引っ張り出し、そしてその冠こそが人の心に根強く残る穢れを播いたのだ。それは俺の父を狂気に、俺の兄たちを虐殺に追いやり、俺たちの王国を滅亡に導いた。あの冠が無ければサルースVIII世は海を渡らなかったかもしれない。冠さえなければ、ハリアンの系譜は海の向こうからやって来た夜闇の子らを撃退できたかもしれない。あの冠ほど憎むべき物、忌まわしい物など在りはしない。あれは悪の根源にある種であり — (沈黙) — 俺への贈り物だった。

SCP-4840

冠を求めてアウダパウパドポリスでは内乱が起き、最終的にセスによって冠は盗み出された。そして長い時が経った後、セスはハリアンという人間に出会った。彼は鉄冠でハリアンを戴冠させ、ハリアンをアポリオン──闇の王──と呼んだ。ハリアンがオールドエウロプを統治し、息子に冠を継ぐ様子を見とどけたセスは、その後しばらくの眠りについた。

だがセスが再び目を覚ますころには、鉄冠を代々受け継ぐアポリオン王家 (空の王者) は、大陸各地で侵略と略奪を繰り返す存在となっていた。

空の王者 (The Sky Kings)セスは自らの歴史を語る中で、強大な力を帯びたアーティファクトである父アセムの鉄冠を盗み、後年それをオールド・エウロプに住む“年長者ハリアン”という名の部族民に譲渡したと述べています。この際、セスは人類に自衛の道具を与え、かつての高みに戻すことを意図して、 “アポリオン” (Apollyon) すなわち“暗黒を統べる王”という名をハリアンに与えました。しかしながら、アポリオン王家の詳細な歴史は残っていないものの、あらゆる記録から“空の王者”──その全員が “フォン・アポリオン” (von Apollyon) という姓を名乗っています──が残忍な君主制の一族であり、多大な奇跡論的権威を行使してダエーワ、南方の“長き民”、その他のHomo antediluvianus部族を服従させていたことが知られています。

プロジェクト・パラゴン

最終的にアポリオン王家は妖精姫の呪いで生まれた/呼び出された「冒涜の闇」 (SCP-4812-S) により滅ぼされ、セス曰くこの際に王冠も失われたということだった。

冠は、冒涜の闇がサルースIX世をその顎に捕えた時、丸呑みされて失われた。アポリオン王家は一夜で滅亡し、オールド・エウロプの最後の王国は散逸し、夜闇の子たちが恐るべき長船で海を渡り、人の世界から可能な限りの物を奪い取って、世界の隅にある彼らの暗い広間へと持ち帰った。 (沈黙) 時は流れ、そして俺たちがここに居るという訳だ。

SCP-4840

もちろん、セスの話には誤謬が相応に含まれている──パラゴン周辺では「信頼の無い語り手」の手法が頻繁に使われるうえに、カクタス自身も後から設定を変えてしまうことがある──ので一概にその通りだとは言えない。だが何にせよ、行方知れずになったはずの鉄冠は、最終的に怪奇部門の手によって回収され、封じ込められたようである。

もちろん、確認できるのは箱だけであるので、中身がちゃんと入っているのか、本物なのかは判然としないのだが。

ドアにある外傷を付けそうな存在としては、アダム・エル・アセムや夜闇の子らが挙げられるだろうか。その身体的特徴を踏まえるに、夜闇の子が最もありえそうな解かもしれない。

鉄冠を手に収め、人類初めの罪を犯したアセムに対し、妖精たちはビッグフットを生み出してアウダパウパドポリスを襲撃させた。そして後に、夜闇の子らは冠を継承したアポリオン王家とも敵対している (余談だが、こうして王家は人類の原罪も継承していたわけだ)。鉄冠を求めてもまあ、そこまでおかしくはなさそうである。

あるいは、傷を付けたのは後述する「夜闇の最後の王」の方かもしれない。

*余談*

ちなみに、カクタス曰く冠こそが原初のアノマリーであるらしい。

それは実際「原初のアノマリー」でしたこの世界に行きついた、この世界ならざるところより来たものThat was actually the "first anomaly"Something that ended up in this world, that isn't from this world

/r/SCPDeclassified (同名のRedditコミュニティ用のDiscordサーバ)

実際、カクタス作品において、異常存在が異世界に由来するという話はよく出てくる要素の一つである。設定に違いはあると思うが、DJ・カクタスの提言Ⅱにも似たような話が出てきていた。だとすれば、ISやIS NOT、妖精などは本来世界にとって「正常な」側の存在であるのかもしれない。

*余談終わり*

第七階層に在るもの

SCP-3790の第七階層。それはアクセス不能な、得体のしれない領域。だが、カクタスの作品に出てきた情報をつなぎ合わせていくと、そこに何があるかを推測することができる。

だがまずここで、第七階層に何があるのかについて、よく言われる説を挙げていこう。

よく言われるのは、「7」という数字に着目して、SCP-2747や緋色の王といった存在に関連しているのではないかとする説だ。緋色の王は7という数字に密接に結びつけられる神で、カクタスバースにおいてもわずかに登場する。SCP-2747は特定の要素を満たしていくことで、物語が結末から消失していく危険なメタ現象であり、その要素の一つに「7」の数字が関わっている。実際、SCP周りで7という数字が強調される場合、これらの存在と関連する場合が多い。だが、(結論ありきの話になってしまうが) おそらく、第七階層とそれらに関係はないだろう。

アダム・エル・アセムではないか?という説もある。しかし、彼はSCP-2932に最近まで収監されていたようであるし (実際は封じられていなかった可能性もあるが)、何より、この説は既にカクタス本人が否定しているのだ。

(第七階層にはアセムまたは彼の死体があるのか、という問いかけに対して)決してアダム・エル・アセムではありません彼は別の場所にいますit's definitely not adam el asemhe is elsewhere

/r/SCPDeclassified (同名のRedditコミュニティ用のDiscordサーバ)

では、「管理者」/SCP-001か? これもまた違いそうである。彼はどうやら、SCP-4840内に所在するようなのだ。夜の寺院内にあるものについて、以下の部分に注目する。

・夜の寺院の調査中、ある探索チームは財団の“中心”記章が記された扉のある部屋を発見したと報告しました。扉を開けたところ、サイト-00-00-00と識別される放棄された財団サイトのような場所への入場が可能でした。その後の寺院探索でこの部屋は発見されていません。・幾度か、SCP-4840-Aは自身がSCP-4840内で唯一の人物ではなく、夜の寺院にもう一人いると語っています。問題の人物が何者であれ、SCP-4840-Aはその人物について何か他の情報を述べることに消極的らしく、また特筆すべきことに如何なる理由でも夜の寺院には立ち入りません。

SCP-4840

前半部分のサイト-00-00-00はどこか怪奇部門のことを思い起こさせるが、後述するカクタス怪奇部門の性質を踏まえるに、おそらくこの空間自体は怪奇部門とは別個の異常存在である可能性が高い。

SCP-4840のディスカッション欄において、あるユーザが「夜の寺院にいるもう一人とは、DJ・カクタスの提言Ⅲで登場した『管理者』のことか?」と尋ねたところ、カクタスはただ「👀」 (目の絵文字) と意味深長な答えを返した。これはおそらく、正解だということだろう。

夜の寺院には、管理者がいる。第七階層と空間がつながっている可能性はなくもないが、おそらく別々だと考えていいだろう。では、第七階層には何があるのか?

財団設立に関する秘密があるとしたり、そもそも単なるブラフにすぎないという意見もあるが……ここで一つ、個人的に最有力だと思う説を提示する。

第七階層にいるのは、「夜闇の最後の王」である。

さて、夜闇の最後の王とは何者だろうか? それについてはプロジェクト・パラゴンのハブに書かれている。

夜闇の王 (King of Night)妖精族の世界の情報は極めて少ないものの、夜闇の子らよりは遥かに多くの事が知られています。夜闇の子ら──人類や妖精族からはしばしば“侵略者”とも呼称される──は筆録や口承の文化を全く持たず、彼らの主神である女神は積極的に他の文明の歴史を抹消しようとしていました。SCP-343の証言において、夜闇の子らに安定した複合文化を築く能力は無かったとされていますが、SCP-████から得られた情報はこれを否定します。現在では、語るに値するような歴史記録こそ現存していないものの、夜闇の子らはある種の形而上学的な集合意識と交流し、そこから特定の情報を得ることが可能だと信じられています。この現象が観測された唯一の個体、SCP-████-█は、この集合意識を“夜闇の最後の王”と呼んでいます。この現象についての詳細は今後公開される予定です。

プロジェクト・パラゴン

夜闇の最後の王はビッグフットらと関連する存在だ。さて、どうしてこの存在が第七階層にいると考えられるのだろう? その答えはSCP-5935にある。

SCP-5935はプロジェクト・パラゴンシリーズには含まれていないものの、カクタスバースと密接な関連がある。より具体的には、この話は、亡くなってしまった我が子を取り戻そうとするO5メンバーが、妖精の森の奥深くに眠っていたISの最後の子、WHOを我が子の姿で連れ出してしまう話だ。

作中、2名の名前が検閲された人物 (おそらくはO5) の対話記録の中で、これらの古代の話と相手の正体について片方が語るシーンがある。これについてもう片方の人物がなぜそんなことを知っているのかと尋ねるのだが、そこでこういう返答をするのだ。

[データ削除済]①: なぜそうも知ったように話せる?[DATA EXPUNGED]①: How do you claim to know so much about this?[データ削除済]②: 名もなき場所に暗い部屋があります。1マイルの岩と鉄の下、そこには石棺が置かれているのです。棺の中にはある生き物がいます──かつては美麗で威厳ある存在だったのでしょう、だとすれば、今ではそれが存在する部屋よりも小さくなってしまった。彼らは賢明だと考えて、彼らのやり口でそれを埋めてしまいました。ですが、私はたどり着き方を知っていました。私は夜闇の最後の王が眠れる場所まで降りていき、聞いたのです。彼は話したりはしませんが、物事を教えてくれるでしょう。それが私が知るに至ったいきさつです。[DATA EXPUNGED]②: There's a dark room in a site without a designation where a stone tomb rests beneath a mile of rock and iron. In that tomb is a creature, something that was perhaps once beautiful and regal but is reduced to little more than the space in which it exists, if that. They thought they were clever, burying it like they did. But I know the way in. I found the way down to where the Last King of Night lies sleeping, and I listened. He does not speak, but he will tell you things. That's how I know. 

SCP-5935

この「夜闇の最後の王」が封印されている場所こそ、SCP-3790だろう。指定のないサイト、地下、鉄、埋める者たち──これらの要素は、SCP-3790の内容を想起させるものだ。

ビッグフットと関連する「夜闇の最後の王」がSCP-3790最深部に存在し、それと対話が可能であるとすると、SCP-6666やプロジェクト・パラゴンハブの文章の意味が完全に通ることになる。

その後、我々は決定を下すことになるだろう — 第7階層に降りて、彼と話すべきか否かを。

SCP-6666

2021年 - 財団監督[データ編集済]がSCP-3790の第七[データ編集済]。

プロジェクト・パラゴン

また、これらの要素を踏まえると、SCP-3790の第七階層は、報告書の内容に反して実際にはアクセス可能である (O5内でも隠蔽されている) か、あるいは最近アクセス可能になったのだろう。

なお、実は最近、カクタスはある下書きを外部のサンドボックスに上げていた。もちろん、下書きを考察に使うのは、礼節の面から見ても邪道であるし、下書きである以上没になったりすることもある。だが特に閲覧が禁じられているわけでもないので (カクタスは本当に隠したいときは閲覧不可にする)、ここでは触れてしまう。ごめんなさいカクタス。

「SCP-001 - The Abnormality」と題されたこの下書きは、SCP-3790の第七階層にある存在についてフィーチャーしたもので、現状では「SCP-001はSCP-3790の第七階層に存在する、異世界由来の実体の死体だ」という軽い説明書きだけがある。

ここから、夜闇の最後の王について、ある考察ができる。ここで再び、先ほども引用したSCP-4840の文章を見てみよう。

それは冠だった。彼はその冠を別の世界から、別の存在から取り、我こそは 全ての然るべきものの王 (King of All That IS) であると宣言した。

SCP-4840

おそらく、「夜闇の最後の王」こそ、アセムが鉄冠 (あるいはそのもとになった星や何か) を奪い取る前の、本来の持ち主だったのではないだろうか? ビッグフットが鉄冠継承者と敵対しているのも、ここと関連しているかもしれない。

だとすると、プロジェクト・パラゴンシリーズは完全に一つの原点へ収束することとなる。ロマンのある仮説なので、私としては「夜闇の最後の王が鉄冠の本来の持ち主だった」という説を推したい。

ちなみに、「SCP-3790第七階層に夜闇の最後の王が封印されている」ことについては、SCPDeclassifiedのDIscordサーバにおいて、カクタスが以下のように意味深な反応をしていることから、ほぼ確実視できると考えられる。

(SCP-3790の第七階層にいるのは夜闇の最後の王なのかという質問に対して):hmm: (顎に指を当てて悩むかのような絵文字)We'll have to see, wont we (いずれわかることでしょう)

/r/SCPDeclassified (同名のRedditコミュニティ用のDiscordサーバ)

なお、プロジェクト・パラゴンハブで夜闇の最後の王が「集合意識」だとされているのに対し、どうも実体がある存在としてSCP-3790地下に幽閉されているらしき点には疑問が残る。これは物理的実体として異世界からやってきた後に死んで精神的存在となったのかもしれないし、あるいは異世界から精神的アクセスをしていたものの、後に実体もこちらに来たのかもしれない。あるいは、(報告書を書いている人間が) 実体を把握できていないために、記録をもとに集合意識としての側面だけを記しているのかもしれない。

怪奇部門長 アダム・ブライト

カクタス怪奇部門を語るうえで重要な存在として、アダム・ブライト (Adam Bright) が存在する──彼はカクタスの怪奇部門作品でたびたび登場する人物であり、おそらくは部門長・設立者に相当する。彼が初登場したのは、Tale"To Never Again See The Light Of Day"の終盤においてだ。

雨が降っていた──土砂降りというほどではない。どんよりとした空のなか、どこからともなく雷が低く鳴り響く。長い黒塗りの車が、これまた長く黒い道の端に止まった──道はまだ双方に伸びてはいたのだが、他には一台もいない。されどそのモーターは駆動していて、乗車する一人は煙草を蒸かしていた。It was raining, but not heavily. The skies were overcast and the low rumble of thunder echoed from somewhere far away. A long black car sat on the side of a long black road that stretched out in either direction without sign of a single other vehicle. Its motor was running, though, and one of the occupants was smoking a cigarette.しばらくすると、装甲車がその隣にやってきた。両車は暫しアイドリングして並んでいたが、装甲車の扉が開き、一人の男が歩み出た。彼は真鍮のボタンが付いた厚手のコートを羽織っていて、豊かなサンディ・ブロンドの髪を堪えていた。緑色をした両目の前には、厚縁の眼鏡がかかっていた。彼は半笑いを浮かべ、もう一人の車から男が降りてきた。彼もまた若く見えた──20代後半だろうか──だが、その眼差しは年齢に背くものだった。彼は苛烈な眼差しで、その笑みは毅然としたものだった。After some time, an armored car pulled up next to it. They sat idling next to each other for a moment, until the door of the armored car swung open and a man stepped out. He was wearing a heavy coat with brass buttons, and had a mess of sandy blonde hair. His eyes were green, and in front of them sat a pair of thick rimmed glasses. He smiled a half-smile as a man stepped out of the other car. He was also young, maybe in his late twenties, but his eyes betrayed his age. His eyes were fierce and his smile resolute.「スキッター・マーシャルだ」若い方の男がそう言って手を伸ばす。「お会いできて光栄だ」“Skitter Marshall,” the younger man said, extending a hand. “A pleasure, I’m sure.”ブロンドの男がその手をつかんで握手した。「私もだ。持ってきてくれたかい?」The blonde man grabbed it and shook it. “It is. You have it with you?”スキッターは頷く。彼らは車の後ろまで歩いていき、トランクを開けた。中はほとんど見えなかったが、トランクの裏に取り付けられた電球の薄明りに照らされて、鎖で縛られた黒い箱が見えた。その前面には、紫のインクと金の装飾で飾り付けられた、輝く「W」の文字があった。スキッターはそれを見て苦い顔をする。「これをどうするつもりなんだ?」彼はそう言った。Skitter nodded. They walked towards the rear of his car and opened the trunk. Inside, barely visible but by the dim light of a bulb affixed to the underside of the trunk was a long, black box bound in chains. On its front, emblazoned in violet ink and gold trim, was a shining letter “W”. Skitter grimaced when he looked at it. “What are you going to do with this?” he said.もう一人の男がそれを見渡した。スキッターが彼の眼を見ることはできなかったが、男が熱烈にそれを検めていたとは言えるだろう。The other man looked it over. Skitter couldn’t see his eyes, but he could tell the man was studying it intensely.「我々にはこうした存在のための場所がある」彼は慎重にそう言った。「誰も掘り返したりすることのない場所だ。あれのことは我々に任せてくれ」“We have a place for these things,” he said carefully, “somewhere no one will ever be able to retrieve them from. We’ll take care of it.”スキッターは一歩後ずさる。「これが何なのかは知っているだろ?」Skitter took a step back. “You know what this is, don’t you?”男は頷く。「知っている」The man nodded. “I do.”ブロンドの男が合図をすると、更に3人の男が装甲車両の後ろから現れる。彼らは慎重にスキッターの車の後部から箱を降ろすと、手際よく自身らの車の後ろに詰めていった。ブロンドの男は彼らの後を追って去ろうとする。The blonde man gestured, and three more men emerged from the rear of the armored vehicle. They carefully pulled the box out of the back of Skitter’s car, and deftly carried it into the back of their own. The blonde man turned around to follow them.「ちょっといいか」スキッターはそう言って男を引き留めた。「あんたの名前を聞いていないと思う」“Say there,” Skitter said, catching the man’s attention. “I don’t think I got your name.”男はもう一度笑みを浮かべてポケットに手を入れ、白無地の名刺を出してスキッターに渡し、彼は半ば訝しげに思いながらもそれを受け取った。装甲車が去っていき、スキッターは何が書いてあるのか、名刺に目を落とした。The man smiled again, and reached into his pocket and pulled out a plain white business card and handed it to Skitter, who took it with confused half-acceptance. As the armored car pulled away, Skitter looked down at the card to see that text had appeared.アダム・ブライト博士怪奇部門所属Dr. Adam BrightDepartment of Abnormalities

To Never Again See The Light Of Day

この作品は、ファクトリー由来の「錆」に身体を侵されたワンダーテインメント博士 (ベルトラン・デュポン・ラ・フォンテーニュ・モルグラーフ・ワンダーテインメント) がスキッター・マーシャルの邸宅を訪ね、そこで錆の治療をしてもらうところから始まる。しかし、この錆を治療する際に、ミスター・えがおがその犠牲として錆の怪物となってしまう。そうして、スキッターは怪奇部門に連絡して彼を引き渡す (SCP-2399とは結末が矛盾するので別路線ということか、あるいは私の読み間違えで両者は別物かもしれない) のだが、そこで上述の会話があるわけだ。

このシーンからは在りし日の怪奇部門の活動内容や目的がうっすらと読み取れ、なおかつブロンドの男=アダム・ブライトが部門内で重要そうな立ち位置にいることがわかる。

彼は他に、SCP-4760でもちょい役としてだが言及がある。

スクリーンはあまり見えないが、二人の人物が近くで話し合っているように見受けられる。音声は会話の途中から復旧する。The screen is barely visible, but it appears as if two people are near each other speaking. The audio comes back on in the middle of their conversation.不明な人物1: ──本日、ルイジアナのマーシャルの倉庫へ送られました。彼はあなたがいつ見に来られるかを知りたがっています。Unidentified Person 1: -delivered today, at Marshall's storehouse in Lithuania. He wants to know how soon you can come out to see it.不明な人物2: 奴にはもういったぞ、私は関わり合いになりたくはないと。スキッターが私と連中の仲をどう思っているかは知らんが、交渉するのはまず無理だ。Unidentified Person 2: I've already told him, I want nothing to do with it. I don't know how friendly Skitter thinks I am with them, but it is certainly not enough to deal with that.不明な人物1: 彼はブライトに引き渡そうと考えていますね。Unidentified Person 1: He's planning on passing it off to Bright, you know.不明な人物2: アダム・ブライト? よろしい。奴に代わりに埋めさせてしまえばいい。彼を助けたのは間違いであったし、今度も間違いだろう。彼には当時忠告しておいた、ファクトリーは未払いなどさせないと。ベルトランが連中から後生逃げ続けたいのなら構わんよ、私にそれを押し付けなければな。Unidentified Person 2: Adam Bright? Good. Let him bury it instead. It was a mistake helping him then and it would be a mistake helping him now. I warned him back then that the Factory doesn't go unpaid. If Bertrand wants to run from them for the rest of his life he's more than welcome to, but he's not about to saddle me with that.不明な人物1: 彼らはどこに保管しておくのでしょう?Unidentified Person 1: Where do you think they'll keep it?不明な人物2: それは── (口ごもる) 考えたくはないな。財団はああいった物のためにいくつも暗い場所を抱えていると言えば十分だ。いい厄介払いだよ。Unidentified Person 2: I- (pauses) I wouldn't want to speculate. I'm sure the Foundation has plenty of dark places for things like that. Good riddance.

SCP-4760

ここでも、アダム・ブライトは怪奇部門の顔として動いていることがわかる (そして何人か彼らを知る者たちがいることも)。

また、DJ・カクタスの提言Ⅲにおいても、いくつかアダムへの言及がある。

「今映っているのは1本の糸です、」カーター博士は続けた。「我々はそう呼び始めたところです。始まりの時にこれがどういう姿をしていたかはわかりません。我々は小さなオジマンディウムのフィルムを使って高エネルギーパルスを放射する事で、この糸を顕現させる事に成功しました。この手法はアメリカのアダム・ブライト博士のチームから借りたものです。彼らはタキオンと呼ぶ、いわば時間の基礎的物質を誘発する為の、類似のプロジェクトに携わっています。我々は、同様に装置のチューニングを行う事で、本来起こらない事を…起こす事ができると、発見しました。」

DJ・カクタスの提言Ⅲ/O5-11殺害ログ

アリアンスは肩を竦めた。「アダム・ブライトかもな。最後に聞いた話じゃ、奴はミシガンのサイトで仕事していたというが、案外そうかもな。だが奴はサイトに入る術を知らないはずだ。」彼は考え込む手に間を置いた。

DJ・カクタスの提言Ⅲ/O5-6殺害ログ

これらの情報を取りまとめると、アダム・ブライトはもともとアメリカのタキオン研究を行っていたチームのメンバーで、後に財団の設立メンバー、初期の監督者となったことが伺える。

一般に、財団上でアダム・ブライトと言えば、ジャック・ブライト博士の父親で、O5-12として知られている。そしておそらくは、彼と怪奇部門長のアダムは同一人物とみていいだろう (ただし、設定上の差異はある。カクタス自身が書いたリザレクション作品などとはいったん切り離した方がよさそうだ)。

O5-11の殺害ログ冒頭には、彼ら初期メンバーの集合写真が掲載されている。左端にいる人物がアダム・ブライトだ。

財団の創設メンバーたち。DJ・カクタスの提言Ⅲ/O5-11殺害ログより抜粋。

……なかなかのナイスガイである。

また、O5-5の殺害ログにて、謎の人物 (正体はO5-2) がアダムの眼鏡を主人公であるカルヴィンに渡して援助するシーンがある。

カルヴィンは筒を開け、中身を手に出した。金属フレームの眼鏡で、金色の文字が刻まれていた。耳あて近くの裏には黒文字で名前が刻まれていた──『A. Bright』。カルヴィンが掲げると、昇る太陽の光を浴びて煌めいた。(中略)カルヴィンはメガネを見下ろし、少し考えてそれをつけた。「さてね、」彼は答えた。「で、あんたはどうなんだろうな?」かすかに青みがかったレンズ越しに見上げると、青々とした草原と湖と森はまだそこにあった。しかし、『黒歌鳥』の代わりにそこにあったのは聳え立つ怪異──鳥を彷彿とさせる、死んだ目に悪臭放つ腐乱した肉の怪物だった。その薄く艶のない羽根の層の奥に、渦巻く無数の顔が絶叫し呪詛を吐き、今にも破裂しそうな器で押し合っていた。怪物がそのおぞましい嘴を開くと、『黒歌鳥』の声が無数の化身と重なり、悲愴と苦痛の不協和音を搔き鳴らしてこだまするのを聞いた。

DJ・カクタスの提言Ⅲ/O5-5殺害ログ

おそらく、この眼鏡には相手の真実の姿を見極めるような機能が備わっているのだろう。推測だが、To Never Again…のアダムが付けていた眼鏡はこれのことなのかもしれない。

怪奇部門長、アダム・ブライト。ここまで見たうえで、改めてSCP-3790を見てみよう──すると、書置きの著者が誰であるか、ある程度予想がつくかもしれない。おそらく、これも彼のものだろう。

そろそろ時間だろう。私が行くまでに他サイトを封鎖しなければ。どうかお元気で。

SCP-3790

なお、当初この書置きの内容は今とは異なっていた。当時の内容を以下に示す。

何も問題ない。君がこの文書を読むころには、もう私を覚えてはいないだろう。だが君が私にしてくれたことに対して、私が深く感謝していることは知ってほしい。これが助けとなることを願う。All is well. By the time you read this you will no longer remember me, so please know that I sincerely appreciate everything you've done for me. I hope this helps.もう疲れてしまった。そろそろ時間だろう。私は横になるとする。おやすみ。Getting tired now. Think it's about time. Going to go lay down. Goodnight.-I - パノプティコン III - Panopticon IIII - 月II - The MoonIII - 暗闇の中で死んでいくIII - Die In The DarkIV - 汚されてIV - Stained

SCP-3790, rev.23 (2020/3/31)

文書の内容はいささか判然としないが──おそらくはアダムから「誰か」 (かつての同僚である財団職員? 元怪奇部門職員?) への書き残しのようだ。内容を見るに、当初カクタスはアダムが死ぬことを考えていたのだろう。当初ほど露骨ではないが、現在のバージョンでもその残香が漂っている。

ただし、この改訂や、明言がないところを見るに、もしかすると彼はまだ生きているのかもしれない。

*余談*

"To Never Again…"ではアダム・ブライトとスキッター・マーシャルは初対面のような描写をされていたが、DJ・カクタスの提言Ⅲでは両者ともに財団創設メンバーであったため、面会はしているはずである。これは設定が違うことを示唆しているのかもしれないし、あるいは単に、スキッターが人相の変わってしまったアダムを同一人物とは識別できなかっただけなのかもしれない。

*余談終わり*

カクタス怪奇部門の起源と目的

長い道のりだったが、ようやく本題にまで来ることができた。

カクタスの怪奇部門において中核となっている要素は、「二度と日の目を見ないように密かに埋めてしまうこと」である。これは既に、カクタスがあちこちで繰り返し言及してきたテーマである。

埋もれたままにしておくべきものについての、Croquemboucheとの共同作品。A collaborative effort between myself and Croquembouche about something that should've stayed buried.

SCP-3790のディスカッションポスト

「我々にはこうした存在のための場所がある」彼は慎重にそう言った。「誰も掘り返したりすることのない場所だ。あれのことは我々に任せてくれ」

To Never Again See The Light Of Day*作品自体がテーマそのものみたいな感じだが

不明な人物2: アダム・ブライト? よろしい。奴に代わりに埋めさせてしまえばいい。彼を助けたのは間違いであったし、今度も間違いだろう。彼には当時忠告しておいた、ファクトリーは未払いなどさせないと。ベルトランが連中から後生逃げ続けたいのなら構わんよ、私にそれを押し付けなければな。不明な人物1: 彼らはどこに保管しておくのでしょう?不明な人物2: それは── (口ごもる) 考えたくはないな。財団はああいった物のためにいくつも暗い場所を抱えていると言えば十分だ。いい厄介払いだよ。

SCP-4760

(SCP-5845──SCP-2845を暗示する未翻訳の怪奇部門関連記事──について著者と会話している際のカクタスの発言の抜粋)私は必ずしも、DoAが他の人気SCPの知識を必要とするものだとは考えていません。むしろ、それは本来の意図からは外れています。私の意図はずっと、この不可思議な決して存在することのない組織が、停止しているかそう見えるほどにゆっくりと動き、決して在るべきでないものをどこかもう二度と発見されない場所へ埋めてしまうことにありました。First, to address your comment in the… comments. I don't necessarily think that the DoA requires knowledge of other popular SCPs, or rather, that was not the original intent. The intent was always to have this mysterious, clearly absent organization that is either inactive or moves so quietly as to appear as such, that takes things that truly cannot be allowed to exist and buries them somewhere so they are never discovered again

/r/SCPDeclassified (同名のRedditコミュニティ用のDiscordサーバ)

(Twitterで「なぜ怪奇部門のタグ化を拒んだのですか?」と尋ねられた際の返答。現在でこそENスタッフの判断で怪奇部門のタグが実装されているが、かつては原著者の拒否で一度却下されていた)DoAの全体的な神秘についてですが、私にとっては財団が埋もれたままにしておき、二度と掘り返す気はないものだということは明確です。財団世界での妥当性は現実ではそれほど意味がありませんが、同様の美学をwikiでも維持していきたいと考えています。The whole mystique of the DoA, for me, is that it's very clearly something the Foundation would like to keep buried and never dig up again. While that in-universe justification doesn't make much sense IRL, the intent is to try and maintain that same kind of aesthetic on the wiki.

Twitter @djkaktus_

また、前述したTale ”To Never Again See The Light Of Day” は、本来シリーズものとして続いていくことが予定されていた。実は、塩漬け状態にあるものの、この続編となるTale "These Wretched Strings" の下書きがカクタスの外部サンドボックス上に存在する。

この作品は1965年、在りし日の怪奇部門が行方不明になった子供を追って屋敷を調査し、呪いのヴァイオリンに取りつかれた子供と戦ってヴァイオリンを回収、SCP-3790内に「ヴィヴァルディ」として収容するまでの話である。在りし日の怪奇部門には割と職員がいてゴリゴリ活動していたり、なんなら巨大な十字架を背負った職員が登場して聖句を唱えながら燃え盛る十字架で怪異をぶん殴って除霊バトルを繰り広げる、魔導士めいた職員が呪文を詠唱して戦うなど、どうも当初カクタスが考えていた怪奇部門は、我々が普段考えるそれとはまったく異なるイメージであったことが窺える (我々は、カクタスが隙あらばビックリロマンバトルをぶち込んでくる人間であることを覚えておくべきだったのだ)。

なお、先ほどの5845に関する会話でもカクタスは以下のように語っていたので、やっぱりカクタスの中では怪奇部門は黒魔術的なものと結びついていたりするのかもしれない。

私が思う最大の不満は、DoAが水星で何かを発見する必要があったのかどうかわからない点です──私には彼らがそれだけのリソースを有しているかはわかりません。財団は科学と資金がすべてですが、DoAについてはむしろ黒魔術と歳月を費やして行動するように感じています。I think my biggest gripe would be that I don't know if the DoA would have ever necessarily found something on Mercury - I don't know if they have those kind of resources. The Foundation is all science and money, where the DoA has always felt like it moves more with dark magic and time.

/r/SCPDeclassified (同名のRedditコミュニティ用のDiscordサーバ)

まあ、この作品はけっきょく投稿されずに塩漬けされている。SCP-3220などの後続作品の台頭などで、怪奇部門が「謎・神秘・秘密」を中核とした存在として広まったので、このイメージと相成れなくなったというのは考えられる理由の一つとして挙げられるかもしれない。

そういうわけで没ネタに近い存在であり、設定が今も生きているかには大分疑問が残るのだが、作中で怪奇部門の起源と目的について触れているシーンがある。

「HiramやWesthallと働き始める前、私が最初に発見したアーティファクトは、モンテスマの顔が入っているというアステカの箱だった。箱は何百年もの間有名な古代遺跡の下に眠っていたんだが、あるとき一人の哀れな男が不幸にもそれを見て開けてしまった」“The first artifact I ever found, back before I started working with Hiram or Westhall, was this Aztec box that they say has Montezuma’s face in it. It had been sitting under a major archaeological site for hundreds of years, and one poor son of a bitch had the misfortune to see it and open it up.”ジョシュアはアダムの後を追って廊下を進んでいく。「箱の中身は何だったんです?」Joshua followed Adam back into the hallway. “What was in the box?”アダムは苦い顔をした。「私自身は見ていない。辿り着いたときには、既に惨劇が起こった後だったんだ。私は箱に鍵をかけ、地元の司祭には二度とそれを開けないと約束した」彼は別の扉を覗き込んだ。部屋は空っぽだった。「そう、これが財団が履き違えている点だ。我々はこれまでずっと異常を顕微鏡の下に置いてきた。来るはずもない新発見を求めてな」Adam grimaced. “I never saw personally. By the time I got there the damage had already been done, as it was. I put a lock on it and promised the local priest to never open it again.” He looked through another door into an empty room. “See, that’s where the Foundation is misguided. We’ve been putting things under microscopes for so long, hoping for some breakthrough that never comes.”彼は別の扉の錠をこじ開け、ガンと開く。「だが──ちょっと待ってくれ──よし。だが時には顕微鏡の下に置くべきでない異常がある。私がこう言い出したなんて嘘をつくつもりはない──共に働いていた博士が言ったんだ、恐ろしいものを血の魔術でどこかへ封じ込めてしまおうとね。私の着想は彼に基づいている。彼の名前はエヴァレットだったが、どうにもラストネームまでは思い出せない」彼は暗闇に目を細めた。「たしか私の息子と同じぐらいの歳だが、もうちょっといってるかもな」He jimmied the lock on another door, causing it to pop open. “But - hang on - there we go. But sometimes things can’t be put under a microscope. I’m not going to pretend that I had the idea first - there was another doctor I worked with who mentioned sealing away some dark things with blood magic, and he’s basically who I drew inspiration from. Everett was his name, though for the life of me I can’t remember his last name.” He squinted into the dark. “He’d be about my son’s age, maybe a little older.”彼らはいくつもの部屋を調べ続けた。「我々は調査委員会を設立してそれに取り組んだわけだ。君はまだ居なかっただろうが、君の兄弟はいた。当時、彼は研究監督官か何かの助手をやっていたと思うんだが、そこにいたことは間違いなく覚えている。彼らは自分たちの『金庫』めいたものを試作し、集大成としてプロトタイプを建造した。我々が神秘について行った研究量は膨大だった──科学者たちをいらつかせ、彼らはその考えを憎んだものさ。ともかく、彼らの大半がそうだった──Ileneを除いてはね」They continued looking through boxes. “We set up an exploratory committee to look into it, you know. Maybe you weren’t around yet, but your brother was. He was an assistant to some research director or something then, but I definitely remember him being there. They even mocked up what their Vault would look like, built a prototype, the whole deal. The amount of research we did into the arcane was wild - drove the scientists crazy, they absolutely hated the notion. Most of them, anyway - Ilene was an exception.”「プロトタイプはどうなったんですか?」ジョシュアはそう言い、付近の扉を開く。“What happened to the prototype?” Joshua said, opening a closet door.アダムは嘲笑った。「パラノイアに陥ったのさ。彼らは自分たちが作ったそれが全世界で一番のセキュリティ施設であることに気がついた。だからサイト-0を取り壊して、資材を全部プロトタイプに移動して“サイト-01”の名で呼び始めた。それが今の監督司令部だよ。嘘じゃあないぞ。彼らはプロジェクト全体を閉鎖し、それについて何かしら知っていた人間全員から記憶を消し去った。私は反ミーム部門に何人か友人がいたから良かったが、さもなくば私もともに記憶を消し去られていただろう」Adam scoffed. “Paranoid bastards. They realized they’d just built one of the most secure facilities in the entire world, so they tore down Site-0 and moved all of their resources to the prototype, starting calling it ‘Site-01’. That’s Overwatch Command now. Dead serious, they shuttered the entire project and mind wiped everyone who knew anything about it. I was fortunate to have a few friends in the Antimemetics Department, otherwise I’d have been mind-wiped too.”ジョシュアは眉をひそめた。「反ミーム部門が存在するんですか?」Joshua frowned. “There’s an Antimemetics Department?”アダムは振り払って言う。「そのことは気にしなくていい。ともかく、私は当時の神秘研究を片っ端から漁って (scavenge up) 逃亡した。プロトタイプより安全なものを作ろうとしてな。金庫ではなく──」Adam waved him away. “Don’t worry about that. Anyway, I managed to scavenge up all of the arcane research we did and ran off to build one even more secure than their prototype. Not a vault, a-”

These Wretched Strings

要するに、かつて研究すべきでないものを封印する檻を開発していたチームが作った試作品が、「最高のセキュリティ施設になるのでは?」としてサイト-01に指定され、関連する人員が当時のO5に片っ端から記憶処理されたものの、アダムはそれを回避して独自にそういう手を出すべきでない存在を封印する施設を構築した、という話らしい。

この際の研究をもとに作られたのがSCP-3790であり、また怪奇部門の目的とはすなわち、財団が研究・実験などで手を出すべきではない、解明も制御もできない生粋の怪異、あるいは邪悪極まりない怪異を封印していくことなのだろうと推察できる。

再度繰り返すが、この話は塩漬けされた下書きなので、今も設定が生きているかは定かでない。DJ・カクタスの提言ⅢではアダムはO5側の人間であったので、この設定は放棄されている可能性も十分ある。

To Never Again…および上記下書きを踏まえると、おそらく怪奇部門は初期の財団から分離した小規模な集団で、財団が手を出すべきでない怪異を、半魔術的手法で秘密裏に封じ込めていくことを任務としていたのだろう。監督評議会に知られず独自に活動していたのであれば、SCP-3790における以下の文章もそのままの意味で解釈できる。

SCP財団がこれまでに怪奇部門を有していたという記録は存在しません。構造物に関する情報は記録されていません。

SCP-3790

もしかしたら、実は上もその存在を知っていたのかもしれないが……。

少なくともTo Never Again…の情報から、怪奇部門が1967年あたりまでは活動していたことが確証できる。おそらく、70年頃まで活動していた感じだろうか? そしてアダムが去るのに合わせて、怪奇部門も閉鎖されたのかもしれない。

*余談*

さて、以上の内容を踏まえたうえで、「終焉の在り方」と怪奇部門の関係について、ちょっと妄想してみよう。

DJ・カクタスの提言Ⅲ「終焉の在り方」において、SCP-001とは財団というシステムそのものであった。少々ややこしいが、「管理者」としての表出はSCP-001の一側面にすぎない。

世界にはかねてより異常が存在していたが、財団の活動に合わせて増加傾向にある。この理由は、SCP-001こそが財団を財団たらしめるため、財団として異常存在の研究、収容、制御を続けていこうと、終わりなき異常の渦を巻き起こしているわけである。財団の発展に合わせて異常存在が強化されていくのも、きっとSCP-001のせいなのだろう。

カクタスの財団は、収容一辺倒というよりは、異常存在の研究解明や制御にも力を入れている節がある。財団と研究は切っても切り離せない存在なわけで、だからこそ研究すべきでないアノマリーのために怪奇部門が存在していた。

SCP-001が生み出すあのアノマリーは財団に研究、収容、制御のサイクルを続けさせるためにあるのであり (例外も多いものの)、それゆえに怪奇部門が対処するアノマリーは昔ながらの、財団以前のものが多いのかもしれない。

*余談終わり*

*セカンド余談*おそらく、当初カクタスは怪奇部門の施設がSCP-3790だけと考えていたのではなかろうか。秘密裏に作り上げた施設 (それも異常絡み) だとすると、そうそう大量生産できるものではないかもしれないし、各地の異常が片っ端からここロンドンに収められているというのもある。

とはいえ、今となってはSCP-3790のページには他施設へのリストもついているので、カクタス自身怪奇部門は複数の施設を有していると考えているのだろう。*余談終わり*

要するに

カクタスバースにおける怪奇部門について、ここでは主に以下の話をしたかった。ぐだぐだと余計な話や引用文、別の説なども交えながら話してしまったが、言いたかったのはこれぐらいである。

怪奇部門の第七階層には、「夜闇の最後の王」の死体がある。これは仮説だが、王はアポリオンの冠の本来の持ち主であったかもしれない。

カクタスバースにおいて、怪奇部門のトップはアダム・ブライトだった。

カクタスバースにおいて、怪奇部門とは「財団が研究・解明しようとすべきでない異常存在」を地下深くに封印して回る組織であったと考えられる。

おしまい。考察/情報まとめ的なものをちゃんと書きだすのは初めてとはいえ、ちょっと汚い文章になってしまった。もうちょっとうまく書けるようになりたいなあ。

なお以下の内容はおまけである。「おまけ1」は長いわりにほぼ内容がない。

おまけ1: 槍、ソフィア、そして怪奇部門に関する微かな疑惑

「信ぜざる者の槍」あるいは「神無き槍」は、アダム・エル・アセムが所有していた強力なアーティファクトであり、その名の通り神さえ殺める伝説の武器である。DJ・カクタスの提言Ⅲでは「SCP-5935」として登場し、カルヴィン一行がメインウェポンとして用いた (なお、面倒なことだが、後年実際に投稿されたSCP-5935とは関係ない)。

「信ぜざる者の槍」の起源については、実は既にサイト外でカクタスが明らかにしている。

イヴが登場しない理由は、アダムが彼女を殺して槍にしたからですThe reason eve doesn't show up is because Adam killed her to make the Lance~イヴが槍ですこれはまだどこにも書かれていませんが、いずれそうするでしょうEve is the LanceThis isn't in type anywhere, but it probably will be at some point.~「神はあばら骨を一本取ってイヴを作った」という話は知っていますよねアダムは骨を取り返し、鏃にしましたYou know the whole "God took a rib to make eve"Adam took it back and it's the tip of the spear~ええ、アダムは碌な人間ではありませんYeah Adam is not a good dude.

/r/SCPDeclassified (同名のRedditコミュニティ用のDiscordサーバ)

補足: 「神はあばら骨を一本取ってイヴを作った」とはここのこと。18 また主なる神は言われた、「人がひとりでいるのは良くない。彼のために、ふさわしい助け手を造ろう」。19 そして主なる神は野のすべての獣と、空のすべての鳥とを土で造り、人のところへ連れてきて、彼がそれにどんな名をつけるかを見られた。人がすべて生き物に与える名は、その名となるのであった。20 それで人は、すべての家畜と、空の鳥と、野のすべての獣とに名をつけたが、人にはふさわしい助け手が見つからなかった。21 そこで主なる神は人を深く眠らせ、眠った時に、そのあばら骨の一つを取って、その所を肉でふさがれた。22 主なる神は人から取ったあばら骨でひとりの女を造り、人のところへ連れてこられた。23 そのとき、人は言った。「これこそ、ついにわたしの骨の骨、わたしの肉の肉。男から取ったものだから、これを女と名づけよう」。

創世記(口語訳)

アダムは神に近く、その直近の子孫ら (イヴ含む) も同様であったという話もある。つまり、神めいた存在で作った武器で神を殺しているわけである。強大な原始の神々であればまだしも、そこいらの神であれば確かに殺してしまえそうだ。

この「信ぜざる者の槍」は当初アポリオン王家の墓所から発見され、財団の手に渡った。

「こ、これは一体何ができるんだ?」『小物』が言った。不穏な沈黙がテーブルの端で渦巻き、空気がヒヤリと冷たくなった。声がした──静かだが強烈で、聴き取るのが難しいものだ。「これは信じざる者の槍、」『もう1人の監督者』が答えた。「古代王サルースの握った、神無き槍。」霊的な存在が静かに唸った。「素晴らしい。」『外様』はテーブルを回り、各人に情報をまとめたフォルダーを配っていった。「ご質問への答えとして、簡潔に回答するなら『おそらく色々できる』です。より詳細な回答は、まだよくわからないということです。あの最後の4大悪魔を収容し、アポリオンの墓にたどり着けて以来、私たちはそこで見つかった文書を研究しこの槍について調べてきました。これは明らかに王と何らかの重要な関係がありますし、そうでなければあそこに存在し得ませんでしたし、回収するのにあそこまで血を流すこともなかったでしょう。」リモコンを取り出すと、最奥にかかった室内で一番大きいモニターに向けてスイッチを押した。埃にまみれ暗い墓所の内部の映像が現れ、大きな石棺に銀の鎖で下げられた槍があった。次の映像は、少数が認識できた言語で書かれた文書が映された。「こいつはダエーワかい?」『黒歌鳥』は戸惑うように発言した。「速記で書かれているなら、ダエーバイトじゃあないな。これはどこにあったんだい?」「墓の中では…」『外様』が説明した。「私がこれらの書籍から集めた情報によると、この文章はダエーバイトの捕虜か奴隷に書かれたか、もしくはダエーバイトの図書館から盗まれたものです。アポリオンとともに埋葬した理由については…今も謎です。しかし、ここに存在するいくつかの墓は槍について明確に語っており、これが王朝のさらに数百年遡り、ダエーバイトよりもさらに古代のものであることを示しています。そこまで遡る歴史的資料の少なさが特定を困難にしていますが、この古代の文明にすら、これが伝説的武器であるだけの情報は出ています。」

DJ・カクタスの提言Ⅲ/O5-4殺害ログ

*余談*

とはいえ、この槍が本物かどうかは若干疑わしい──SCP-4840では「槍は失われた。アポリオン王家の軍が槍を引き渡すようアウダパウパドポリスにやって来たので都市を空に持ち上げた」とされているし、プロジェクト・パラゴンハブには以下のようにある。

“神無き槍” (Godless Lance) - 一部の翻訳では “信じざる者の槍” (Spear of the Non-Believer) とも - は最初の人間、 アダム・エル・アセム (Adam El Asem)  が所持していたとされる強大な反奇跡論力を帯びた武器です。しかしながら、セス (SCP-4840-A) はこのような武器が人間の手に渡ったことは一度も無く、オリジナルの槍はアウダパウパドポリスの陥落時、アセムが夜闇の子らに打ち滅ぼされた時点で共に失われたと確証しています。従って、アポリオン王家にはオリジナルへの敬意を示すため、またはその権威を簒奪するために、別な特定の武器を“神無き槍”と呼ぶ伝統があったものと思われます。

プロジェクト・パラゴン

なので、もしかするとこの槍は模造品なのかもしれない。……というか、先述の会話では「あの最後の4大悪魔を収容し」とあったが、DJ・カクタスの提言Ⅲでカルヴィンらが行動を始めたのが2020年までのどこかのことである。

「さて、我々の現行モデルでは2020年までを大規模で公的な超常現象なしで切り抜けられないと計算され、そこから5年も経たぬうちに財団にも手に負えない程に事態は大きくなるでしょう。それは非常にマズイ事態です。故に我々は今ここで対処せねばなりません──これ以上待てば、我々は有意義な事を何も果たせないままとなります。」

DJ・カクタスの提言Ⅲ/O5-13殺害ログ

一方、パラゴンハブでは、オジエの収容は2020年のことだとされており、時系列が合致しない。そのため、そもそもDJ・カクタスの提言Ⅲとパラゴンシリーズは厳密には同一時間軸にはなく、微妙に設定が異なるのかもしれない (というか、書いている途中で設定が変わったとかのほうかもしれない)。そういうわけで、カクタスバースにおける槍の立ち位置は少しばかりゆるふわだ。

*余談終わり*

──さて、話を会議に戻す。議題はこの槍をどこに収容するかという点にあるのだが、誰も安全な場所をあげることができない。だがO5-1は、最終的にO5-2にこれを託した。

『グリーン』は息をついた。「でも何処かしらあるでしょ?本当に使える場所がどこにも──」突然鳴ったテーブルの端に置かれた電話の鳴動により、彼女は沈黙した。暗がりの人影はそれを見下ろし、3つ目のコールで受話器をあげた。彼はしばらく静かな声で会話をして、受話器を下ろした。円卓の者たちはみな、彼に目を向けていた。「ソフィアが持っていく、」『創設者』は言った。その声は穏やかだった。「彼女ならば時間からも隠せる。あらゆる手段をもってしても奪われはしないだろう。」彼は腕時計を見下ろし、円卓に向き直った。「我々の役割を果たすため、皆々はこれから距離を置くようつとめてくれ。」『大使』は困惑するように眉をひそめた。「サー、少々お待ちを。 アメリカン殿、これは神を殺すものなのでしょう?ならばなぜ我々にとって脅威になりうるのです?我々は神とは違うでしょう?」『創設者』は静かに微笑んだ。「ジャン、君は我々を見くびっているよ。」彼は円卓の皆々に視線を戻した。「ダイアン、ルーファス、モーティマー。アポリオンサイトに配属されたドナのチームに可能な限り、最大限の支援を。ソフィア、」彼は隣の暗がりに潜む、少しも動かない人影に目を向けた。「これを持って行ってくれ。どこか安全な場所へ。君を信じている。」人影はかすかに点滅し、それと槍は共に消えてしまった。そこで円卓の皆は一斉に、最初からそれがここになかったことに気づいた。

DJ・カクタスの提言Ⅲ/O5-4殺害ログ

O5-2/ナザレ人/ソフィア・ライトは、時間移動や記録・記憶の改竄など、特殊な能力を持つ人物である。その能力上、オブジェクトの秘匿に相応しいとして抜擢されたわけだ。

さて、それで彼女はこれをどこに隠したのだろう? もしかすると、それは怪奇部門の施設跡地であったのかもしれない。以下はDJ・カクタスの提言Ⅲからの抜粋だ。

アダムは眉を寄せたが、疑問は彼の口からでなく、オリヴィアの口から出た。「どこで見つけたの?」カルヴィンは少しだけ沈黙した。「俺が子供の頃、母さんと一緒に父親から逃げたんだ──奴は飲んだくれで、飲んでないときは俺たちを殴るのが趣味だった。にげて、田舎の叔母のところで暮らした。よく2人きりで草原や森の中を散歩して、それが俺の人生の中で最も明るい瞬間の1つだった。」「そんなある日、」彼は続けた。「2人で湖畔を歩いているとき、母さんは湖から覗く誰かに気づいた。俺が見たとき、たくさんの死体を見た…もしかしたら数百はあったかもしれない。母さんは湖に向かって、中へ歩いていって、消えてしまった。俺は彼女の後を追ったが、死体が俺に語りかけるのを聞いた。そして母さんもいた。母さんはおれに微笑みかけて、そのまま湖に沈んで…以後、二度と見ることはなかった。俺は何時間も死体どもも中を格闘したが、母さんが湖に連れ去られたと誰に話しても信じてもらえなかった。」ため息をついた。「最近、あそこに戻ったよ。叔母が俺を寄宿舎に入れてから戻っていなかったけど、戻ることにした。死体は消えて、そこへ行く道には藪ができていて、それでも湖はまだそこにあった。そこにいる間──たぶん、今後のことを考えていたんだと思う──誰かが歩み寄ってきた。ただそれを…」そこで、一瞬だけ躊躇った。「その人がどんな人だったのかを、いなくなった直後ですら曖昧で思い出せなかった。どう説明すればいいかわからない、ただその声は…なんというか、疲れていたというか、空虚というか?まるで幽霊と人間を重ね合わせたような声だった。」「そいつは何を望んだの?」アダムは尋ねた。「2つのことを言ってきた。俺の名前と、俺がインサージェンシーのエージェントであることをだ。 財団かGOCのやつだと想定して、弾を撃ち込んでやった。」彼は笑った。「今思うと馬鹿馬鹿しいが、その時は奴が何者なのかがわからなかった──未だにわからないし、正直不気味だったし、まあ、な?いずれにせよ、弾丸はまるで何もないかのように奴をまっすぐすり抜けた。奴は俺に落ち着くように呼びかけ、自分が危害を加えにきたわけじゃないこと、そして何か渡したいものがあると言ってきた。」「森まで奴の後を追い、辿り着いたのは崖の下だった。断崖にはイバラが絡み付いていたが、俺たちがそこを通り抜けると溶けるようにすり抜けた。それが見えなくなるとそこにあったのは──岩に嵌った、財団の印の刻まれた鉄の扉だった。ただこの、誰だかは知らないがこの人物は、ドアを開けて中へ導いてくれた。紙でいっぱいの書類棚やら大量の埃が積もってたりという有様だったから、おそらく長年誰も立ち入らなかったんだろう。奴は細長い部屋の奥のドアを指差して、その先に財団を打ち砕く武器があると言った。ただ同時に言ってきたことは…もし俺が先へ進んで武器を手にしたならば、それはもしかしたらとんでもない選択かもしれないということ──そしてそれを受け入れるならば、手にしても構わないと。」オリヴィアは顔をしかめた。「選択は?」カルヴィンは深呼吸した。「ドアを通った時、俺はまた湖のそばに立っていた。ただ、俺はまた子供の頃に戻っていて、母さんと散歩していた。あの時の母さんは…きっと、夢じゃなかったと思う。俺は母さんの手を握って、それが現実だと実感した。そして──」そこでまた言葉が止まった。「──また湖の横を通り過ぎた。そして母さんはまたあの湖へ向かっていたし、また大量の死体があった。俺は急いで母さんの後を追った。今度は以前とは違った…彼女自身が何をしているかを知る前に、俺がもう知っていたから。そして腕を伸ばせば届く距離に彼女はいたんだ。俺は母さんを掴むことだって、体をぶつけることだってできたし、そうして止めることもできた。あの頃の俺は恐怖で体が固まって手遅れになったが、今度はちゃんと行動を起こせた。母さんを助けられたんだ。」彼はハンドルを指先で叩いた。「だが、母さんに近づくにつれ、何かが俺を止めたんだ。木々を振り返ると、あの扉へ俺を導いてくれた人物が、木立の端に立っていた。奴は…奴はただそこに立っていた。そして俺は気づいた、んだと思う。奴はずっとそこに立っていたと。ずっと俺を見ていて、その手には銀色の筒を抱えていた。」アダムを一瞥すると、アダムは手に抱えた筒を転がした。「その瞬間、俺はすぐに向かわなければ二度とチャンスがないと気づいた。」固唾を飲み、続けた。「だから俺は、母さんに背を向けて木の横に立つその人物のもとへ向かい、その筒を受け取った。湖に振り返ると、母さんはもういなかった。」手のひらで、なにかを拭うように目元を吹いた。「近寄ると、俺は大人としてまた湖のほとりに立ち、手にはあの銀筒を持っていた。それ以来…あの湖のほとりの子供だった頃から、俺はそれをずっと持っていたんだ。」全員しばらく黙り込んだ。その後、またカルヴィンが続けた。「この人物は…誰であれ、また俺のもとへ来ると、俺の名前と、俺がインサージェンシーのエージェントであることを言ってきた。俺が奴に言われたことを覚えているかを尋ねられ、俺は肯定した。するとまた別のものを差し出してきた…2本の瓶だった。奴が何者であるかを尋ねたがなにも答えてはくれず、ただ俺に向けてきたその目は…始終悲しげだった。俺は瓶を受け取り、奴は俺に謝罪をしてきた。瞬きをすると、もうそこにはいなかった。」

DJ・カクタスの提言Ⅲ/O5-6殺害ログ

少々夢見心地な現実性の薄い内容ではあるが、カルヴィンが槍を受け取る際に訪れた施設は、長年放棄されたと思しき財団記章のある廃施設だった。これが怪奇部門施設であるかは定かではない。だがもしかすると、O5-2は怪奇部門の施設 (跡地) に槍を封印していた可能性があるかもしれない。

だが実際には、この施設と槍の封印場所は関係ない可能性もある。次のような文章も出てくるためだ。

アーロンはすぐには返答しなかった。「君に他に頼んでいたことはどうだ、ヘレン?」彼は尋ねた。「何を見つけた?」「SCP-5935、神無き槍の収容房が、未明の時期に不明のユーザーにより開封されていました。ユーザーの性質やイベントの記録を削除する能力から、当該ユーザーはO5-2であると思われます。」

DJ・カクタスの提言Ⅲ/O5-3殺害ログ

財団AIであるヘレン曰く、信ぜざる者の槍の収容房は一部の存在に把握されている。この収容房が先ほどの施設にある可能性は否定できないが、どうも (比較的) 普通の収容室に置かれていたりしたような雰囲気も窺わせる。もしかすると、先の怪奇部門っぽい施設は、雰囲気作りのために説得の過程で使われたに過ぎないのかもしれない。残念ながら、このあたりは疑惑にすぎない話だ。

……これだけでは些か内容が薄いが、O5-2と怪奇部門にはもう一ヶ所接点が存在する。

それがアダム・ブライトの眼鏡である。上で出した引用文と重なる箇所もあるが、もう一度引っ張ってこよう。

彼は止まった。2人を見返すと、カルヴィンの目をじっと見つめていたのは、幼いカルヴィンだった。2人は互いを『自分』であると認識した視線を向け、今まで何があって、これから何が起こるのかを理解していることを確かめた。少年は母を見やり、そして木々へと視線を戻した。藪と生い茂る葉の中に立っていたのは、銀の筒を抱えたローブ姿の人影だった。カルヴィンはその人物のもとへ歩き出した。『黒歌鳥』はその光景にたじろいだ。「まさか!?」彼の声は震えた。カルヴィンはその声色から不自然な気配を聞き取った。「君がこれを仕出かしたということか?」カルヴィンは人影に手を伸ばし、銀筒を受け取った。人影は口元に指を1本立てた。「これはあなたの思うようなものではありません、」ソレは告げた。「さあ、確かめなさい。」カルヴィンは筒を開け、中身を手に出した。金属フレームの眼鏡で、金色の文字が刻まれていた。耳あて近くの裏には黒文字で名前が刻まれていた──『A. Bright』。カルヴィンが掲げると、昇る太陽の光を浴びて煌めいた。

DJ・カクタスの提言Ⅲ/O5-5殺害ログ

"To Never Again…"とDJ・カクタスの提言Ⅲの間で、どれくらい設定が一致しているのかは不明瞭だ。だが仮にこれが「怪奇部門長」アダム・ブライトの眼鏡だとした場合に、彼女とアダムの間にどのような関係があったのだろうか? 結論から言えばさっぱりわからないのだが、二人は共に財団創立メンバーであり、また経緯は違うが時間異常に携わっているため、何らかの交流があった可能性はある。

O5-2が怪奇部門やアダム・ブライトと出会っていたか、後日その存在を把握した可能性は十分にあるだろう。あるいは単に、財団が回収済だったアダムの遺品 (?) をO5-5戦にちょうどいいからと持ってきただけの可能性も否めないのだが。

なんとも歯切れの悪い話になってしまったが、正直このあたりは私も全然わからない。一緒に考えていただけると幸いである。たすけて。全然関係なかったらどうしよう。

おまけ2: SCP-3790収容物品のリスト

第一階層

部屋1: ヴィヴァルディ (Vivaldi)ヴァイオリン。実在したヴァイオリニスト、アントニオ・ヴィヴァルディを踏まえているとみられる。下書き「These Wretched Strings」では、ヴィヴァルディ以外の持ち主が皆変死を遂げたヴァイオリンとのことだった。

部屋2: モンテスマの顔 (Montezuma's Face)箱。アステカ王、モンテスマ二世への言及と見ていいだろう。現地には、神格化されたモンテスマがいずれ帰ってくるという話がある。下書き「These Wretched Strings」では、アステカの遺跡に封印されていた「モンテスマ2世の首が入った、中身を見てはならない箱」とのことだった。一般には、時計のような音が聞こえてくる箱ということで、SCP-902を踏まえているのではないかという意見が根強い。

部屋3: プラカード無し空の部屋。詳細不明。

部屋4: プラカードは損傷しており、文言が読み取れない骨とひっかき傷だけがある部屋。詳細不明。

第二階層

部屋1: イアン (Ian)拘束された人型実体。詳細不明。姿が似ているのでSCP-096絡みではないかという意見もあるが、違う気がする。

部屋2: 泣き叫ぶ少年 (The Crying Boy)絵画。「The Crying Boy」という同名の絵画が存在し、呪いの都市伝説で知られている。

部屋3: 見張る者たち (The Watchers)3人の人影。詳細不明。性質的にSCP-173絡みなのかもしれないが、違うかもしれない。

部屋4: プラカード無し廊下が続く。詳細不明。

第三階層

部屋1: 無限の寒さ (The Infinite Cold)氷が広がる異空間。周囲を凍らせるオブジェクト、SCP-4812-Eに関する形容で「無限の寒冷」が出てくるので、これ繋がりであるかもしれないが、SCP-4812-E自体は別所に封印されていた。投稿時期を考えれば、後から設定が変わった可能性も否めない。

王は 神無き槍を掲げ、ヴィニュヴィネクスに挑んだ。そして無限の寒冷 (the infinite cold) をマンモスの毛皮一つで防ぎ、聖なる槍をヴィニュヴィネクスに突き刺し、それを燃えさかる大地の中心に縫い付けた。

SCP-4812

また、カクタスは以前「SCP-2318 - 永久の寒さの中で目覚めて (Awake in the Infinite Cold)」という名前の記事を投稿し、後に自主削除したことがあったので、それ関係ではないかという説も挙げられている。また、SCP-3799を踏まえたものかもしれないという説もある。

部屋2: 悲哀 (Sorrow)何かが置かれていた台座。詳細不明。

部屋3: 人の居ない世界 (World Without Man)空の部屋。詳細不明だが、同名のタイトルを持つSCP-804と関連しているのではないかという意見が根強い。

部屋4: アダムの憎悪 (Adam's Hatred)波打つ黒い影。詳細不明だが、これについてはDiscord上でカクタス本人がアダム・エル・アセムとの関連を明言している。

第四階層

部屋1: 朝の星 (The Morning Star)おそらくは、DJ・カクタスの提言Ⅲで登場する剣と関連している。ただし、設定の食い違いを踏まえると、イコールではないかもしれない。なお、「明けの明星」をラテン語でいうと、「ルシファー」である。おそらく兜にあった名前は、兜や剣そのものの名前というよりは、持ち主の名前だろう。

土は固く滑り、そこを踏む足音はまるで下へと転げるようだった。頬を熱い涙が流れ焼きつくようだった。ついにクレーターの中央にたどり着くと、その震央にと素早く進んだ。そこに、もう何万年も佇んでいたかのように、衝撃で鎧の歪みひしゃげた天使の崩れた残骸があった。その体にまとう薄い灰の膜がその存在をぼかしているにもかかわらず、その兜に煌めく文字ははっきりと読み取れた:明けの明星 (Star of the Morning) と。そこからそう離れていない場所に、半分ほど埋まっているもののキラリとした輝きを失わないものがあった。熱気と力を燻らせた、黄金の剣だった。アーロンはそれに近づき、刺さっている大地からバターのように容易く引き抜いた。その瞳は暗く淀んだ──その信念が彼を喰らい、閃光とともに彼は消えた。巧みに周到に文字を刻まれたひと切れの紙が、地面に落ち、そのまま雨に流されて消えていった。

DJ・カクタスの提言Ⅲ/O5-2殺害ログ

部屋2: ニガヨモギ (Wormwood)部屋の視界は不明瞭なため、詳細不明。おそらくは、「ヨハネの黙示録」に登場する同名の星を踏まえたものか。

8:10第三の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、たいまつのように燃えている大きな星が、空から落ちてきた。そしてそれは、川の三分の一とその水源との上に落ちた。8:11この星の名は「苦よもぎ」と言い、水の三分の一が「苦よもぎ」のように苦くなった。水が苦くなったので、そのために多くの人が死んだ。

ヨハネの黙示録(口語訳)

空から降ってきて大地を滅ぼす星というと、プロジェクト・パラゴンハブに出てきた以下の記述が思い起こされるが、関連性は不明である。

アバドン (Abaddon)オールド・エウロプの真南、すなわち現在の北アフリカは、ダエーバイトの記述によれば緑豊かな熱帯林で、 “高き民” (Tall men) と呼ばれる人種が住んでいたとされています (南エウロプの “長き民” (Long men) とは対照的である点に留意) 。非常に広大であることを除けば、この地域についてはほぼ何も分かっていません。あるダエーバイトの学者による一つの記述には、商人の一行が “…アバドン、あの西方の鬱蒼たる森の中から出立して…” 城砦に到着したとあります。この地域は、空の王者 オルモス (Olmos) I世の治世と同時期に、恐らくはある種の天体の衝突によって荒廃したと考えられています。アウダパウパドポリスのセスが保存した文献の1つには、南方の空から星が落ち、その後9ヶ月近くにわたってアポリオナ王国を熱風と灰が覆ったという宮廷学者の記述があります。

プロジェクト・パラゴン

個人的には、SCP-4008に結び付けられる前は、こちらとの関連を想定していたのではないかと考えているが、あまり判然としない (「アバドン」という名前も黙示録関連であるし)。

そう、この部分は後にSCP-4008「苦蓬」に結び付けられた。というよりも、別の著者がSCP-3790の「ニガヨモギ」を部分的に参考にしてSCP-4008を書いたかたちだ。

最後に、その名前、「苦蓬」 (ニガヨモギ/Wormwood) について。これはSCP-3790「怪奇部門」 (コンセプトが大好きです) の項目を参照しており、またそれ自体も聖書の「ニガヨモギ」──世界の水の1/3を毒する星──への参照です。繋がりは少し弱いですが、究極的には土地を毒するものであるので、適合するように思われました。種子を見るのが苦痛であるというアイデアは、DoAのニガヨモギ (彼らはどうにかしてこの種の一つを手中に収めました) の扉が塞がれていることから来ています。Finally, there's the name itself, Wormwood. This is a reference to the entry in SCP-3790, the Department of Abnormalities (a concept that I love), which is itself a reference to the biblical Wormwood - a star that poisons a third of the worlds water. The connection there is a little loose, but ultimately it's a thing that poisons the land, so I felt like it fit. The idea for the seeds being painful to look at came from the fact that the shutter on the DoA door for Wormwood (they somehow managed to get their hands on one of these seeds) is sealed shut.

Mortos' Author Page

カクタスはこの作品を気に入って、後に自身の作品にもその設定を取り込んだ──SCP-4008中でサイトの壊滅を引き起こした種 (SCP-[#]-1) の大本が、SCP-6666であるというかたちで。

習: ええ、はい。一昨年の配属先でした。ニガヨモギは… そう、そもそもはダエーバイトの兵器でした。ダエーバイトも大洪水前時代の種族の1つですが、空の王者や ジャー・ジャーテリ (Zha Zhateri) とは違って — 彼らは血の魔術師でした。ダエーバイトは歴史上のある時点で、夜闇の子らが文明を丸ごと地中に引きずり込める兵器を所持していると知りました。ダエーワはこれに原始的な原爆相当の価値を見出し、自分たちの物にしようと海を渡って森へ… ふむ。もしかしたらこの森かもしれませんね?ビショップ: ちょうど同じことを考えていました。習: ともかく、ダエーワは10万の犠牲を払ってニガヨモギの種を入手しました。敵の陣地の地中に1粒でも埋めると、それは密かに成長しながら土壌を動かし、ある日地上の人々を呑み込んでしまうのです。ダエーワは更に独自の魔術で種を強化しました — 都市が地中に消えると、人々が即座にその存在を忘却してしまうようにね。1-𐤇 キャリアー: でもって、その種はあの大木から来た、と。習: そうだと思います。今はもう根っこ以外何も育っていませんが、多分この辺りの何処かにもっと種があると言っても過言ではないでしょう。

SCP-6666

そういう事情を踏まえると、現在は、SCP-3790第四階層・部屋2のニガヨモギは、SCP-4008内で登場する種子と見なしてよさそうである。

部屋3: ハルモニアの首飾り (Harmonia's Necklace)ギリシア神話の女神、ハルモニアーがカドモスと結婚する際に、ヘーパイストスから「祝いの品」として呪いのネックレスを受け取ってしまったという話がある。このネックレスは着用者に破滅を齎すもので、いくつかの伝説が知られている。

部屋4: プラカード無し明かりの無い部屋。覗いた人間は恐怖感を覚える。詳細不明。

第五階層

部屋1: 人の心 (The Heart of Man)吊り下げられたヒトの心臓。詳細不明。

部屋2: 工具の痕跡は、プラカードがてこの原理で強引に外されたことを示している。“ハロー”という言葉がプラカードのあるべき位置の金属に刻み込まれている。プラカードが溶接された部屋。詳細不明だが、同著者のSCP-3935「これこそが静かな狂気が作りし物」において「ハロー」という単語が重要なフレーズとして登場するので、これと関連する可能性がある。

部屋3: チャンネル55 (Channel 55)画面の見えないブラウン管テレビ。詳細不明。数字や正体が見えない点からSCP-055を思い起こすという意見もあるが、個人的にはむしろインターネット上で有名な架空のテレビ番組を模したホラー作品「Local58」を意識しているように思える。

部屋4: 生ける悪夢 (Living Nightmare)マットレスを被った何か。詳細不明。

第六階層

部屋1: ミスター・ちんもく (Mr. Silence)「W」の装飾がある箱。Tale"To Never Again See The Light Of Day"において、このオブジェクトを怪奇部門が取得するまでの話が描かれた。おそらくはファクトリーの錆に冒されているため封印されたか?

部屋2: 死者の椅子 (The Dead Man's Chair)椅子。実在する呪いの椅子、バズビーズチェアがモデルと推測される。

部屋3: エッツィ (Ötzi)氷で覆われ、中が見えない部屋。エッツイは呪いの都市伝説があるミイラで、別名「アイスマン」としても知られる。

なお、このエッツイをSCP-4812に登場する妖精の姫と結びつける意見もあるが、カクタス曰く両者は別物であるらしい。

部屋4: アポリオンの冠 (Apollyon's Crown)箱。アダム・エル・アセム、およびアポリオン王家が付けていた鉄冠が入っていると推測されるが……。

第七階層立入不可。夜闇の最後の王の死体があると推測される。

……こうして改めて見返すと、本当に呪いの品とかそんなのばっかりだ。そういうのを封じていくのが仕事だったのだろうなとよくわかる。

*扉が閉じる音*

*初版

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