RAISAよりの通達
以下の報告書は2027年の夏期データベースチェック中に発見されました。同ナンバー・同性質のオブジェクトは存在するものの、そちらの報告書は別途存在しており、本報告書がどのように書かれたのかは判明していません。
アイテム番号: SCP-1710-JP | Level 3/1710-JP |
オブジェクトクラス: Euclid | Classified |
特別収容プロトコル
SCP-1710-JP周辺はエリア-1710に指定され、クラスⅢ標準土地収容プロトコルに従って封鎖されています。エリア-1710内には観測所を設置し、2名以上の職員による定期的な確認と記録を行います。
SCP-1710-JPには3重の高電圧ネットが被せられ、出現するSCP-1710-JP-A個体が外部に漏れないようにされています。内部からSCP-1710-JP-A以外の実体が出現した場合は、即座に対神戦闘プロトコルAE17が発動されます。詳細は附録文書AE17を参照してください。
説明
SCP-1710-JPはポーランド共和国マウォポルスカ県ツィカダ村跡地に存在する巨大な陥没穴です。最大幅は約120mであり、約8,000kmの面積を有します。過去数回の機械探査にもかかわらず、穴の底部は確認されていません。このことから、SCP-1710-JPはおそらく未知のポケットディメンションに接続されていると推測されています。その奥からは時折中程度の奇跡論パルス1が確認される場合があります。
毎年6月から8月にかけ、SCP-1710-JP内部から1~2万匹程度の異常なセミ型昆虫が発生します。これらのセミはSCP-1710-JP-Aに指定されており、遺伝的にはCicadetta属に最も近いものの、その頭部がヒト男性に似た形状に変形しています。いずれの個体も故フレデリック・フランソワ・ショパンに酷似した顔を有し、その羽音ならびに鳴き声によってショパンの楽曲を演奏します。
この音声には軽微な認識災害効果があるものの、12.5以上の認知抵抗値があればその影響をほぼ打ち消すことが可能です。ただし、ショパニズム信仰者に対してはこの音声はより深刻な影響を齎す場合があり、幻聴や異言等の症状を引き起こす事例が確認されています。
SCP-1710-JP-Aは平均1ヶ月半ほどの寿命を持ち、その長短は摂食度合いにかかわらず発生すると見られています。個体は雑食性であり、その顎で咀嚼できる範囲のものはすべて摂食しようと試みます。これは動物組織、植物組織、そして無機物にまで及びます。
解剖の結果、SCP-1710-JP-Aには腹腔内に消化器官を有していないことが判明しています。接触物の行き先は現時点ではわかっていませんが、解剖前の体内にはある種のポータルが存在する可能性が提唱されています。
SCP-1710-JPは1998/7/12に発生したイベント・ペルセポネにおいて出現し、同イベントの終了以後は財団の管理下に置かれています。イベントの進行経緯については下記の補遺群を参照してください。
補遺.1710-JP.01: イベント・ペルセポネ概略
イベント・ペルセポネは1998年7月12日~13日の2日間に渡り、ポーランド共和国南部にて発生した、一連の大規模な奇跡論的超常イベントに対して与えられた指定です。このイベントはショパニズム系異常宗教団体であるGoI-484E ("聖ショパン再誕のための音術師協会") の主導により引き起こされ、周辺地域に多大な損害を齎しました。この案件は財団、GOC、およびポーランド軍の三者を中心に対処が行われ、13日未明に終了を宣言されました。
補遺.1710-JP.2: GoI-484E
要注意団体報告
財団記録部門作成
GoI-484E ("聖ショパン再誕のための音術師協会")
The Mugicians Association for the Return of Chopin the Holiness, M.A.R.C.H.
活動状況: 活発 本体壊滅済。破片構成員の捜索終了。
脅威レベル: ● 橙 ● 黄
概要: GoI-484Eは要注意思想-484 ("ショパニズム") の流れを汲む異常宗教団体でした。GoI-484A ("聖ショパン正教会") から追放されたヴォイチェフ・ノヴァク (Wojciech Nowak) 司祭により1982年に設立され、以後その異常能力によって国内に浸透していきました。
GoI-484Eの思想は原典であるGoI-484Aのものからは大きく変質しており、儀式の一環として部分的な自傷・殺人・食人等の行為が確認されていました。これはGoI-484B ("血漿楽譜教会") の教義に影響を受けたものと推定されており、現在でいうところのブラッディー派ショパニズムの一派と見なされます。
GoI-484Eメンバーの多くは現実改変能力、及び奇跡論行使能力を示しており、主に超常的な音楽能力や大衆人気の獲得、聖人 (歴史的音楽家) とされる実体の召喚に用いられていました。これらの能力により、GoI-484Eはポーランド国内のメディアに一定の影響力を有し、更には周辺諸国にも複数の構成員を抱えていました。
GoI-484Eの最終目的は”聖ショパン”、故フレデリック・フランソワ・ショパンの神格化された実体の召喚でした。GoI-484Eにおいて聖ショパンは全音楽を統べる神として信仰されており、その力の維持、及び異常能力獲得の契約を目的に数々の退廃的儀式が実行されていました。留意すべき点として、財団神学部門の見立てではGoI-484Eの崇拝対象は実際にはショパンでなく、ショパンに擬態した何らかの別のピスティファージ実体2である可能性が高いと目されていました。GoI-484Eは聖ショパンの再臨は”全人類の完全なる調和”を齎すと信じていますが、前述した神学部門の見立てでは破滅的な世界終焉シナリオが訪れる可能性が懸念とされていました。
補遺.1710-JP.3: 傍受通信記録01
傍受通信記録01
1995/██/██
ノヴァク司祭: やあ。私だ。ノヴァクだ。
不明なメンバー3: 聖下、どうされたのですか? こちら[ノイズ]です。
ノヴァク司祭: 君の声を聞きたくなってね……などと言えれば良かったのだが。生憎だが仕事の話だ。接続システムの進行は?
不明なメンバー: それが……あまり芳しくありません。
ノヴァク司祭: そうか。
不明なメンバー: 理論はできているのです。
補遺.1710-JP.4: GoI-006NR放火事案
1996年、ポーランドにあるGoI-006プロメテウス研究所の子会社であるプロメテウス・ニューロンズ社に数名の武装集団が侵入し、いくつかのパラテック資産を奪取したうえで放火する事案が発生しました。襲撃は夜間に実行され、近隣住民の緊急通報を傍受したことにより財団が出動、消火活動と共に多数のパラテック資産及びその関連文書が接収されました。後にこの件によりプロメテウス・ニューロンズ社超常法務部門と財団法務部門の間に衝突が発生したものの、最終的に社は倒産し、財団フロント企業により買収されることとなりました。
この時点では、プロメテウス・ニューロンズ社に襲撃を行った集団の素性は判明していませんでした。
補遺.1710-JP.5: 傍受通信記録02
補遺.1710-JP.6: 財団=GOC合同会議記録
補遺.1710-JP.7: 回収映像記録
補遺.1710-JP.8: イベント報告
実体指定をここで
補遺.1710-JP.9: 関連記録群A
これは何?
実質的なSCP-1710-JPの改稿版。作中世界観としては軌道エレベータの改変世界由来の文書。ショパゴジ討伐に向けたシリーズを書きたいのでそれ用に。
やりたいこと
- 描写と絶望と熱血を増しまくる
- ログを追加し、かつリアリティを増す
- 財団宣言の演説抜粋と復興後のポーランドを描く
- 最後にメールで敵神格が生存し成長していることを出す。「どうやら歩みを進めているのは、我々だけではないようです」。
- 多分既存作品と食い違うので置換は無理
タグ: tale jp 1998 ショパン・カルト プロメテウス研究所 世界オカルト連合 (夜コンいけるのか……?)