SCP-XXX-JP - 過去への憧憬、此でも彼でも屠殺され

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Abnormal1

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SCP-XXX-JP、第二システムの一部。

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPの存在する区画はフロント企業名義の私有地として隔離され、二重のフェンスによって周囲を覆われます。付近に警備員3名を駐留させ、何者も施設内に立ち入らないことを確実にします。

SCP-XXX-JPの探査は現在中止されています。O5指令に基づき、これ以上の調査は行われません。

説明: SCP-XXX-JPはカナダ、ノースウエスト準州、イエローナイフ郊外に位置する廃施設です。施設は過去いずれかの時点で放棄されたものとみられ、荒廃しています。

施設外周は錆びた鉄製のフェンスによって囲われており、門が一つ存在しています。フェンス・門の双方には、施設に関する識別マークが存在していません。門をくぐると、そのすぐ正面に施設の入口が配置されています。入口は分厚い、黒色の鉄製の扉によって封じられています。扉には施錠機構がありますが、現在は損壊し、機能しません。扉以外の開口部は存在せず、窓や煙突も存在しません。

扉には改変された財団記章が描かれていますが、部分的に塗装が剥がれ落ちています。この財団記章は中央部に向かう3本の矢印が存在せず、代わりに円内に3つの縦線が描かれています。

扉の上側の壁にはネジ穴が4つ存在し、周辺と若干色合いが異なっています。おそらくは何らかの銘板が取り付けられていたものと推測されますが、詳細は不明です。

扉を通じて侵入すると、複数の、連結された産業機械らしき構造を確認できます。施設内は無人ですが、これらの機械は自律して稼働を続けています。機械類が何に使用されているかは不明であり、稼働目的は判然としませんが、何らかの液状物体を生成している様子が確認できます。この液状混合物は赤褐色であり、施設内や機械類にも多数付着しています。

機械類のレーンは一繋がりであり、入口付近にある開始点から、施設最奥の機械まで続いています。開始点は壁面の穴を通して施設外部に繋がっているように見えますが、施設外面の該当位置に穴や装置はありません。穴からはドラム缶が出現し、ベルトコンベアによって機械へ運ばれていきます。ドラム缶の内側からは、時折微かな物音が聞こえることがあります。

ドラム缶は第一のシステムの中で加熱されるようです。システム通過後のドラム缶からは、物音が生じなくなります。ドラム缶は次にベルトコンベアを通って第二のシステムへ運ばれます。ここでは、ドラム缶からの内容物の取出し作業と整形加工が行われるようであり、工程が複雑であるためか、多量の機械が連結した長いものとなっています。

第二のシステムからは2本のベルトコンベアが伸びており、片側からは金属塊が搬出され、施設壁面の穴へ送られています。この穴もまた、施設外面からは確認できません。

もう片方のベルトコンベアからは、赤黒い粘着質の物体が搬出され、第三のシステムへ送られています。第三のシステムでも何らかの加工が行われているようですが、詳細は不明です。最終的には巨大なパイプから放出されるかたちで、上述した液状混合物が床面のシャフトの向こうへ送られています。シャフトの先の調査は行われていません。

施設の発見時、エージェント・ベル2による初期探査開始の報告があったものの、その後連絡が途絶えました。ベルの失踪経緯について詳細はわかっていません。

補遺: 発見から2週間後、財団サイト-19の危険物質処理施設において、エージェント・ベルの装着していた小型カメラが回収されました。以下はそこに記録されていた映像の書き起こしです。

[前略]

Agt.ベル: そういうわけで、初期探査を開始する。

Agt.ベル: しかし何だここは。工場、なのか?

Agt.ベル: 扉には財団……のものによく似たマークがあった。詳細はわからない。もしかすると、私は何らかの機密事項に首を突っ込んでしまったのかもしれない。

Agt.ベル: そうじゃあないといいが。

Agt.ベルが第一システムを見て回る。途中、搬入されるドラム缶の音に気がついた彼は耳を当てたあと、不快そうな表情を浮かべる。

Agt.ベル: 誰かがいる。

Agt.ベルがベルトコンベアに沿って進んでいく。第二システムをゆっくり見て回るなかで、彼は赤褐色の液状混合物を踏んで転ぶ。

Agt.ベル: クソが。カメラは……壊れていないといいが……財団の最新鋭のものだ。大丈夫だろう。

Agt.ベルはしばらく液状混合物を調査する。ベルはサンプル管を取出し、液状混合物を回収する。その後、立ち上がったベルは第二システムの続きを見ていく。

Agt.ベル: 最新鋭、最新鋭か……。何もかもが新しくなっていく。あぁ。

Agt.ベル: 俺が入ったとき、財団はまだ秘密組織だった。それが今や世界に名を知られている。素敵な科学と官僚機構と……神秘も何もあったもんじゃない。

Agt.ベル: ここは不気味だが、良い。昔のことを思い出させてくれる。

Agt.ベルは立ち止まる。しばらく何かを考えているようである。

Agt.ベル: 精神影響か?

Agt.ベルは暫く逡巡した後、「まあいいか」と小声で呟き、探査を再開する。

Agt.ベルは第二システムから搬出される物体を見る。暫く眺めた後、採取棒で回収した物体をサンプル管に封入する。

Agt.ベル: 何か……懐かしい感覚がある。ここに来てから、それを感じる。段々と強まってきている。

Agt.ベルは第三システムを調査する。第三システムから搬出される液状混合物が、シャフトの向こうへ落ちていく。Agt.ベルはシャフトの底を3分近くに渡って見つめている。

Agt.ベル: そういうことか。

Agt.ベルは立ち上がり、来た道を足早に戻っていく。持っていたサンプル管は画面外で投げ捨てられたらしく、ガラスの割れる音が小さく響く。

Agt.ベル: 理解した! 私は理解したぞ。これは……

Agt.ベルは第二システム前のベルトコンベアで足を止める。激しい呼吸音が記録される。ベルは流れていくドラム缶を見ている。

Agt.ベル: お前じゃない。

Agt.ベルはベルトコンベアからドラム缶を一つ落とす。ドラム缶は鈍い音を立てて床に衝突し、転がっていく。

Agt.ベルはベルトコンベアによじ登り、ドラム缶があった場所に起立する。呼吸音が激しくなる。

Agt.ベル: これでいい。これで到達できる。

Agt.ベルの目前に第二システムの入口が迫る。内部は暗く、視認できない。機械の作動音が大きくなる。

Agt.ベル: 私は回帰する。

鈍い音が響き、小型カメラが落下する。

以後、映像はほぼ視認できないものの、成形加工が行われているようである。カメラは故障せずに機能したまま、シャフトへと落下する。

40秒近くに渡って落下を続けた後、カメラはどこかへ落下したようである。液状混合物により映像は遮られている。液状混合物はゆるやかに流動を続け、以後2週間に渡りこの状態が維持される。

急な流動が観測される。この際、カメラはサイト-19に再出現したものと思われる。カメラは液状混合物とともに回収され、サイト-19の危険物質処理場へ移送される。

カメラの位置情報が検出され、危険物質処理場の調査が行われる。極めて小型のために捜査は難航したものの、最終的には無事回収された。

回収員: あったぞ! 173のクソの中だ!

[後略]

映像内で言及される精神影響は現在確認されていません。エージェント・ベル同様の精神構造を持つ職員がリストアップされ、彼らを利用した実験が提案されましたが、却下されました。

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