監督評議会命令
現在発生している不可避の終焉シナリオに対する有力な情報及び、対策プロトコルの制定のため、戦術神学部門及び時間異常部門、解体部門の全職員に限定した特別アクセス権が認められています。特別アクセス権は終焉シナリオの対処に成功した際に剥奪され、本文書は大深度データベースにアーカイブされます。また、これに伴って、一時的に本文書へのアクセスクリアランスレベルはレベル4クリアランスに降下されています。
本文書には特定の宗教文化(時計信仰)に対する否定的な意見が含まれている可能性があることに留意してください。
配属サイト | 配属部門 |
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機動サイト-8178, サイト-8179 | 戦術神学部門, 時間異常部門, 解体部門 |
船舶統括 | 計画主任 |
岸辺管理官/船長 | 綾乃博士, 夕月博士, 古野解体員 |
特別定義/Gevurah: アイテムは財団の内部構造を脅かし、その二次的目的達成への能力を制限します。
特別定義/Tiamat: アイテムは人類に対し喫緊の脅威となりますが、公の戦闘など、ヴェールを破るような方法によって「収容」することはできます。
特別収容プロトコル: SCP-001-JPは大きく3つの要素から構成され、それぞれ異なる収容方法が策定されています。
SCP-001-JP-Aはあらゆる地図/地図アプリから除外されます。これはSCP-001-JP-A, -B, -Cの存在が公となることを防ぐためです。SCP-001-JP-Aに漂流したあるいはSCP-001-JP-Aを視認した人物は即座に特定され、サイト-8179に移送された上で記憶処理と疑似記憶の植え付けが行われます。
SCP-001-JP-Bは戦術神学部門によって研究されます。戦術神学部門構成員は定期的にSCP-001-JP-Bの研究内容をプロジェクト本部に提出する必要があります。SCP-001-JP-Aの住民によるSCP-001-JP-Bの信仰は取り締まられ、後述するSCP-001-JP-Cの異常性の増幅を防ぐ必要があります。
SCP-001-JP-Cは時間異常部門によって研究されています。戦術神学部門及び解体部門はSCP-001-JP-Cの無力化あるいは、SCP-001-JP-Cによってもたらされている終焉シナリオの対処に努める必要があります。
SCP-001-JP-Aの付近には機動サイト-8178が配置され、SCP-001-JP-B, -Cの研究はサイト-8179にて行われます。
説明: SCP-001-JPは以下の3つの要素から構成されています。
SCP-001-JP-Aは、青森県の領海内に存在する孤島です。SCP-001-JP-Aに異常性は存在していません。SCP-001-JP-Aには計100名弱の住民が在住しています。SCP-001-JP収容計画のため、緩やかな住民の移住計画が実行されていました。
SCP-001-JP-Bは、SCP-001-JP-A内にて信仰されている宗教です。SCP-001-JP-Bは「時計信仰」と住民により呼称されています。SCP-001-JP-B自体に明確な異常性は存在していないとされているものの、SCP-001-JP-Bの起源にはSCP-001-JP-Cに分類されているピスティファージ神格存在の干渉が確認されています。住民はSCP-001-JP-Bを信仰する目的で「島の中央にある時計台を崇める」、「特定の時間.8時、16時、24時に念仏を唱える」などの行動を行う様子が確認されています。
SCP-001-JP-Cは、SCP-001-JP-Aの中心に存在する時計台の内部に存在する時計台の内部に存在するピスティファージ神格存在です。SCP-001-JP-Cは時間軸に関する干渉が可能であることが確認されています。SCP-001-JP-CはSCP-001-JP-Bの信仰によって存在を維持しています。現在のSCP-001-JP-Cのスピリット式神格指数.物理的な神格存在の強度を示す指数。単位はSt。通常の神格(中位神格)の数値は3St。は7Stであり、上位神格であることが判明しています。現在、SCP-001-JP-Cは連続的に時間逆行を行っており、結果としてCK-クラス"逆流"シナリオの発生が確認されています。これについての詳細は補遺を参照してください。
補遺001-JP.1
発見経緯
SCP-001-JP-Aは、2017/06/09に機動サイト-8178が青森県の領海内より微弱な過去改変の波長を受信したことにより発見されました。機動サイト-8178よりエージェントが駆け付けた際には過去改変の波長は確認されておらず、一時的な異常現象であると判断されていました。しかしながら、その後、2017/09/18を皮切りに連続した過去改変の波長が同地点より受信したことから、何らかの異常が関与していると推測され、時間異常部門員と財団エージェントによって調査を行った結果、SCP-001-JP-Bの発見に至っています。
SCP-001-JP-B発見当時、信仰の一環として行われている行為がキネト災害を引き起こしており、それによって過去改変が発生しているという仮説が立てられました。この仮説をうけてSCP-001-JP-Bの徹底した調査を行った結果、住民から「聖堂」と呼ばれている時計台内にてSCP-001-JP-Cと遭遇しました。
遭遇時、SCP-001-JP-Cは非活性状態であったことが確認されています。遭遇当時のSCP-001-JP-Cのスピリット式神格指数は5Stでした。この発見により、SCP-001-JP-Bが明確な異常性を有しているという仮説は否定されています。
その後行われたSCP-001-JP-Cの調査により、現在のSCP-001-JP-Cの異常性が判明しています。SCP-001-JP-CはSCP-001-JP-Bによって蓄えた信仰を解放することによって時間軸に干渉しているものと推測されています。
SCP-001-JP-B, -CがどのタイミングでSCP-001-JP-Aに根付く/出現したのかは判明しておらず、文献の調査や宗教学者を装った財団エージェントによる住民への聞き込みが行われています。
補遺001-JP.2
聞き込み調査
SCP-001-JP-B, -Cの起源について聞き込みを行った際に、根幹に関わると推測される情報を入手することに成功しました。以下は該当情報を入手した際の聞き込み記録内容の録音データです。
記録001-JP.01 |
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<転写開始> |
インタビュアー: この島の宗教と信仰している神について教えていただけますか? 住民: ここの宗教と神について教えてくれ?また何で急にそんなことを。 インタビュアー: 私、宗教学者でして、ここの宗教について研究した論文を出そうかと思っていまして。 住民: なるほど。研究の一環で……しょうがないので教えますよ。 インタビュアー: ありがとうございます。 住民: 「時計信仰」は、時間の神である「時軸様」を進行する宗教です。「時計信仰」は昔 — 大体飛鳥時代ごろから存在していました。当時の文献によると、「時軸様」はその昔、神の大戦にて負け、逃亡している時に人間界に訪れたそうです。そして、たどり着いた場所がこの島になります。 インタビュアー: [相槌] 住民: 当時の住民は、「時軸様」が空からやってきたところを見て、神様だと思ったとのことです。そして、「時軸様」は私たちに教えを説きました。そして — この島では「時間」の概念が広まったわけです。当時の島は外界とあまり関わることがなかったので、この発見はとても画期的でした。 インタビュアー: ふむふむ。 住民: この教えから発展してできたのが「時計信仰」です。時計には「時軸様」の意思が宿り、信仰することでいざという時「時軸様」が私たちを守ってくれる、というのが大まかな「時計信仰」の概要ですね。 インタビュアー: 具体的に、どのように守ってくれるのですか。 住民: どんな風に守ってくれるのか、ですか? インタビュアー: 差し支えなければ聞いておきたいな、と思いまして。 住民: 例えば、火事になったと思ったらそもそも火が消えていたりとか — 何というか、過去に戻ってる?いや、現象がなかったことになってる?みたいな感じですね。 インタビュアー: なるほど。ありがとうございます。いい論文が書けそうです。 住民: いえいえ、これが研究の手助けになれば幸いです。 |
<転写終了> |
本記録の要点をまとめると以下のようになります。
- SCP-001-JP-Bは飛鳥時代から存在している。
- SCP-001-JP-Cとの遭遇をきっかけとしてSCP-001-JP-A内では「時間」の概念が発見された。
- SCP-001-JP-Bは「時計にSCP-001-JP-Cの意思が宿り、信仰することによってSCP-001-JP-Cの異常性である過去改変によって被害を防ぐ」というものである。
補遺001-JP.3
事態急変
2018/07/16に、突如としてSCP-001-JP-Aを中心に世界規模の過去改変事象が発生しました。調査の結果、該当日時はSCP-001-JP-CがSCP-001-JP-Aにやってきた日時と文献上一致しており、それを祝うためにSCP-001-JP-Aの住民が総出で信仰の儀式を行っていたことが判明しています。この結果、SCP-001-JP-Cに対する非常に強力な信仰が生まれたことにより、SCP-001-JP-Cの異常性が暴走したと推測されています。
現在、SCP-001-JP-Aを中心に2018/07/16を繰り返し続けています。しかしながら、ノウアスフィア上には同じ日が繰り返されていることが記録されており、世界各地での混乱が発生しています。結果として、SCP-001-JP-Cは強力な信仰を得続けており、異常性の暴走が収束しえない状態に陥っています。
この混乱及び世界的な時間逆行事象を受けた財団は事態の収束及びヴェールの維持は不可能であるとし、ヴェール・プロトコルを放棄するに至りました。これは監督評議会をはじめとする各国の財団の上層部との協議の結果行われた対応であることに留意してください。この一連の流れの中でSCP-001-JPのオブジェクトクラスはTiamatに変更されました。
また、一連の事象を総括してCK-クラス"逆流"シナリオにカテゴライズしています。現在、戦術神学部門、時間異常部門、解体部門による部門横断チームが発足されており、共同でCK-クラス"逆流"シナリオの対処に当たっています。
補遺001-JP.4
プロトコル・ノンユース
プロトコル・ノンユース
彼方の神を殺す
プロトコル概要
プロトコル・ノンユースは、SCP-001-JP-Bの根絶によるSCP-001-JP-Cの弱体化/異常性制御・あるいはSCP-001-JP-Cの解体によるCK-クラス"逆流"シナリオの収束を目的としたものです。SCP-001-JP-CはSCP-001-JP-Bに由来する強力な信仰によって異常性を暴走させている状態にあります。これはピスティファージ神格に稀に発生する事象であり、信仰の過供給によって自身の思考/行動/異常性を制御できなくなることに起因しています。
強力な信仰を現在進行形で供給しているSCP-001-JP-Bを根絶することによって信仰の供給を断ち、SCP-001-JP-Cの弱体化、それに起因する行動制御を行うことが第一目的です。
万が一、第一目的の達成が困難であると判断された場合、SCP-001-JP-Cを解体することによって強制的にCK-クラス"逆流"シナリオを収束させます。しかしながら、財団の使命 — 確保・収容・保護に反すること、およびSCP-001-JP-Cの解体に伴う副次的な事象の予測がつかないことからSCP-001-JP-Cの殺害は基本的に行われないものとされます。
信仰の根絶にはSCP-6659が使用されます。SCP-6659を端的に説明すると、崇拝の抑制・根絶/敵対的神格存在の無力化を行うシステムであり、本プロトコルの第一目標を達成するべく運用が開始されました。
SCP-001-JP-C殺害には綾乃-古野式神格破壊システムが使用されます。神格破壊システムは神格のスピリット式神格指数を吸収することによって神格が持つ神性 — 神格を神格たらしめるものを破壊します。神性を喪失した神格は存在を維持できなくなり、最終的には霧散した後に消失します。
プロトコル代表文
SCP-001-JP-Cの異常性によって、私達は記憶を引き継いだまま、同じ一日を繰り返し続けています。世界が正しく回ることはなく、歪んだ時間が私達を支配しています。信仰を続ける住民、同じ日々に苦しみ、悩まされる人々。彼らを捨て置くことなどできないのです。
ですが、SCP-001-JP-Cは尚もその神の地位に坐しています。私達が信仰していた神は、私達を裏切り、正常性を破壊し、歪んだ世界へと変貌させました。神に好き勝手させるわけにもいきません。
こうなった私達が行うことはただ一つ。
「彼方の神を仕留める。」
私達は、正常を取り戻して見せます。
綾乃博士 - 戦術神学部門
夕月博士 - 時間異常部門
古野解体員 - 解体部門
補遺001-JP.5
プロトコル実行
137回目の2018/07/16に、プロトコル・ノンユースが実行に移されました。以下はプロトコル・ノンユース実行状況をリスト化したものです。
日時 | 実行内容 |
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2018/07/16(n=137), 0:00 | プロトコル・ノンユース実行 |
2018/07/16(n=137), 1:00 | SCP-6659使用開始 |
2018/07/16(n=137), 2:00 | SCP-001-JP-Cのスピリット式神格指数の低下確認(6.0St) |
2018/07/16(n=137), 3:00 | 同上(5.5St) |
2018/07/16(n=137), 8:00 | SCP-001-JP-B信仰活動者の割合低下を確認(15%低下) |
2018/07/16(n=137), 11:00 | SCP-001-JP-Cのスピリット式神格指数の低下確認(4.7St) |
2018/07/16(n=137), 14:00 | 同上(3.8St) |
2018/07/16(n=137), 16:00 | SCP-001-JP-B信仰活動者の割合低下を確認(49%) |
2018/07/16(n=137), 17:30 | 同上(58%) |
2018/07/16(n=137), 19:45 | SCP-001-JP-Cのスピリット式神格指数の低下確認(3.0St) |
2018/07/16(n=137), 21:00 | SCP-001-JP-B信仰活動者の割合低下を確認(85%) |
2018/07/16(n=137), 23:00 | 同上(100%)。信仰の根絶を確認 |
SCP-001-JP-Bは根絶したと判断されました。