以下は仮設設定です。今後の本投稿作品により、設定は変動する可能性があります。
都市概要
アウターオーサカ (通称: O/O) は、容積不明の小型宇宙内に唯一存在する都市国家です。この小型宇宙は人為的に形成されたものですが、拡張工事における事故により都市・空間双方が異常化しており、結果として非常に奇妙な様相を呈しています。
小型宇宙内は虚空のように何処までも延伸しているように観察され、明白な地面が存在しません。代わりに、本来の (拡張工事以前の) 都市の大きさに相当する円盤状の大地が空間上方に存在し、そこから多数の建造物が上下逆さに生えています。
都市中心部には穴があります──この穴の最上部には土地神ゲニウス・ロキを内包する第二太陽の塔と、それを取り囲む計12台の浄祓塔が配置されています。浄祓塔では狂った人造神のエネルギー暴走を抑え、余分出力や奇跡/呪縛を物質化して排出しており、黒く粘性の高い腐食性の液体を放出しています。ただし、これらの塔もまた逆さに生えているため、液体もまた自然に街の下方へと落下しており、そのため中心部は腐敗して大穴が生じています。
拡張工事以前の都市をベースとして、追加の建造物が──人為的にも、自発的にも──拡張を続けており、その結果として街は非常に入り組んだ形状になっています。上方は主に諸企業のオフィスビルから構成されており、周辺には商店街、工場地帯、アパートメントなどが乱雑に広がっています。
建造物間は無数の通路や道路、ケーブルや腸管で接続され、人、物流、情報の巨大なネットワークを形成しています。しかしながら、実際には地区ごとにある程度独立した文化や支配体制が存在しており、往来の大部分は放浪者、犯罪者、流通業者に限られる傾向にあります。
神格
財団異空間探査ドローンで撮影された「第二太陽の塔」。周辺を取り囲む浄拔塔からは、黒い汚液が滲み出している。
アウターオーサカには、当初小型宇宙を平定する土地神として、東弊重工製の恵比寿神の人工分霊が設置されました。分霊を炉心とする神格安定・発電装置が都市中心のタワーに配置され、しばらくの間は大きな問題も無く運用されていました。とはいえ、現地職員の間では、炉心周辺でいくつかの無害な超常現象の発生が報告されていました。
2030年代の神々廻重工による空間拡張工事の際、神格は暴走を来たし、「歴史」の項目にて後述する“奈落”事象が発生するに至りました。これにより、アウターオーサカは大規模な現実流動・空間変動を引き起こし、虚空に浮かぶ逆さの都市と化しました。この際、人造神格はヒルコに近い赤子神へと一種の“先祖返り”をしていることが確認されました。
以後、H.R.K.ヒ-ル-コはアウターオーサカ全域の異常化を促進し、更には跳躍路システムを侵食して後述する「呼び声」現象を引き起こし、多元宇宙全土との接続を生じさせました。結果として訪れた多種多様な難民・犯罪者・住人の信仰を浴びた神は歪な成長を続け、神とリンクしたアウターオーサカもまた拡大を続けています。
住人と“呼び声”
左図: アウターオーサカと他宇宙の関係性。右図: アウターオーサカとTL-1998のイメージ図。
アウターオーサカでは口語的に「呼び声」と称される異常現象により、様々な時代、場所、世界からの物品や知性体の招致が発生します。これは跳躍路管制システムを元に、神格が瞬間的/長期的/永続的なポータルを開いて行っているものと思われます。この結果として、O/Oはその起源宇宙であるTL-1998、基底宇宙、その他数多くの世界との交錯点として機能します。基底宇宙におけるアウターオーサカの発見は、こうした「呼び声」現象の一つであるSCP-████-JPの調査の中での出来事でした。
住人は主にTL-1998出身のヒトが多数派を占めますが、一方でそれ以外の住人も珍しくありません。いくつかの地区では、それ以外の出自・種族の住人が多数派を構成しています。この結果として、O/Oの管理はそれほど上手くいっていません──アウターオーサカ全体を統括する市政府は存在するものの、実際には有力企業や地方自治体の影響力がより強い傾向が見られます。
様々な住民が生活するうえで、O/Oに搭載されたAI翻訳機構は非常に重要な役割を示しています。しかしながら、狂った神格による侵食により翻訳機構も若干の影響を受けていると考えられます。
歴史
設立
2020年代後半、TL-1998の近畿州大阪府では人口増加が社会的課題となっていました。その理由となっていたのが、人口増加率の改善、東京事変後の関西都市圏の発達と人口流入、移民政策の加速、人類の範疇拡大による計上数増加などでした。
土地不足の解消として《層状都市圏》レイヤード・ポリスが構築されたものの、尚も新たな土地を求める風潮は加速していきました。これら問題と並行で、大阪府は企業誘致や交通改善の道もまた模索していました──そんな中で注目されたのが、人造小型宇宙でした。
当初、アウターオーサカは大阪府主導で構築された「研究開発都市」として始動しました。小型宇宙構築には東弊重工ほか多数の日系企業が参加し、人口、企業、交通の受け入れ先として多大な期待を浴びていました。積極的な企業誘致が行われるとともに、東京事変以後再注目されていた跳躍路のハブ宇宙としても大きな成功を収めました。
奈落事象
2030年代、都市の空間拡張工事が計画されました。プロジェクトは神々廻重工をはじめとする国内企業連盟により進められました。しかしながら、工事中の事故をきっかけに、俗に奈落事象と呼ばれる大規模災害が発生しました。
何らかの理由により土地神が暴走を来たしたことで、まず空間を取り巻いていた制限壁が失われ、空間内は事実上無限の広さを獲得。更に都市が丸ごと逆転したことで、突如発生した虚空に膨大な人数が呑み込まれることとなりました。
加えて都市中心部の浄化塔からはおびだたしい量の神聖廃棄物が流れ出し、中心部はそのまま腐り落ちて崩落。市政府は大打撃を受けることになります。またこの際、市政府に統括制御されていた跳躍路管制塔にも神格の侵食が及び、ポータル制御機能の喪失に至ります。
一連の事故の責任問題は曖昧です。神々廻重工の社員が、現地住民との不倫の結果生まれた子供を神格炉で秘密裏に処理しようとしたことで神格の暴走が起きたという主張が存在するものの、当の社員が死亡していることにより、これは証拠が無い都市伝説レベルの主張に留まっています。また、工事以前から鎮守塔では超常現象が多発していたことから、神々廻重工側はそもそもの最初の構築時に欠陥があった旨を主張しています。
独立
ポータル制御機能の喪失により、都市は一時期TL-1998との接続を失っていました。この間、同都市は完全に消滅したものと考えられていました。しかしながら後年の再接続により、都市が非常に異様な変化を遂げながらも、依然として存続していたことが発覚しました。
大阪府は再度都市の編入を試みたものの、都市側は自らを独立都市国家「アウターオーサカ」であると称し、大阪府、日本国、ひいてはTL-1998全体からの独立を主張しました。この際既に、現状のアウターオーサカほぼそのままの状況となっていたことが記録に残されています。
以後、アウターオーサカは多元宇宙の広域と接続した独立都市国家として特異な地位を得ています。特に財団、GOC、諸政府の干渉から無縁なこの都市は、それら組織の干渉を嫌う各種企業・団体・人物にとっては極めて魅力的に映るでしょう。
用語集
- 脳樞クレイニア
- アウターオーサカ中央政庁。企業連の傀儡政府であり、その下に警察機関O2PDや各種省庁を従える。議会には右脳ヨウナオ、左脳ヅオナオ、小脳シャオナオの3派閥が存在し、それぞれが各企業から支援を受けている。 (Dr_Kasugai)
- O2PD
- アウターオーサカ市警。悪鬼羅刹が住まうこの都市の市民を守り抜く防壁であるものの、実際には企業私兵や自警団の影響で活動力は弱く、汚職も蔓延している。ただし公安警察は他の部署とは一線を画す。危険な状況下では無警告での銃の発砲が許可される。 (Dr_Kasugai)
- 六頭体制ヘキサド
- アウターオーサカを表裏から支配する六大企業。東弊重工、ニッソ医機、Yakushi、理外研、Ttt社、神々廻重工からなる。奈落事象の際に都市を守るべく奮闘した企業たちだが、一方で本来の企業では考えられないような非道行為にも手を染める。現在はクレイニアの背後で権益闘争を繰り広げているものの、同時にこの都市国家を維持するためにあらゆるかたちで手を尽くす功労者でもある。 (Dr_Kasugai)
- 奈落事象
- 神々廻重工の空間拡張工事をきっかけにゲニウス・ロキのエビスが“先祖返り”し、ヒルコ化したことで起きた一連の破局的災害。空間の異常拡張、地面の逆転、区画崩落、神聖汚泥の流出と都市中央部の腐敗、跳躍路管制塔の汚染に伴うTL-1998からの断絶など。 (Dr_Kasugai)
- H.R.K.
- 奈落事象に伴い再誕生したヒルコ。アウターオーサカの支配者であると同時に、この街自体とも同期しており、神の成長とともに街も拡大していく。街自体が神の仮想的な肉体であるとも表現できる。企業連やクレイニアはH.R.K.がアウターオーサカの維持に絶対必須であることを把握し、その安定と成長を支えるために影で苦労を積み重ねている。(Dr_Kasugai)
- 第二太陽の塔
- O/O中心の腐敗地帯に座す、巨大な塔。ゲニウス・ロキの炉心が置かれており、街のエネルギー供給拠点・奇跡的結節点としても重要である。元は普通の神格発電施設であったが、奈落事象においてこのような姿に変貌した (設定変えるかも)。その原因は不明であるが、大阪万博の“混沌”の象徴性や、ヒルコが太陽神属性であることなどが関わっていると考えられる。(Dr_Kasugai)
- 浄拔塔
- アウターオーサカ各地に設置されている浄化装置。H.R.K.の生み出す余剰な奇跡エネルギー放射や瘴気を比較的“安全”なかたちに中和し、黒色の神聖汚泥として排出する。しかしそれでも神聖汚泥ホーリータイドは強烈な腐食性を有し、極めて危険であることには変わりない。
奈落事象の際には神聖汚泥が大量発生したうえに天地が逆転していたため、市街中央部は重篤な汚染を受け、崩落した。後に企業連により各地に浄拔塔が設置され、街中を通るパイプを経て市街最下層から虚空へ汚泥を放出している。(Dr_Kasugai)
- アウトポスト-728
- 基底世界の財団がアウターオーサカの存在に勘付き、設立した前哨拠点施設。アウターオーサカに通じるポータルがある堺のオフィスビルと、“出口”があるアウターオーサカの廃墟から成る。(Dr_Kasugai)
- 裏難波ウランバーナ (ナンバ地区)
- O/O首都。神格炉付近の中心部が奈落事象に伴い腐り落ちたため、市政府は近郊のナンバ地区に拠点を移動させた。ウランバーナはウラナンバの捩りであるとともに、「逆さ吊り」を意味するサンスクリット語でもある。転じて、ウランバーナは地獄界・餓鬼界・畜生界に堕ちた亡者の苦しみを表し、更に転じて彼らの苦しみを和らげる慰霊祭=お盆のことも指す。そういうわけで、冥界に隣接する逆さの都市たるアウターオーサカにはぴったりのワードかもしれない。あとウランバートルっぽくてアジアン風味が増える。(Dr_Kasugai)
- サカイ地区
- “堺”、“境”、すなわち“境界”。拡張跳躍路を用いた港が位置するこの地区は特にポータルが多く、他世界からの移民が多数存在する。これら移民街は群を抜いて治安が悪く、『ニューロマンサー』のニンセイめいた有様と化している。アウターオーサカのポータルは様々な場所に通じているが、特に大阪府堺にポータルが開きやすい点は特筆すべきである。基底財団がアウターオーサカに気づいたのも堺でのことだ。アウターオーサカは黄泉に近しい空間であり、黄泉比良坂 (さか、すなわち境) を超えて黄泉に行くように、堺市がアウターオーサカと現世の間の境となっているらしい。(Dr_Kasugai)
- ピザハック
- ピザハットの邪悪なパロディである「ピザハック」は、ややサイバーな全自動ピザチェーンである。無人権アンドロイドが作った合成素材ピザを、AIドローンが客のもとへとお届けする。途中でドローンが撃墜されたり、合成素材に妙なアレルギー反応を示したとしても、彼らが返金に応じることはない。ピザハックは時空間異常と融合しており、全ての店舗/拠点が“根”で繋がっているという。奥の奥には半人半精デミフェアリーのアナーキー犯罪者“妖精シーの彼女シー” (C/C) が存在し、配達ドローンや宣伝エアロビークル、発信器付き宅配Boxやトッピングナノマシンを介してアウターオーサカ全土を監視している。(Dr_Kasugai)
- 衛星地区サテライト・ディストリクト
- 文字通りアウターオーサカ周辺を浮遊する隔離都市区域。多くは企業連の実験場だ。(Dr_Kasugai)
- 魚肉マグロ
- アウターオーサカ内の飲食店で提供されている食肉の総称。ややピンク色をした柔らかい赤身肉。住民のほとんどは何の肉か知らないが特に気にせず消費している。"鮮魚列車からの直輸入"、"オーサカデスワームの肉"、"廃棄された食用粘土"など様々な噂が飛び交う。その正体はとある隔離次元から迷い込んだ肉電車を1人の住人が完全に家畜化したもの。原種と比較して微弱な毒しか含有しておらず、他生物に対する敵意がないなど徹底的な品種改良が施されている。(Hoojiro_san)
妄言
《霊柩者》デッドレッカー
「死体売りやからって心まで死んだらおしまいやろうが」 — ムラカミ・イチゼン、ヨドガワ・デッドレッカー古参
アウターオーサカで活動する死体回収/売買業者。抗争と野垂れ死にが多元宇宙イチ多いこの都市で、最低限の衛生が保てているのは彼らのおかげである。
形を保った遺体を強奪し、変態、人食種、ネクロマンサー、カルティスト、闇医者、あるいは遺体を取り戻そうとする遺族にまで、あらゆる相手に売りつける。
しばしば侮蔑される彼らだが、その分独自の武装や示威行動もとる。武装デコトラを乗り回すデコトラ・デッドレッカーが有名。
— Dr_Kasugai
浄祓塔(じょうばつとう)がそこら中の街区に突き刺さるように生えていて、完全自動化された機械式祈祷設備が空中や地下に巡るありとあらゆる致死性危険因子を礼拝パワーで中和しまくりなんとか平均寿命が60歳以下になる程度に抑えているんですね
なおそういうのとは特に関係なく殺したり殺されたりで死にまくるので平均寿命とかいう甘えた指標は存在しない。クソ治安都市に統計なんてねえよ
— islandsmaster
もののけ姫に出てくるこだまが肉ナイズされたような奴がいっぱい生まれては死んでですね。水子の神が見る夢なので生まれてはそこらへんで遊んで脆いし寿命も殆どないしすぐ死ぬんですが、これを能動的に殺すとめちゃくちゃ罰が当たる 具体的には街区が崩落して地中深くに埋もれて消化されて死ぬ
外側がペラい肉でできてるだけで中身は空なうえ、軽率に屋根から飛び降りたり階段を滑ったり柵に首挟んだりして死んでる。そもそも命があるのかも謎だが殺した判定されると自分が確実に死ぬのでみんな恐れている
死んだあとのちょっとしかない肉塊には神は興味がないし、O/Oにおける非常に希少な汚染されていないタンパク質なので主に変異生物や貧民にありがたがられている。
別におぞましい存在かというとそんなこともなく、単に自分で動いて遊ぶというだけの自然現象。個体により微妙に意志があったりなかったりするが、大切に扱っても数十日もすれば死んでしまう。これらを敬う人々は"胎盘"にできるだけ近い浄祓塔に上り、遺体を親に還そうとするという。
— islandsmaster
グーッモーニンアンダーオーサカ!昨日の死亡者数クイズの結果は手堅く30人!その内10人はギャング抗争の続く新キタからだ!巻き込まれたヤクシの社員も1人死んじまったから取り締まりが厳しくなるぞ!RSS(理外研警備保障)は一応"身内"殺しを絶対に許さないからな!
— Tark_IOL
More: Twitter #アウターオーサカ
O/Oとは結局何なのか
アウターオーサカは1998カノンのスピンオフ的な存在です。ここでは1998特有のサイバーパンク×宗教をエッセンスに取り入れつつも、悪徳と犯罪を中核とする、より治安が悪い環境を提供します。言うなれば、これは地獄の前進です。
同時に、アウターオーサカはJPにおけるユーテックのような異次元都市を構築する試みでもあります。O/Oは1998宇宙を出自としながらも、多元宇宙接続によって基底宇宙とも繋がっており、様々な要注意団体・人物の活動拠点として機能します。
アウターオーサカは一つのロケーションであり、サイバーパンクアクションの舞台として利用したり、あるいは様々なGoI/PoI/アノマリーのバックグラウンド設定に紐つけることが可能です。
議論場所
1998年運営会議場にそのうち#アウターオーサカのチャンネルを建てたい……
その他諸々
- 不完全と悪の祝福 — アウターオーサカは不完全に生まれたヒルコの叫びから誕生した、全多元宇宙の不完全な者たちを受け入れ祝福する都市であり、不完全なものをかき集めて完全になろうとする意思の集合体です。O/O自体がヒルコの化身としての側面を持っており、彼の不完全な太陽神としてのかたちを、住民たちのネオンサインが補っています。
アウターオーサカでは不完全、欲望、悪といった人類の負の側面が肯定されます。それこそが人類を先へと進ませる原動力であり、混沌と犯罪の中で希望を掴む不完全な者たちをヒルコは祝福します。
CCとは限らないが、大分イメージに近い画像集。
- 発端
- この辺。元々Tark_IOLさんがサイバーパンク地下都市と化した大阪府のツリーを出してきて、そこに鎹が乗っかって小型宇宙に存在する上下逆さの街というビジュアルイメージ/設定を付け足した。これ発端Tarkさんじゃん!
- 参考作品
- 血界戦線 (Dr_Kasugai)
- ニンジャスレイヤー (Dr_Kasugai)
- Project Moon (EIAN)
- ブラックロッド (islands)
- Fate/requiem (Hoojiro_san)