目的: 超常社会に囁かれるサーキック・カルトの反乱は帝国にとって大きな脅威となる。財団やGOC、警視庁公安部特事課などのJAGPATO所属組織主導の防衛の計画も日本国内では行われているが、IJAMEAは独自の軍の形成を行うことを決定した。
以下の計画は、第二次世界大戦において活躍した飛騨山脈の巨大なる戦士を戦力として再活用するために提案された。その目標は以下の通りである。
- 戦士が捕らえられている財団の施設を襲撃し、占拠する。JAGPATO内に潜入した間諜によって2019年の12月頃に戦士は本島から離れた太平洋上の孤島に連行されることが判明している。その地理的要因から襲撃後に迅速な救援が行われる可能性は低く、また、財団の戦力は反乱の防衛のため日本全土に分散しており、施設に駐在する部隊を制圧するのに十分な戦力を整えれば占拠は容易だと考えられる。
- 戦士に教育を施し、戦力として使用する。事態は一刻を争うため実践的な演習を中心に行うことで即戦力として活用可能にする。
資産: 太平洋上の施設を襲撃するならば、十分な戦力と最低二隻の軍艦が必要である。前者は将軍たちの招集命令や"徴兵"を行えばいい。だが、後者については二つの問題がある。
一つ目は、当立科基地では軍艦を手に入れる方法を確立することができていないことである。独自に製造を行うための基地を建設することは5年間という期間では不可能であるため、外部の組織を利用することが必須である。現在、MC&Dとの交渉が計画されている。また、恋昏崎新聞社やカオス・インサージェンシーといった反財団組織との接触を試みている。
二つ目は、資金面の問題である。おそらく、小型艦を二隻購入しただけで当基地の資金は尽きることとなり、作戦を行うことが不可能になると考えられる。他の基地との連携が必要になるが、この計画に賛同するかどうかは不明である。軍艦の購入の手段が整い次第連絡を行う予定である。
中間報告(一): 最初にMC&Dとの会談が行われた。MC&Dは巡洋艦一隻につき360億の値段を提示した。これはあまりにも高額であり、二隻購入することは当基地単体では不可能である。値段交渉には応じないといった対応であったが、他に競合する相手も存在しないので当然といえば当然であろう。
次に、恋昏崎新聞社との接触に成功した。恋昏崎新聞社の活動は恋昏崎と呼ばれる異常領域内で活動しているため、極めて接触が困難であった。しかしながらこれも陛下の思し召しであろうか、恋昏崎新聞社の記者を名乗る長谷島という男が取材にやってきた。この男が隠匿のための呪術的結界が構築されている当基地を発見できたのかは依然不明のままではあるが、取材1を受ける交換条件として軍艦についての情報を取得することに成功した。
一日後、長谷島の案内に従い静岡県南部の港から漁船に乗り恋昏崎に向かうこととなった。運転は長谷島が行っており、それ以外に乗船している人間はいなかった。長谷島曰く、取材に赴く際に用いるものであるらしい。次回以降は本来の手段である"船頭"による"連絡船"を用いて恋昏崎へ移動することを推奨された。尚、移動は恋昏崎役場での恋昏崎島民による申請が必要であり、光山将軍、君垣将軍、甲斐田将軍以外の移動は不可能であるらしい。この言わば"完全紹介制"ともいえる堅牢な仕組みによって恋昏崎は財団及び正常性維持団体からの防衛に成功しているといえよう。
恋昏崎到着後、連れてこられたのは幢幡という老人の家であった。幢幡はかつて艦政本部対超常課の人間であり、終戦直後に当時建造中であった巡洋艦を米軍に接収される前に恋昏崎内に持ち込み、以来一人で継続して建造を行っていたという。しかしながら個人で行うのにも限度が存在したようで、数年前から作業は停止していたのであった。そこで我らは既存艦の建造の継続と新規艦の建造を正式に依頼し、契約が結ぶこととした。提示された金額はMC&Dのものより遥かに低いものであったが、幢幡以外の職人の招集を我らが行わなければいけなくなった。大日本帝国海軍(IJN)の残党勢力や東弊重工といった超常団体の構成員のほか、造船に造詣が深い一般国民の雇用が計画されている。
中間報告(二): 2018年2月に既存艦が完成し、2019年9月23日に新規艦が完成することとなった。恋昏崎近海で試験航行を行ったが、特に不備もなく終わった。また、調査によって財団が太平洋沖に建設した施設の座標も特定することに成功している。訓練と兵器の調整を続け、12月31日に成功をもたらすことができるよう最後まで気を緩ませずに計画の準備が続けられている。
以上はSCP-XXXX-JPの内部で死亡していたIJAMEA構成員光山秀樹の遺体から回収されたスマートフォンに保存されていた文書です。このスマートフォンからは他文書やIJAMEAに関する情報は発見されませんでした。光山秀樹は██████社の社長であり、所謂IJAMEAにおける「隠将軍」と呼称される勢力であったと推測されています。光山秀樹の関連人物に調査が行われましたが、IJAMEAについての知識を有している人物は存在しませんでした。また、「立科基地」の捜索が行われましたが、発見することはできませんでした。