テネムニタの言語について

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はじめに

 テネムニタ語は日辻養の提言で初登場した先古サミオマリエ/テネムニタの言語であり、メタ的にはRobert BlustとStephen Trusselによるオーストロネシア祖語の再建をベースとした人工言語です。現代のサミオマリエ語(サモア語に近い)とは同系統の言語ですが、かなり離れています。

 テネムニタ語はオーストロネシア語族と深い関係を持ちます。オーストロネシア語族に属する諸言語は、台湾、東南アジア、オセアニア、マダガスカルなどのさまざまな地域で話されています。オーストロネシア語族に属する言語の中で、最も有名で話者が多い言語はインドネシア語ですが、最もテネムニタ語に近いのは、アタヤル語群(アタヤル語、セデック語)、東台湾語群(バサイ語、アミ語、クバラン語)、プユマ語群(プユマ語)、パイワン語群(パイワン語)、ルカイ語群(ルカイ語)、ツォウ語群(ツォウ語、カナカナブ語、サアロア語)などを含む台湾諸語です。この中で最も多数の話者を持つ言語がアミ語であり、台湾の東岸に広く分布します。

音韻

 時代によって音素の多寡や音価の移り変わりがあるため、便宜上「多くの文字資料を残した黄金期のテネムニタ」で書き分けられているものを挙げます。

子音

表記
い群 p t s D k q h
ろ甲群 b d g R
ろ乙群 w y j
は甲群 m n NY ng r
は乙群 l N
に群 S
ほ群 C c

母音

口の開き 表記
i u
e (シュワー)
a

文字

テネムニタ文字

 テネムニタ文字は、テネムニタ語を表記するための文字です。ラテン文字転写では音韻の項で挙げた子音と母音にゼロ子音「'」とゼロ母音または任意の母音「E」を加えたものが使われます。子音は基本8字母に記号を付して表記されます。整数は、この基本8字母で8進数を用いて表すことができます。

' p t s D k q h
基本8字母

 い群の子音「' p t s D k q h」は記号を付けずそのまま表記します。

' p t s D k q h
' p t s D k q h

 ろ甲群の子音「b d g R」には「0'」を付します。

b d g R
0p 0t 0k 0'

 ろ乙群の子音「w y j」には「10'」を付します。

w y j
10p 10s 10k

 は甲群の子音「m n NY ng r」には「1」を付します。

m n NY ng r
1p 1t 1s 1k 1'

 は乙群の子音「l N」には「11」を付します。

l N
11t 11s

 に群の子音「S」には「2'」を付します。

S
2s

 ほ群の子音「C c」には「3'」を付します。

C c
3t 3s

 母音は以下の通りです。

'i 'u 'e 'a 'E
'i 'u 'e 'a 'e

フォント

 テネムニタ文字を表記するために独自のフォントが用意されており、wikidot上で使用することができます。フォントを有効化するには、以下のinclude文を置いてください。

[[include :cdsjp:tenem-nita]]

 「歌う」という意味の動詞「quyaS」の活用形である「qinumuyaS」を使った「qinumuyaS si 'agami」という文を例としましょう。これは、「アガミは歌った」という意味です。これをテネムニタ文字で表記するには、以下の手順に従い変換を行ってください。テネムニタ文字コンバーターの入力欄に「qinumuyaS si 'agami」を入力すると、以下のようにフォントに対応した表記に変換されます。このdivブロックを記事の適当な部分に張り付けてください。

[[div class="tmcontainer"]]
qi1tu1pu10sa2s si 'a0ka1pi.
[[/div]]

 実際に表示すると以下のようになります。

qi1tu1pu10sa2s si 'a0ka1pi.

 テネムニタフォントはSILオープンフォントライセンスCC BY-SA 3.0の二つのライセンスで利用可能です。クレジットは以下の通りです。

tenem nita font
2022, ©hitsujikaip

文法

格接辞

 テネムニタ語は名詞の格を示すための格接辞を持ちます。これらは名詞の前に付き、名詞の性質によって母音が変化します。

k格(k?) s格(s?) n格(n?) 処格(d?) 対格(C?)
単数人物 ki si ni di Ci
複数人物 ka sa na da Ca
それ以外 ku su nu du Cu

 k格の格接辞は、修飾節の中での行為の主体を示す主格の格接辞として用いられることがあります。s格の格接辞は、能動態で行為の主体が焦点となることを示すことがあります。n格の格接辞は、所有を表す属格の格接辞として使われますが、能動態以外の態では行為の主体を示す主格の格接辞としても用いられます。処格の格接辞は、行為の場所が焦点にならない場合において行為の場所を示すために用います。「~のもとで」や「~の家で」と表現する場合に、人物が処格となることがあります。対格の格接辞は、修飾節の中や、行為の対象を明確にしたい場合に用いられます。

名詞句の構造

 テネムニタ語では、名詞を後ろから修飾します。修飾の順番は基本的に以下の順番になっています。

〈名詞〉-〈修飾語〉-〈所有〉-〈指示代名詞〉
※〈所有〉はn格

「AはBである」

 「AはBである」は、Aをs格にしてBの後に置き、「B s? A」のように表現します。ただし、口語ではこれら二つが並んでいることを示すために、開鰓と閉鰓による弁別(鰓調さいちょうによる弁別)が行われます。開鰓音節を「●」、閉鰓音節を「〇」で表すと、以下のようなパターンになります。陸上では、開鰓音節は高く、閉鰓音節は低く発音されます。

●〇〇……〇/s?(●)/〇●〇……〇

 Aに付いたs格の格接辞は省略できます。その際、Aの鰓調が変化します。

●〇〇……〇/●〇〇……〇

 否定するには、先頭に「'ini」を置きます。

'i(●)ni(〇)/●〇〇……〇/s?(●)/〇●〇……〇

動詞

 テネムニタ語の語順はVOS(述語・目的語・主語)が基本となります。

0tu1pa0tekep 'a0ka1pi si saki.
dumadekep 'agami si saki.
抱いている/アガミを/サキは

 テネムニタ語は日本語とは全く異なる態の体系を持っています。つまり、動詞と対象(行為の主体、客体など)の関係の表し方に注意が必要となります。まず、能動態では行為の主体に焦点がおかれますが、無標ではありません。辞書に書かれている形に「-um-」という接中辞を割り込ませる必要があります。

ka'e1t → ku1pa'e1t
ka'en → kuma'en
食べる(辞書形)→食べる(能動態・直説法・単純相または起動相)

 上に示した例は、単純相または起動相(食べる・食べ始める)を表しています。その他の行為の状態を表すには、別の接中辞を割り込ませます。

ku1pa'e1t → ki1tu1pa'e1t
kuma'en → kinuma'en
食べる(能動態・直説法・単純相または起動相)→食べた(能動態・直説法・完結相)

 動作が完結していないことを表す非完結相の場合は、少し複雑です。辞書形の最初の子音(「'」も同様)が語頭に複製され、その後に「-um-」が挿入され、その後に「-a-」が挿入されます。

ka'e1t → ku1paka'e1t
ka'en → kumaka'en
食べる(辞書形)→食べている(能動態・直説法・非完結相)

 テネムニタ語では動詞を活用させることによって、文が表す出来事についての話者の認識を示すことができます。事実かそれに準ずる認識であれば、直説法INDを用いますが、そうでない場合は、不確定法、希求・勧誘法、命令法などを用います。不確定法IRRは、「もし~であるなら」という条件CONDや、「~かもしれない」という可能POTなどを表します。希求・勧誘法は、「~しよう」といった意味を表します。命令法は命令を表します。これらは、能動態では以下のように活用します。

kaka'e1t
kaka'en
(不確定法)

ku1pa'e1ta
kuma'ena
(希求・勧誘法)

ka'e1t
ka'en
(命令法)

 行為の対象に焦点を置く場合は、「-um-」を挿入しない代わりに、「-en」を語尾に付けます。このとき、行為の主体はn格で表します。

ka'enen
(直説法・単純相または起動相)

kina'enen
(直説法・完結相)

kaka'enen
(直説法・非完結相/語末は〇〇)

kaka'enen
(不確定法/直説法・非完結相と同形だが語末は●●)

ka'enaw
(希求・勧誘法)

ka'eni
(命令法)

ki1ta'e1te1t 1ti 'a0ka1pi saki.
kina'enen ni 'agami saki.
食べた/アガミが/サキを

 行為の場所に焦点を置く場合は、「-um-」を挿入しない代わりに、「-an」を語尾に付けます。このとき、行為の主体はn格で表します。

ka'enan
(直説法・単純相または起動相)

kina'enan
(直説法・完結相)

kaka'enan
(直説法・非完結相/語末は〇〇)

kaka'enan
(不確定法/直説法・非完結相と同形だが語末は●●)

ka'enay
(希求・勧誘法)

ka'eni
(命令法)

ki1ta'e1ta1t 1ti 'a0ka1pi 3ti saki 0'u1paq.
kina'enan ni 'agami Ci saki Rumaq.
食べた/アガミが/サキを/家において

 行為の方法や状況に焦点を置く場合は、「-um-」を挿入しない代わりに、「Si-」を語頭に付けます。このとき、行為の主体はn格で表します。

Sika'en
(直説法・単純相または起動相)

Sikina'en
(直説法・完結相)

Sikaka'en
(直説法・非完結相/語末は〇〇)

Sikaka'en
(不確定法/直説法・非完結相と同形だが語末は●●)

ka'enas
(希求・勧誘法)

ka'eni
(命令法)

2siki1ta'e1t 1ti 'a0ka1pi 3ti saki 0tu 0'u1paq puki qe3tu0'.
Sikina'en ni 'agami Ci saki du Rumaq puki qeCuR.
食べた/アガミが/サキを/家において/(性的な意味で)

人称代名詞

人称と数 独立形 敬体 属格の接尾辞 n格由来の属格
一人称単数 'aku kaku =ku naku (ni 'aku)
二人称単数 Su kaSu =Su niSu (ni Su)
三人称単数 'i'a ki'a =i'a ni'a (ni i'a)
一人称複数除外 'ami kami =mi nami (na 'ami)
一人称複数包括 'ita kita =ta nita (na 'ita)
二人称複数 'amu kamu =mu namu (na 'amu)
三人称複数 da kada =da nada (na da)

否定

 文頭に「'ini」を置けば焦点が否定されます。

極性疑問文

 「はい」か「いいえ」かを訪ねる疑問文は、ある文とその文を否定したものを並べ、それらの重複部分を省略して作られます。

dumadekep 'agami si saki, 'ini dumadekep 'agami si saki.
dumadekep 'agami si saki, 'ini dumadekep 'agami si saki.

0tu1pa0tekep 'a0ka1pi si saki, 'i1ti.
dumadekep 'agami si saki, 'ini.
サキはアガミを抱いているか、抱いていないのか。

 「サキはアガミを抱いている」が正しい場合はこれに「'a'u」と答えます。そうでない場合は、「'ini」と答えます。また、否定を否定するとき、肯定の表現「'a'u」を用います。

'i1ti 0tu1pa0tekep 'a0ka1pi si saki, 'a'u.
'ini dumadekep 'agami si saki, 'a'u.
サキはアガミを抱いていないのか、抱いているのか。

 この場合でも、「サキはアガミを抱いている」が正しい場合はこれに「'a'u」と答えます。

自由型疑問文

 疑問の対象を焦点に置き、以下の単語を用いることで自由型疑問文を作ることができます。

日本語 テネムニタ語
何/誰/どれ 'anu
どこ 'inu
いつ kanu
どう kuja

0tu1pa0tekep 1ti 'a0ka1pi 3ti saki 'i1tu.
dumadekep ni 'agami Ci saki 'inu.
アガミはサキをどこで抱いているのか。

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