EianSakashiba環境再現サイトページ初作成
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アイテム番号: SCP-3000-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 現在SCP-3000-JPは未収用であり、収容Decommissioningの提言がSCP財団日本支部理事会と世界オカルト連合極東部門によって承認されています。SCP-3000-JPの収容チームは解体部門日本支部並びにその統括である日本支部理事"鳳林"によって構成されており、またSCP-3000-JPに対する財団側の対応、その全権が委任されています。

当該報告書はSCP-3000-JP報告書の最新版であり、現在解体作戦が進行中です。現場の記憶書き起こし、音声ログ等はリアルタイムで更新されるため、その都度SCP-3000-JP収容チームは報告書の編集を行ってください。

説明: SCP-3000-JPはタイプ・パープルと呼称される現実改変者です。

補足文書:タイプ・パープルに関する研究、並びにSCP-3000-JPに対する懸念

タイプ・パープルとは財団がつけた呼び名ではなく、オカルト連合での識別子である。彼らの正式名称はエーテル投射能力者。彼らは通常の現実改変だけでなく自身の半身として特殊なエーテル実体を呼び出し、実体と共に現実改変、時には戦闘を行う。
タイプ・パープルの所持するエーテル実体は通常目視や接触することは不可能であり(反例として、エーテル実体が発生させた炎などの「現実改変の跡」は目視接触可能である。)タイプ・パープル同士でないとエーテル実体には感じ取ることも干渉することも出来ず、一方的に手玉に取られる。だが一部にはエーテル実体を「煙のように」程度ではあるが視認できる人間もいるようであり、彼らは往々にして近い将来、同じタイプ・パープルとしての特徴を発現させる。

その性質ゆえに、タイプ・パープルは「収容」できないSCPとして財団では挙げられていた。最難関ではなく、不可能であると。タイプ・パープル本人をどれほどの設備、技術、人員で収容したとしても不可視のエーテル実体が拘束を解き、通常の現実改変に関連するあらゆる異常法則を無視し、人員をなぎ倒す。
サイトの人員が全滅すればまだいい方で、収容違反を誘発する危険因子として一昔前の財団では恐れられていた。曰く、「姿が見えない幻想を収容している」と。

時が経ち、我らオカルト連合と財団が協定を結び、解体部門が設立され、タイプ・パープルへの対抗策として破壊することが最善策であると確定された。タイプ・パープルとエーテル実体の肉体はある程度連携していることが判明しており、タイプ・パープルが右腕を損傷すればエーテル実体も右腕、人型でなければそれに対応する部位に相応のダメージが入る。逆も然りであり、我々オカルト連合にとっては他の既知脅威存在/Known Threat Entity(KTE)の対応と変わりない。
1つ違うのは、エーテル実体を出現させた時のために排撃班員の中にタイプ・パープルを用意する必要があるということだ。不意打ちならばともかく、「タイプ・パープルはタイプ・パープルでしか倒せない。」

今回、SCP-3000-JPにおいて懸念点がいくつか存在する。日本国において正常性維持機関が観測したタイプ・パープルが出現したのは初めてであること、日本支部の解体部門はいささか「実績が足りない」こと、そしてオカルト連合極東支部はタイプ・パープルを所持しているという情報はないということである。
いくつかすぐに解決できそうな問題点が存在すると思っているだろう。だが貴方たち財団が想像する以上に現状は簡単に解決できない。追って詳しく話そう。

最後に、ヴェールの外にいるタイプ・パープル同士のコミュニティでは他の通称が存在するらしい。彼らはエーテル実体を自分のそばに立つもの、「スタンドstand」と呼び、それを使役する彼ら自身のことを「スタンド使い」と呼称する。
我々にはどれだけ努力しようとも「紫煙のように」程度しか幻を感じ取れないが、彼らはそこに確かに存在を感じ取れるのだろう。

108評議会47番、SW財団

SCP-3000-JPの本名は日奉 芥葉いさなぎかいばであることが判明しており、神奈川県藤沢市、横浜市、特に鎌倉市を中心に活動が確認されています。SCP-3000-JPの居住宅は確認されておらず、

  • "鳳林": SCP財団日本支部解体部門統括責任者
  • 噌山日: サイト-8111所属、日本支部解体部門部門長
  • ザニア: 世界オカルト連合傘下108評議会47番SW財団スペシャルアドバイザー
  • 北錠: 潜入エージェント

"鳳林": 本日はわざわざ極東の島国までお越しくださりありがとうございます。メールや通話だけではどうにも伝えられない話があってのことだとは思うのですが。

ザニア: 皮肉は好まないし前提の再確認は簡潔に終わらせたいです。私が送ってくれた補足文書、読んでくれました?

"鳳林": ええ。

噌山日: 同じく。

ザニア: それは良かった。終盤に触れた問題点について詳しく話しましょう。最初に「日本国において正常性維持機関が観測したタイプ・パープルは初」について。───と、3番目。「連合極東支部はタイプ・パープルを所持していない」について。

"鳳林": なぜ間を飛ばすのですか?その2つは同時に解決しなければいけない問題とでも?

ザニア: 実際には3つ全て、ですね。前提としてタイプ・パープルはある日突然発生するなんてことはなく、きっかけが必要だからなのです。

"鳳林": 断定できますか?

ザニア: 間違いなく。愛する人の無残な死、人生を変えるほどの体験。そのような「個人の精神構造を大きく変えてしまう」ほどの出来事と、[数秒沈黙] その際、周囲に別のタイプ・パープルが存在していることが、タイプ・パープル発生の条件です。

噌山日: 何ですって、それは

"鳳林": [遮って] なるほど。そして「オカルト連合極東支部にはタイプ・パープルは存在していない」ということは、「我々はもう一人、日本国内からタイプ・パープルを探し出す必要がある」ということですかね?

ザニア: 物分かりが良くて助かります。

噌山日: SCP-3000-JPが財団側の観測よりはるか以前からタイプ・パープルに目覚めていた、という可能性は?

ザニア: 通常で言えば大いにありますが、今回のケースに関して言えば除外してよさそうです。まずSCP-3000-JPの異常性は派手なもので、かつ制御できているとは程遠い稚拙な状態であること。そしてあなたたちが調べて下さった情報によるとSCP-3000-JPは以前から職と家を失ったホームレス状態だったということ。

[沈黙。"鳳林"と噌山日が無言で目くばせをする。]

ザニア: そこまで崖っぷちならば早い状態から異常性を使って現状を脱却するはずだろうに、ということです。[少し笑いながら] SCP-3000-JPの学歴や環境から見てそこまで頭が回る能でもなさそうですしね。海外の渡航経験もなさそうですし。少し理論が飛躍しすぎましたかね。

噌山日: ええ、いささか早計かと。そこまで焦ることはないのでは。

"鳳林": 焦るというよりかは、[口元を左手で隠し、ザニアを見る] 私にはまるであなた方が3000-JPに関する作戦の主導権を握ろうとしているように聞こえますが。

ザニア: [笑って] 本当に理解が早くて助かりますね。ええ、その通りです。

噌山日: [目を見開いて] 冗談でしょう。

"鳳林": 私の冗談も通じてなかったし、マジだと思うよ。それこそ2点目の「日本支部の解体部門は実績が足りない」っていうのは遠回しにそう言ってたんじゃないの。

ザニア: ええ、ええ。流石日本支部のトップまで上り詰めていますね。あなた方財団はSCP-3000-JPに関しては一切の不干渉を貫いてもらいたいんです。できますよね?

[沈黙。"鳳林"は体制を崩さず、噌山日はザニアを睨む]

"鳳林": わかりました。評議会にその提案を通しましょう。

噌山日: 待ってください、これは明らかに連合側の暴走です。良いわけがない。

"鳳林": これも政治さね。しゃあないしゃあない。

ザニア: [笑って] ありがとうございます。ではそのように伝えて

"鳳林": [遮って] 先日、私の方に「特赦」を乞うてきた職員がいましてね。

[沈黙]

ザニア: 何の話でしょうか。

"鳳林":"鳳林"は日本支部理事会の中で"最も自由な人物"である」だなんて誰が言い始めたのか分かりませんが、まあ事実そうであると私自身否定できないんですよね。理事になってからも色々な職員とお忍びで交流しておりまして、サイト管理官からフロント企業の清掃のおばちゃんまで顔が広く。彼もそんな私の友人の1人です。

[沈黙]

"鳳林": 神奈川県藤沢市の潜入エージェントです。クリアランスは3、普段は借金取りとして活動しているようです。色々と調査に都合がよろしいのでしょう。

ザニア: フジサワ…?待て、まさか。

"鳳林": ちょうど1月前だったかな。「不明な実体が自分のそばに出現するようになった」と私に相談してきまして、オブジェクト疑惑があるとしてサイトに軟禁していました。あなたの話を聞く限りタイプ・パープルに酷似していると思ったのですが、不干渉なら仕方がないですよね、申し訳ない、聞かなかったことにしてください。

ザニア: 今考えたでたらめだ。

"鳳林": 今から本人の下に行って確認しますか?それともここに呼びつけるか。

[ザニアが5分ほど手元の端末で何らかのやり取りをする]

ザニア: ここに連れてきてくれ。

"鳳林": わかりました。[着席している椅子を回転させ扉の方を向き] 北錠くん、入りなさい。

[エージェント・北錠が入室する。]

噌山日: いつから待機をしていたのですか。というか、どこからこの会議の情報を。

北錠: [罰が悪そうに] 文句なら"鳳林"さんに言ってくださいよ。

ザニア: ホウジョウ、といったか。そこの君。

北錠: は、はい。

ザニア: 実体を出せるか?

[北錠が"鳳林"に対して目くばせする。"鳳林"は頷く]

北錠: どうでしょうか。

ザニア: [北錠の背後を睨みながら] 普段の活動範囲は、カナガワか?

北錠: ええ、まあ…話したの"鳳林"さんですか?

"鳳林": [微笑む]

ザニア: …現実改変者の破壊は「奇襲」という形式で行われる。異常性を使われる前に終わらせるためだ。そのため作戦を実行する班員は姿を潜めたり、一般人に紛れ込む必要がある。

北錠: えっと…?

ザニア: だが島国日本となると、外国人が1人だけでも群衆に溶け込むというのは難易度が高い。ましてや今回はタイプ・パープルの班員が必要だ。最も「日本に馴染みやすいタイプ・パープル」として私が選ばれたが、こんな中国とメキシコのクオーターではなく純粋な日本人がとても欲しかった。

"鳳林": なるほど、ゆえにあそこまでもう1人のタイプ・パープルを捜索していたのですね。早合点ではなく、希望的観測だったわけだ。そちらの内情を教えてくださってありがとうございます。いやあよかった。あなたたちの想定通りに事が運びそうで。

[沈黙。ザニアが"鳳林"を睨みつける]

北錠: ちょっと"鳳林"さん…

"鳳林": 過去にある「特赦」の例も、なりふり構っていられない緊急事態において、オブジェクトの収容に有用であると判断されたというのが条件らしく、こちらとしてもそうなった方が北錠にとって都合がよいのですが…いかがでしょう?

ザニア: 分かった。エージェント・ホウジョウ、SCP-3000-JPの破壊作戦

"鳳林": [遮って] 合同収容作戦。

ザニア: …合同収容作戦に参加して欲しい。

[沈黙]

北錠: ["鳳林"に向き直って] ちゃんと最後まで全部話してからお願いしますよ…自由すぎますって…

"鳳林": ごめん、文字通り妖怪塗れの理事会で生き残るためのクセみたいなもんでさ。

以上の合同会議より、SCP-3000-JPの合同収容作戦が開始されました。

北錠: こんばんは、もう他の人は現場入りしてるんですか。遅れてすいません。

ザニア: いや、予定通りだ。全員一気にずかずかと配置につくと怪しまれる。時間差で準備するのがセオリーだ。

北錠: そうですか、良かった。[数秒沈黙] 今回の作戦について最終確認しても?

ザニア: 分かった。基本的に我々はプランCでしか出番がないという前提は?

北錠: [数秒沈黙] 出番がないというのは、対象であるタイプ・パープルと直接交戦するという意味で捉えて良いのでしょうか?でしたら違うと思います。我々は基本的に対象がエーテル実体を出現させないかの監視役として作戦に参加します。タイプ・パープルのエーテル実体を知覚できるのはタイプ・パープルだけですから。

ザニア: [笑って] すまない、君のことを個人的に試した。大切な「前提の確認」の段階でこのようなことをするとは…非礼を詫びよう。

北錠: いやいいんですけど…一応いっぱしの財団エージェントですし、続けましょう。

ザニア: ああ、プランA。連合の狙撃手がビル屋上やビジネスホテルの一室などの高台から対象を狙撃、その後通行人に紛れた回収役が対象を車まで運ぶ、現場は清掃員や巡回ボランティアに偽装した隠滅班が現場の跡を消滅。周囲の監視カメラは神奈川県警と連携しているから問題ない、対象であるタイプ・パープルは身寄りもいないホームレスであるため連れは存在しない、いつもこの時間は藤沢駅前周辺にいることが多い。そのため回収班が妨害されることはまずないだろうが…

北錠: 対象以外の何らかの妨害が入った場合、プランBに移行される。

ザニア: [頷く] 妨害が非異常性の民間人だった場合、駅前交番に待機させている偽装エージェントが対応する。異常性を持った人間、特に敵対要注意団体だった場合は排撃班が交戦に当たる。そしてプランCは───

北錠: 連合の狙撃手が何らかの要因でしくじり、対象がタイプ・パープルとしての異常性を発揮してきた場合…

ザニア: 無いとは思うがね…そうなった場合は私とホウジョウ、君とで市街戦だ。他の人員は周辺民間人の誘導とサポートに徹する。タイプ・パープルを映像に残すことは原則不可能だが、異常技術を基に作成された私の脳髄と接続された左の義眼が記録を可能にしている。ゆえに生存を優先されるは私。万が一があったら先に死んでくれ。

北錠: …ザニアさん、

ザニア: どうした?

北錠: 俺は…財団のエージェントとしても未熟です。ですがあくまでここに至るまで訓練はしてきた。でもスタンド使い…タイプ・パープルとしては先月自覚したばかりの赤子同然です。もちろん隠蔽目的もあったでしょうが有無を言わさず監禁されたこの1月、エーテル実体の精密な操作どころか自分が何の異常性持っているのかですら曖昧だ。拘束されていたので筋トレすらしていなかったし、なので…

[沈黙]

ザニア: 「スタンドとは、精神の写し鏡である。」というのが、謎の多いタイプ・パープルたちの間でしきりに言われていたことだ。

北錠: どういうことでしょうか。

ザニア: エーテル実体の外見や能力がタイプ・パープル本人の精神状態に大きく影響しているという意味らしい。…確たる証拠は何もないがね。そして精神の成長とともにエーテル実体もまた強力なものになると。

[ザニアが北錠の肩を掴む。]

ザニア: だから…どうか気を強く持ってほしい。不安なのも分かるが、今ではない。後からいくらでも不安になっていいが、この瞬間だけは財団職員としての役割を全うしてくれ。

北錠: [数秒沈黙ののち笑って] 意外と優しいんですね。もっと怖い人だと思ってた。

ザニア: ?どういう…試したな?先ほどの意趣返しか?

北錠: 試しましたけど仲良くやっていけるかって意味で、です。根に持っていませんよ。

[ザニアが北錠の肩から呆れた表情で手を放す。]

北錠: そんな「精神」なんてあやふやな表現で励まされてもあれですし、なにより自分は財団そのものではなく、財団の理念に殉じる覚悟はできていますから。死ぬのは怖くありません。

ザニア: …そうか、少し引っかかる表現だが、それならいいんだ。

以下不要な記録なため中断

ザニア: こちら「見張り台」。対象が出現、予測配置C-6。これよりオペレーション発動。

無線機: 了解。

[SCP-3000-JPが駅前1階の階段裏に座り込む。地面には段ボールを敷き、全身を覆うように新聞紙の中に寝込む。]

無線機: 第1発、GO発砲

[SCP-3000-JPの頭蓋部分に弾丸が命中する。]

無線機: 第2発、第3発、第4発、GO発砲

[SCP-3000-JPの頭蓋部分に弾丸が命中する。]

ザニア: 命中確認、「収穫」急げ。

[人混みの中から数人の男がSCP-3000-JPを持ち上げようとする。]

ザニア: よし、そのまま車…

[SCP-3000-JPの体が一瞬にして煙に代わり、霧散する。]

無線機: [明確に焦っている声色] 緊急事態、緊急事態。目標消失。

ザニア: プランC変更!「収穫」、ばらけるように退避。「見張り台」2人以外近づくな。…行こう!

北錠: はい!

[北錠とザニアが現場に到着する。周辺の一般人は視線を向けるものもいるが、スマートフォン等を向けている者は確認されない。]

ザニア: 対象の現実改変は煙草の煙を煙幕代わりに使用できるだったはず…だがこれは一体?

北錠: ええ、我々が見たところでもSCP-3000-JPは煙草を吸っていませんでした。未観測の何かがあります。まずは対象の身元を探さないと。

ザニア: 「傍受」、監視カメラの映像を虱潰しに探せ。

北錠: 我々も動いた方がいいです。この周辺にいくつビルと地下駐車場があるか…?

ザニア: …いや、待とう。急ぎ足にならない方が…どうした?

北錠: …ここ、どこですか?

[ザニアが周囲を見渡す。建造物などの景観はそのままに、北錠とザニア以外の人間が存在していない。周囲は煙に包まれている。]

ザニア: [咳き込む] 今気づいた。なんだこれは…

北錠: このにおい、煙草の煙です。俺は慣れていますけどザニアさん、大丈夫ですか?

ザニア: 私も特別苦手意識があるわけではないが…これは流石に異常だ。[咳き込む] 臨戦態勢に移行しろ。エーテル実体出せるか?

北錠: …すいません、ダメです!

ザニア: 私もだ…この空間は一体?

不明な音声: 君たちと話がしたく、ここに招待した。

[煙の中からSCP-3000-JPが出現する。]

北錠: どうしますか、殺しますか?

SCP-3000-JP: いいのかな?私を殺したところでこの結界から出られる算段があるのかね?

ザニア: 結界…?

北錠: [ザニアの前に立ち] お喋りなら俺がする、この人に余計なことはしてほしくない。不満か?

SCP-3000-JP: いいが、鉄砲玉に満足な問答を引き出せるか?そちらの方が理知的な感じがするというよりお前がチンピラみたいなのだが。

北錠: そらどうも、借金取りだよこちとら。んで?ホームレスが借金取りに話したい事ってなんだよ。

SCP-3000-JP: [沈黙] お前が財団の狗でも連合の看守でもいい。日奉一族を知っているか?

北錠: 知らん、お前親族いないんだろ。財団の調べではそう出てるぞ。

SCP-3000-JP: [沈黙] 違う。お前らが消した。俺以外の日奉を。俺が、俺だけが、この世界に残って、俺だけが覚えている。俺だけが忘れられないでいる。

北錠: な、何言ってんだお前…何の話だ?

SCP-3000-JP: 財団のデータベースに日奉の名前が登録されているだろう!?SCPとして認定されて、財団に囚われて…!

[沈黙。北錠とザニアが互いに怪訝な顔をする。]

SCP-3000-JP: そうか、そう、か…もっと早く、1ヶ月前のあの日からすぐにお前たちをおびき出せば良かったよ…

北錠: 1ヶ月前?[ザニアと目くばせする。] …に、その、家族いなくなったの?

SCP-3000-JP: 急に消えた。忽然と、前触れなく俺以外の日奉姓が。それだけじゃない、まるで「お前が今までいた世界は幻想だ」と言わんばかりに世界から日奉の記憶がいなくなった。代わりに俺には幻が見えるようになった。

[SCP-3000-JPの背後から巨大な人型実体が発生する。全体的につるりとした造形であり、煙と一体化しているように見受けられる。]

SCP-3000-JP: 俺が吸って吐いて、この世界で唯一の日奉の体を経由した紫煙が人の形になるんだ。日奉としての異能と、こいつの異能。なあ、煙みたいに消えそうなのは俺かこいつかどっちなん

[北錠とザニアがSCP-3000-JPを飛び越え背後の人型実体に攻撃するが、負傷した様子が見られず攻撃された箇所から霧散するように穴が開く。2人はその勢いのまま逃走する。]

北錠: [逃走しながら] エーテル実体に攻撃が通用しない、そして自分のエーテル実体は出せない。どう見ますかタイプ・パープルの先輩。

ザニア: [逃走しながら] 可能性は2つある。対象はこの空間を「結界」と言っていた。それが本当なら実際にこのフジサワの駅前全域が対象の影響範囲内ということになる。嘘なら私たちは、「転移」などの方法で、別空間に飛ばされた可能性がある。

北錠: そこまで影響範囲って広いんでしたっけ。タイプ・パープルの異常性って。

ザニア: いるにはいる、だが彼のエーテル実体は人型だった。人型は総じて範囲が狭く、例外はない。

北錠: でもなんか「イサナギとしての異常性」みたいなの言ってなかったですか?それも噓?

ザニア: [舌打ち] クソっ、それは判断できん。

北錠: いや、正直に言ってくれてありがとうございます。俺にも1つ心当たりがあります。

ザニア: 何だ。

[北錠が立ち止まり、ザニアも遅れて立ち止まる。]

北錠: 俺が今から話すのはザニアさんみたいな理論なんかありません。ただ頭の中でこう思ったって言うようなフィーリングだけで話します。ザニアさんが正直に言ってくれたから、俺も正直に話します。

ザニア: [息を整えながら数秒沈黙] 分かった、んで何だ。

北錠: 今から2人、いちにのさんで自分の頭を拳銃でぶち抜きます。

ザニア: [数秒沈黙] は?

[財団側が用意した救急車には意識のない北錠とザニア、死亡済みのSCP-3000-JPが横たわっている。北錠とザニアが同時に目覚める。]

部隊員: 2人とも目覚めました!

ザニア: [大量の汗を流して息を切らしながら] なんで、うまくいくんだよ。

北錠: [大量の汗を流して息を切らしながら] ごめんなさい、でもうまくいったでしょ?

部隊員: 一体何があったんですか。どうしてこんな…

ザニア: すまない、その前に確認させてほしい。対象はどこにいた、生死はどうなってる?

[救急隊員に偽装した部隊員たちが顔を見合わせる。]

部隊員: 配置から一歩も動いていませんでした。最初対象の体が消えたのでプランCとしてお2人が赴いたと思ったら急激に気絶して、周囲に混乱が伝播しそうでしたので私たちが回収するため駆け寄ったところ、銃弾で死亡済みの対象がいて…我々にも何が何だか…

ザニア: [ため息] 何から何までお前の言うとおりだよ、「おそらくこれは俺たち3人の頭の中で起きている出来事だ」って。あいつは駅前全域に影響する強大なエーテル実体も転移能力も持っていなかった。自分の死をトリガーにして3人の脳内で空間を共有させた。

北錠: だからあそこから出るには対象と同じように脳の状態を移さなくてはいけなかった。俺たち2人が銃で自分の頭を打つっていう状況で。多分こいつはそもそもそこにたどり着けないと思ってたんでしょうけど。実際「カイバ」って名前から脳で起こっていることは予想できましたけど脱出するトリガーはギリギリまで思いつかなかったですけどね。

ザニア: 本ここまで咄嗟の機転を利かせられないと財団のエージェントは務まらんのか、お前がいなければ永遠にあそこに閉じ込められるところ[沈黙] 閉じ込めてどうする気だったんだ、対象は。

そこまでは分かりませんけど…最悪八つ当たりで永遠に閉じ込める以外眼中になかったまでありますよね。それか単純にあの質問を正直に答えてほしかったとか?あの空間だと拷問し放題ぽそうだし。

(沈黙)私は本当だと思うが、イザナギのこと。お前ら財団が世界から消したというのは。

ちょっとひどいですよ。現実改変者の妄言に賛同したらそれこそカウンセリング強行じゃないんですか、そっちは。

隠蔽がお得意の財団なんざ叩けば埃だらけだろう。

(数秒沈黙)

そうですね。全面的に賛同します。

なんだ、否定しないのか。

(沈黙。北条はザニアから隠すように顔を下げる。)

ホウジョウ?

良かった。これで「特赦」がもらえる。アイツは…から解放される。

おい、何の話

(SCP-3000-JPの体から大量の煙が吐き出される。それは捻れるように人型を形成し、周囲にはタバコの葉の形に形成された煙が現れる。)

ホウジョウ!部隊員の守護優先で動け!

おせえよ。

(人型は

補遺:


はい、ナンバリングからも分かる通り3000-JPコンテストにEianSakashibaが出す予定だったものです…
ちなみにこの後は

北錠の財団内での特に親しい友人が2999-JPの特別収容プロトコルによって監禁状態であったことを描写、「特赦」とはGOCとの政治的な駆け引きも含まれる非常に難度の高い合同収容作戦にたまたま最高の人材であった北錠を強制参加させる為の鳳林による友人人質作戦

北錠とザニアは3000-JPを殺害、出来ることならタイプパープルを「収容」したかった鳳林と対立するがとりあえず友人を釈放、しかし友人は2999-JPプロトコルによる劣悪な環境下で長い間監禁されていたため酷い後遺症が残る

北錠「お前こいつも一応財団職員やろ治療してくれや、普通なら厳しいけど財団ならどうにかしてくれる」
鳳林「はあ?そいつは職員やなくて2999-JP-91やボケェ、特赦の意味分かるか?特別に赦すじゃ、そいつは財団職員に戻した訳や無くあくまでも釈放という形じゃボケェ、犯罪者が釈放されたからって犯罪者っつう肩書は消せんのじゃ」

北錠財団から離反、序盤に連合のタイプパープル不足を嘆いていたザニアからスカウトされ「世界オカルト連合初にして唯一のタイプ・パープルで構成された排撃班」が成立。SCP-2639のラストオマージュ
「俺は…友達のことを乗り越えたりしません。一生引きずります。2999-JPという忌まわしい数字に最後まで抗った彼のことを。2999という数字を越えようとした彼のことを。俺の傍立つ後悔(stand)の様に一生引きずりながら進みます。」

鳳林がタイプパープルを欲しがっていた理由は単純に兵隊にしたかったから。収容に拘っていたのもそのため。実際他の日本支部理事は全てタイプパープル複合の現実改変者であり鳳林が唯一の人間であった。
やがてスタンド使いにはスタンド使いが惹かれ合うように他の神奈川地域でもはスタンド使いの事例が多発している。「対タイプ・パープル特別排撃班は現地にて対処してください。」で締め

これが当初の予定でした…
今はもうTaleにしちゃおっかなあ!?のヤケクソととりあえず書いてから考えよう…の冷静を往復している状態ですね…(諦観)

なるほど…正直3000-JPコンテストに出さないなら無理に報告書にしなくてええやん!になってたんですがもう少しやれそうではあるか…

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