本日の死者数: 13名 サカイ地区で謎の爆発 今日の神罰予報: 牡牛座のアナタは要注意! 地面に貪り喰われるかも!? 本日の死者数: 15名
アウターオーサカへようこそ
常識の外側の街
アウターオーサカ・ポータルサイトへようこそ! 本サイトでは市政府による厳選された情報をお伝えいたします。ぶらりと他世界から観光に来られた方々のガイドにも、あるいは既に住民である皆様がこの広大不可思議な都市の新たな一面を知るのにもお役に立つことでしょう。
この街の成り立ち、我々の神、市民の誇る大企業や特徴的な各地区について、詳しく説明いたします。このサイトを電脳ウィンドウの片隅に浮かべていれば、ニュービーだってまたたく間に古参のツアーガイドに早変わり!
*未承認の電脳移植手術インプラント・オペは極めて危険です。市民の皆様は必ず政府指定の医療機関で施術を受けるようにしてください。
歴史
前史: 商業区時代
今でこそ多元宇宙に浮かぶ独立都市国家として確固たる立場を手に入れているアウターオーサカですが、当初はとある宇宙の小さな商業都市「新堺市」として始まりました。
ユニバース LK-998──通称《先進世界》フロントライン。1998年に彼の悪しきヴェール・ポリシーが撤廃され、これまで秘匿されていたオカルトテクノロジーが大きく花開いた宇宙において、この都市は芽吹きを迎えました。
当時、LK-998の大阪府は、人口増大を大きな課題としていました。これは合計特殊出生率の改善、東京地方での大規模現実崩壊災害と道州制導入による関西都市圏の発達、移民政策の加速、人類の定義拡大による人口計上数の増加などが組み合わさった結果の産物でした。
土地や雇用の大きな不足に対処すべく、大阪府は新たな都市計画を立案する必要に迫られていました。そんな中注目を浴びたのが、小型宇宙ポケットユニバースでした。海外ではスリー・ポートランドやユーテック、あるいは国内では“穴蔵”や新八大路などの例が挙げられる旧来の超常自由港は、基底現実に“重なって”存在する独自の箱庭空間を利用していました。LK-998暦の2000年代に発達しだした時空間工学は、異常空間化した東京都の調査に伴い更なる進展を見せており、この頃には既に国内民間企業のみでも1から人工的な小型宇宙を作成できる程度の技術力を手にしていました。
また、当時「跳躍路」に再注目されていたことも、小型宇宙採用の一因となりました。跳躍路とは、地点Aと地点Bの間を移動する際、一度小型宇宙を介することで迅速な移動を可能とする交通技術です。2000年代〜2010年代前半にかけて推進されていた跳躍路技術は、後により先進的な次元路技術が台頭するとその立場を追われていくようになりましたが、東京都での致命的な時空間断裂事故により、再び「枯れた技術」である跳躍路が再注目を浴びるようになっていました。
大阪府の目論見は、主に以下の3つでした。
- 増大しゆく大阪人口の受け入れ先の構築。
- 企業誘致による雇用創出と経済活性化。
- 跳躍路のハブ宇宙としての交通強化。
LK-998暦 2020年代後半、大阪府は民間の企業群と提携して新堺市の建設を開始し、これを完成させました。この際、同市の中心には東弊重工の神格発電装置を備えたタワーが配置されました。街の現実性調整とエネルギー発生機構としての役割を担う土地神ゲニウス・ロキとして、商業神であるエビスが選択され、西宮神社から“株分け”した分霊が炉心に導入されました。
この目論見は成功し、新堺市は大きく栄えることとなりました。特に、跳躍路管制塔が置かれたサカイ地区は、ハブ跳躍港として急速にLK-998内の新たな交通の要衝となりつつありました。
奈落事象ビッグフォールとH.R.K.の誕生
2030年代、商業特区の更なる発展のため、大阪府は小型宇宙の空間拡張工事を依頼しました。神々廻重工をはじめとする複数の国内企業が再集結し、プロジェクトは本格的に始動することとなりました。しかし、事態は思いもよらない方向へ転がり落ちていきます。
──奈落事象ビッグフォールです。
天地反転、世界隔離 奈落災害の現況
大阪府新堺市で昨日から始まった大災害、通称「奈落災害」の影響は未だ続いている。確認されているだけでも死者140名、行方不明210名の被害が出ているが、実態はこれを遥かに凌ぐものだろう。機能不全状態の政府広報局に変わって、我々恋昏崎ニュースエージェンシーが現時点での災害の状況をここに集約する。
壁の消失
昨日の午前6時頃から、新堺市の辺縁地帯各所で相次いで“壁”の喪失が報告され始めた。通常小型宇宙に存在する空間限界が消失し、何らの大地も存在しない虚空へと通じるようになったとのことだ。この際、何人かの住民が虚空領域へと落下した模様である。
後日我社も空間探査ドローンで調査を試みたものの、延々と闇が続くのみであり、空間限界は確認できなかった。空間限界の曖昧化は、既にいくつかの既成小型宇宙で報告されているが、現代の人造小型宇宙でこのような事態が発生したという報告は未だ無い。これが単に小型宇宙の異常な急拡大に伴うものなのか、それとも実際に宇宙の垣根が崩壊してネバーミントと接触したのかは不明である。
天地反転
壁の喪失から11分後、新堺市全体に巨大な揺れが観測された。震源は街中央部の神格塔であり、揺れは塔に近いほど大きいものであったことが住人の証言から判明している。ほどなくして塔からは黒い高粘性の液体が流出し、周辺を飲み込み始めた。この液体は強い腐食性を持ち、相当数の住民が逃げ遅れて溶解されたものと考えられる。
その後間もなくして、突如新堺市の地盤は傾き始めた。ただし、この出来事については地盤が傾いたというよりも、空間そのものが“傾いて”いた可能性がある。やがて地盤はその上の建造物ごと反転し、当時屋外にいたほぼすべての住民・車両、複数の建造物、そして腐食液が奈落へと落ちていった。これが本災害で最大級の被害を齎したと考えられている。
世界隔離
災害の影響は跳躍路管制塔にまで及び、新堺市から基底世界に繋がるすべてのポータルが切断された。この結果として、現在新堺市は基底世界と一切の連絡や往来が不可能になっており、外部からの救援も見込めない。こちらからアクセスが困難な以上、向こうからのアクセスもまた難しいだろう。
跳躍路管制塔は自然発生した肉塊に包まれ繭状の構造体となっており、立ち入りできない状況にある。繭に穴を開けて侵入する試みは、穴の即座の閉塞と担当者の憤死に終わった。内部への直接テレポートの道も模索されたものの、現状彼らは帰ってきておらず、侵入のたびに塔の上部にヒトの手足に似た突起が増殖していることから、失敗したと考えられている。突破の試みはなおも続いているものの、現状復旧の目途は立っていない。
原因追求
震源が神格塔であることから、今次災害はおそらく神格の暴走に伴う破局的な現実再構築であると考えられる。1998年のポーランドや、2015年のスペインにおける神聖災害が類例として挙げられるものの、こうして小型宇宙全体が作り直された事例は稀有である。
空間拡張工事において神格塔内の調整作業等が進んでいたため、災害発生要因と密接に関連している可能性がある。関連企業や政府への責任追及は今後進められるべきであろう。とはいえ、現在神格塔付近は深刻な神的汚染状態にあるため、詳細な調査は困難である。近日中の解明を期待したい──この街がその頃にまだ残っていればの話になるが。
── 恋昏崎ニュースエージェンシー 新堺支局
この災害 (今で言う奈落事象) により、新堺市は大打撃を受けました。当時、特に被害の大きかった中央部に拠点を構えていた市政府は機能不全に陥り、広範な場面で民間資産との連携が必要となりました。
しかし、それでも。市民たちは生きて、再び前を向き直そうとしていました。
010ニホンからO/Oへ──アウターオーサカの現在いま
間もなくして始まった奈落事象後の復興活動は、多数の人物・組織が手を取り合うかたちで進められました。その中でも、特に大きなはたらきをした企業グループがあります。NISSO、東弊、Yakushi、理外研、Ttt、そして神々廻の六大グループは、各々の得意分野で破滅的状況に陥った街を強力に支援していきました。
食糧供給問題への対応としてNISSOグループの人工培養ミートが配給され、神格の影響を人類と共存可能なレベルに抑えるべく東弊、理外研、神々廻といった関係各所が浄祓塔を開発し、Tttが新たに誕生した神格と交流し、YakushiやNISSOの医療ビークルが始終飛び交い……そうして、やがて彼らビッグシックスは、敬意をこめて市民からこう呼ばれるようになりました──《六頭体制》ヘキサドと。
破局的状態から立ち上がった市政府は、彼ら《六頭体制》ヘキサドと協力し、新生した土地神であるH.R.K.と共存する道を選びました。そうして生まれた新政権こそ、我々アウターオーサカ政府の始まりだったのです。H.R.K.が街を呼ぶ際に使った名称"O/O"から、この街をアウターオーサカと呼ぶことになりました。そうです、"O/O"という単語はアウターオーサカという名前寄りも先にあったのです。ぜひとも豆知識として披露してやりましょう!
やがてH.R.K.の信仰獲得と街の発展がリンクしていることが判明すると、市政府は手っ取り早く両方を実現できる手段を選びました。我らが舌を潤す蜜、O/O圓イェンです! 神聖経済学1を下地に構築された新通貨である圓イェンは、H.R.K.への信仰を貨幣経済として表したものです──つまり、経済活動がそのまま信仰となり、その逆もまた然りなのです。これにより、アウターオーサカは経済発展と信仰拡大の決定的好循環を実現するに至ったのです。
また、この頃、街の各所で奇妙な来訪者が目撃されるようになりました。彼らはここではないどこかからやって来たのだと語り、しばしば“声”に呼ばれたのだと証言しました。次第に、街の各所に一時的ないしは半永続的な他世界ポータルが発生していることが判明しました──特にかつて跳躍港であったサカイ地区の周辺においては、来訪者・ポータルの数は顕著に増加していきました。
また同時期に、跳躍路管制塔を覆っていた“繭”が崩壊し、内部への侵入が可能となりました。最近の事象との関連性を疑った市政府は調査団を派遣し、その結果として、「管制塔内には肉と機械が融合した独自の生態系が形成されている」こと、「管理コンピュータのAIは変更され、H.R.K.の支配下に置かれている」ことが判明しました。AIとの対話を通じて、管制塔は現在神の御意思で利用されているとの結論が出されました。
こうしたポータル開通を背景に、得られた信仰エネルギーの一部は、出自世界であるLK-998への帰還のために投資されるようになりました。やがて、断絶から10年ほど経った頃、ふとしたときに帰還は達成されたのです。
とうとう元の世界との接続を回復したアウターオーサカでしたが、無情にも彼らの反応は冷たいものでした。日本国政府は街の自治や再編入に難色を示し、またSCP財団や国際連合 世界オカルト連合 (UNGOC) は、国際フリーポート法に基づいて、O/Oの政府体制や経済活動に対して激しく非難しました。こうした情勢のため、次第に両陣営の対立は明確化していきました。
やがて、アウターオーサカ政府は国際フリーポート法がLK-998内でのみ有効なことに着目し、同宇宙からの独立を宣言しました。この際、日本政府からの独立も同時に宣言されました。これに伴い、アウターオーサカは如何なる宇宙や国家にも属さない、独立都市国家としての地位を確立したのです。
その後、LK-998のプロメテウスグループとヘキサドとの間で、大規模戦闘が発生するに至りました。これが所謂「大阪都抗争」の始まりであったと見なされています。最終的に、プロメテウス勢力はH.R.K.の威光によって押し返されたものの、O/O各地に大きな被害が残ることとなりました。特に、自己修復機能が過剰化したサカイでは、土地の複雑化が大きく進行することとなりました。
──そして、今へと繋がります。
私は独立前夜に生まれ、奈落の時代に育ち、都抗争の使命を負って戦い、やがてはこうしてH.R.K.の思し召しの下に、この街の市長に当選するに至りました。
街の変遷のすべてをこの目で見て、街の動乱のすべてを耳で聞き、街の空気を肌で感じてきた者として、私は自分自身こそが誇り高きアウターオーサカ市民を代表する一人であると断言できます。
私の言葉はアウターオーサカの言葉です。皆さんの御言葉を、そしてH.R.K.の聖言を私が変わって言明いたします。そして、新たにこの街を訪れる皆様へ、O/Oを代表してある言葉を送りましょう。
ようこそ、アウターオーサカへ。世界の狭間、神の御座す場所へ。そして常識の外側にある街へ。
我々は如何なる者をも歓迎いたします。この街でなら、この世を超えた何かを見いだせるでしょう。貴方にO/Oの祝福あれ!
— アウターオーサカ市長 ミコ・カミカセ 第一人格
市長紹介: ミコ・カミカセ
年齢、性別不詳。「あらゆる声の仲介者」。経済成長と平和の実現を公約に掲げる。24の人格ごとに異なる声を聞くことができ、そのうち一つはH.R.K.に直通しているとされる。
街の主神
土地神ゲニウス・ロキ H.R.K.
アウターオーサカは、H.R.K.による統治の下に栄える街です。H.R.K.は日本神話のヒルコをベースとした神2であり、この都市国家と空間の土地神ゲニウス・ロキとして、その安定性を支えています。元々、土地神ゲニウス・ロキとしての役割はエビスが担っていたものの、奈落事象において、エビスは同神格と関係のあるヒルコへと変異を起こしたのです。
ヒルコは記紀神話の国産みの章において、イザナギ・イザナミが始めて産み落とした神ですが、不具の子であったために、葦船に乗せて海へと流されてしまいます。つまりは、“穢れ”として他界≒あの世送りにされてしまった神なのです。後に、海に流されたヒルコの話は、漂着物信仰であるエビスと融合することになります。
一方で、この後に生まれるヒルメ──すなわち天照大神の存在から、ヒルコの真名は昼子/日子であり、本来の姿は太陽神だったのではないかとする説もあります。この理論については疑義もあるものの、少なくともH.R.K.に関しては太陽神としての属性を継承している模様です3。
奈落事象ビッグフォールは、神の変異に付随して起きた副次的現象であったと目されているものの、具体的に何が変異を引き起こしたのかについては判然としていません。しかしながら、土地神ゲニウス・ロキのヒルコ化に伴い、商業特区の在する空間は他界化し、反転を引き起こしました4。
またこの際に、アウターオーサカそれ自体がH.R.K.の依代となり、仮想的な肉体としての権能を帯びました。以後、アウターオーサカにおける住人 (信徒) の増加、そしてO/O圓に基づく経済活動の活性化は、H.R.K.の成長と連動するようになっています。すなわち、街の成長がそのまま神の成長となり、それによって更に街は発展するのです。この独自の循環システムによって、アウターオーサカは常に栄華を誇り続けています。虚空の闇に浮かび、住民の明かりで輝き続けるこの街は、まさしく新たに産声を上げる太陽のように見えることでしょう。
第二太陽の塔と浄祓塔
祭りは信仰に繋がる。神霊が降臨する依代を中心に、人が集まる。そこで人が何をするか。自分自身を消費する。お金を使うという事だけではない。自分を消費する時、人間は最も人間らしい。だから『祭りの広場』の真ん中には神霊の依代がなければならない。 — 岡本太郎
アウターオーサカの中心部には、巨大なモニュメントにして、神格発電塔としての機能を有する「第二太陽の塔」が存在します。これは商業特区の設立時、都市デザイナーの如月 和寿きさらぎ かずとしにより提案されたものであり、プロジェクト発足当時の大阪万博の盛り上がりと“大大阪”グレート・オーサカ時代への期待、そして神霊の依代としても都合の良いデザインであったことから、実現することとなりました。
完成時、第二太陽の塔の地下には建造予定図に無い空間が発見されました──この空間からは、1970年の公開以来失われていたはずの『地底の太陽』が発見され、当時の報道を大きく賑わせることとなりました。空間の設計と『地底の太陽』の持ち込みがどのようにして行われたかは現在まで不明ですが、その後間もなくして如月氏が失踪したこともあり、詳細は不明なままです。
第二太陽の塔の内部には、本来の『生命の樹』展示ではなく、神格維持・発電施設が設置されました。“炉心”部にはエビスといくつかの国津神──猿田毘古大神サルタヒコノオオカミや天鈿女命アメノウズメ──が配神としてともに祀られ、小型宇宙の平定と生存環境の維持、現実性やEVE流の調整、信仰心ベースの発電などを担いました。
しかしながら、奈落事象において、これら機能は暴走し、都市全体の性質を大きく変化させることとなりました。間もなくして塔の副産エネルギー処理機構はヒルコ化の負荷に耐えきれなくなり、タンクが破裂。物質化凝縮処理された呪いの爆発的流出を招くとともに、処理オーバーした厄災の影響が都市全体に及びました。塔から一斉に溢れ出した神聖汚泥ホーリータイドは津波のように都市中枢を侵食した後、直後発生した空間全体の反転に伴いそれらの尽くを崩落せしめました。
後に、企業連は厄災の影響を抑え込むために、自動化された祈祷設備である浄祓塔を開発し、街の各所に設置しました。これら浄祓塔は第二太陽の塔の付近にも12本建造され、市民の生活と神との共存を確約するものとなりました。黒色の腐食性液体として物質化凝縮処理された不浄は、街の各所をめぐるパイプを通り、やがては虚空へと放出されています。
住人とH.R.K.
アウターオーサカの人口構成は非常に複雑です。住民の半数以上はフロントラインの日本国出身ですが、近畿州のみならず、関東からの移民も含まれます。また、種族構成もHomo sapiensに限らず、デヴィルやロボトミアン、ドロガニアンといった種族も暮らしています。
この街は種族のサラダボウルであるのみならず、宇宙のサラダボウルでもあります。数多の宇宙と接続し、多数の世界からの移民が生活するO/Oでは、あなたの目の前にいる青年が何者なのかは些細な問題ではないのです……結局のところ、誰しもが素晴らしきアウターオーサカ市民なのですから!
さて、外からこの街に来た方であれば、このフレーズを聞いたおぼえのある方も多いでしょう──「O/Oを知ってるか」。俗に「呼び声」とも称されるクスフネ事象は、H.R.K.が他世界から新たな住民を呼び寄せる現象のことです。
H.R.K.は遍く世界に目を持ち、O/Oに相応しい人々を探しておられます。もしあなたがH.R.K.の目に適った方なのであれば、ぜひとも我らが脳幹省までお越しください! あなたには神の御意思を知ることができる力があるかもしれません! 神経官僚ニューロジェントへの募集はこちらから承っております。
代表的組織
アウターオーサカ政府
アウターオーサカの事実上の「臓腑」として機能する、主要な政治主体です。奈落事象で壊滅した旧特区自治体に代わり、街の再興に尽力した企業連合を主体に形成された新政府は、その出自上非常に民間と近しい距離感で活動しています。
内閣にあたる役割の「脳枢」クレイニアの下には、それぞれ立法府、司法府、行政府にあたる「右脳」ウオナオ「左脳」ヅオナオ「小脳」シャオナオが置かれています5。そして「脳枢」クレイニアの上には、我らが神たるH.R.K.が御座せられます! 特に「小脳」シャオナオ傘下の脳幹省は神経官僚ニューロジェントの大多数が所属する政府の神祓部門であり、方針決定に大きな影響力を保有しています。
「右脳」ウオナオの監督するアウターオーサカ議会は、効率を重視して一院制が採られています。現在の与党である大阪暁会議6は、我らが市長 ミコ・カミカセの所属政党でもあります。
アウターオーサカ市警
アウターオーサカの治安維持機構であるアウターオーサカ市警 (O2PD) は、市民の皆様を守るため日々尽力する、何よりも頼もしい人々です! 呪術殺人、武装強盗、電脳クラック……ありとあらゆる犯罪に対し、アウターオーサカ市警は毅然とした態度で立ち向かいます。犯罪者を見つけたらすぐに彼らを呼んでください! お馴染みのサイレンとともに、法定速度準拠でエアロビークルが駆けつけます。通報料は地区にもよりますが、都心部であるナンバシティでは家計にやさしい5,000 圓から出動可能です。
NISSO
医療・食品事業を中心に活躍するNISSOグループは、最先端のバイオ技術で人々の「生」を支えています。特に、奈落事象で食料供給体制が一時崩壊し、都市全体に呪いが蔓延した際には、NISSOは生き残っていたすべての工場をフル稼働させて人工培養ミートや工場野菜を大量増産するとともに、持ちうる医療資材を大規模投入して都市の維持に尽力しました。
奈落事象では土地神ゲニウス・ロキの供給する水・食料が羊水や肉塊に変異したものの、後にNISSOはこれらを人類が摂取可能なかたちへと再加工する技術を構築し、その結果として彼らは今でも胃臓省の最有力パートナーであり続けています。
NISSOは高度な医療技術を保有し、多数の病院や医療傭兵サービスを運営しています──分野の重複するYakushiとは、日常的に協力と対立を繰り返しつつ、明日へと向けて邁進しています。
東弊
重工業や神聖工学を中心に活躍する東弊グループは、代々継承されてきた伝統技術と職人意識に最新の知見をブレンドし、この街の「礎」を築きあげています。あなたが日頃使っているモノレールも、中央に燦然と輝く塔も、この街のあらゆる工業的産物には、隅っこに東弊の名前が刻まれた銘版があるでしょう。
ヨドガワには大規模な工業地帯を抱えており、膨大な従業員を養っています。街の土地、信仰、労働環境すべての基盤として、東弊グループの明かりはいつまでも輝くことでしょう。
Yakushi
Yakushiグループは、薬や医療を中心に、食品、化粧や物流など、市民の生活を広域で支えています。Yakushiは同盟・縁故・傘下関係にある複数企業の連合体であり、企業ごとにある程度の独自性を有しています。協力と競争が共存する彼らは、O/Oの呪術資本主義にもぴったりな集団でしょう。
NISSOとは独特な関係にあり、互いに重複する分野も多い一方で、片方にしかできない事業や技術も数多く存在します──例として、YakushiはH.R.K.の御診断を担っており、この分野では大きなアドバンテージと……そして責任という名の錨を背負っています。
理外研
時は大正。蒐集院などの旧呪術組織を母体に勃興した理外学研究所は、神妖、霊魂、呪術、陰陽道、そして道理を超えるあらゆるものを解明し、国の発展に役立てようとする機関でした。その血統を継承する理外研グループは、かつての遺産、そして新たな知見をもとに、今日も様々な研究開発に取り組んでいます。
特に、旧商業特区時代から市政府との関係が根強かった理外研グループは、今でも政府用の諸設備の提供に携わっています──市庁舎のコンピュータにも、もちろん彼らの五芒星が刻まれていますよ!
都市政府、各種企業、そしていくつかの他世界組織などにも顔が効く存在として、理外研はしばしば組織間の調停・利害調整を主導し、企業連盟の議長を担います。彼らはアウターオーサカの「平」を支える立役者なのです。
Ttt
古今東西・森羅万象の神々の企業集団であるトリスメギストス・トランスレーション&トランスポーテーション (Ttt) は、もちろんここアウターオーサカでも活動しています。とはいえ、事情はやや特殊です。
普段この企業の「顔役」として活動しているヘルメス、トート両名は、H.R.K.の勅令によりアウターオーサカ全域で指名手配されており、立ち入りできません。加えて錬金術師トリスメギストスも多忙につきLK-998を離れられないため、彼ら3名の代役として、複合神であるヘルメス・トリスメギストスが社長 兼 副社長 兼 会計として降臨しています。
ヘルメス・トリスメギストスとアウターオーサカ政府間の交渉により、Tttにはこの街に現れる諸神の統括が委任されています。また、都市の翻訳機能やH.R.K.の聖言の解釈支援も彼らの担当であり、Tttはあらゆる存在が行き交うこの街を影で支えています。
神々廻
街の各種インフラストラクチャーの建築・維持に携わる神々廻グループは、「神の廻る街」造りをスローガンに活動しています。呪術や風水と時空間工学を組み合わせる彼らの手法は、特に手掛けた物件における人身御供に象徴されます──もちろん9割は単なる人形を扱う儀礼的なものですよ!
また、インフラストラクチャーの観点から、神々廻は街全体の従来インターネット・電脳拡張ネットワークの維持管理も担っています。並のハッカーごときでは、彼らの堅牢なファイアウォールを破ることは難しいでしょう。
地区
ナンバ
逆さに林立する超高層ビル群。刻々と切り替わるホログラム広告。闇夜に浮かび上がるネオンサインの文字列。縦横無尽に入り組んだ連絡通路。飛び交う数多のエアロビークル……。アウターオーサカの中心地であるナンバは、大企業のオフィスと巨大な商店街、そして高級住宅地が入り乱れる経済の最大拠点であり、この都市国家において“首都”に相当する区画です。
中央地帯の崩落に伴い、奈落事象後に遷都されたナンバには、市政府の様々な本部が置かれています。巨大な三重螺旋が特徴的な政府本庁“トリロジー”は、立ち入りこそ禁止されていますが、観光名所としてお馴染みのスポットです。いくつかの場所からは、旧中央区の「第二太陽の塔」を垣間見ることもできます!
地元民からの愛称として、ナンバには「ウランバーナ」という呼名があります。サンスクリット語で逆さ吊りを意味するこの名前は、確かにアウターオーサカの首都にピッタリのネーミングかもしれませんね。
危険指定: ◎ 完全に安全
サカイ
アウターオーサカのカオスを象徴する場所はどこかと聞かれて、住民は主に2つの都市の名前を挙げるでしょう。一つはナンバシティ。そしてもう一つがここサカイです。
数多の連絡通路が頭上を覆い、所狭しと立ち並ぶネオンサインやミーム広告があなたを呼ぶ。地獄第四圏のデヴィルが緑の煙を吐き、可憐な男娼が客の手を引く……。虚空とナンバシティの狭間にあるサカイは、繁華街とアパートメントが縦横無尽に入り組んだ空間です。自己増殖した通路が無数の足場と裏路地を形成しているここには、O/O地理院の認知を超えて複雑怪奇な世界が広がっています。
商業区時代に「境」であるがゆえに跳躍路管制塔が置かれ、空間跳躍交通の要として活躍していたサカイは、H.R.K.の力で多元宇宙の玄関口へと変貌しました。この街に新たに来る者の多くが、まずはサカイで目を覚ますとされています。今やあらゆる世界や種族の人々が行き交うこの街でなら、1分と立たずにこの世を超えた混沌に出会えるでしょう。
危険指定: ○ 比較的安全
ヨドガワ
交通システムと工業団地を中心に構成されるヨドガワは、アウターオーサカ工業地帯の一角を占めるエリアであり、この街の工業生産物の4割がここで作られています。ヨドガワは東弊グループの城下町でもあり、街のどこに行っても彼らのシンボルを見かけることでしょう。
一方で、ヨドガワには大阪都抗争の際に放棄された廃工場からなる区画が存在し、これらの場所は違法死体売買集団である霊柩者デッドレッカーやバイカーギャング“新・死加護魂”の聖地と見做されています。この地区では、行政の保護がある大通りを離れて行動することはお控えください。
危険指定: ○ 比較的安全
ドートン
「燈貪」の通称で呼ばれるドートン地区は、複雑な経緯を経て、現在アウターオーサカ政府の手にありません。かつて有数の繁華街として栄えていたドートンは、大阪都抗争での被害から一度ゴーストタウン寸前となり、やがてスラム街が形成されました。
新たなドートンは当局の干渉を嫌って、境界周辺まで届く電波-呪術妨害フィールドを敷き、代わりに独自の地区管制システムを構築しました。地区内の気象も独自の気候ドローンによって維持され、当時は完全な地区のみでの自立が進められていました。しかしながら、ある存在の出現により、ドートンの抱いていた“自由”の夢は完全に崩壊しました──有知性電波黴です。
感染、もといクラッキングされた地区管制システムは、人でも神でもない、菌類による支配を地区に齎しました。制御を奪われたドローンにより常時雨が降り続け、黴に有害な紫外線を出さないようことごとく光源を剥奪されたドートンは、一見すればとうの昔に放棄された遺跡にしか見えません。
しかし、今でもいくつかの場所に明かりが灯っている様子を見て取れます。これらのエリアは、おそらく黴の治世に抗う人類が住む区域だと推察されています。ドートンの治安回復と住民の救出のため、市政府による侵入、黴化システムの破壊、清浄化に向けた取り組みが進行中です。
危険指定: ☓ 進入禁止
サクラノミヤ
アウターオーサカ随一の娼館街であるサクラノミヤは、
パープル
http://scp-jp.wikidot.com/chrysalis-001
http://scp-jp.wikidot.com/chrysalis-002
危険指定: ◎ 完全に安全
ナイトトレイン
都市機能を持つ大型装甲列車であるナイトトレインは、政府や諸企業の影響を廃した環境を望んだアナーキスト連盟により構築されました。ツルミ・イッキ以来、車両はO/O全土の鉄道路線を無許可で走行し続けており、しばしば各所の駅で停車して突発的なオルグや“デモ”を称するテロ活動を開始します。
当局による追跡と摘発の試みが継続中ですが、ナイトトレインの住民による多数の呪術防護、機動結界、電脳クラック、重火力行使により、いずれも成功していません。ナイトトレイン内部の詳細──とりわけ治安環境──はほとんど判明しておらず、非常に危険です。万が一遭遇したとしても、決して乗車しないようにしてください。
危険指定: ☓ 進入禁止

君はこの街で何を求める?